春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第一章

……彼らとも再会


 学園の広場まで近づいてきた。ここで十字路を右に曲がり、お互いの寮に着いてしまえば、明日まで会うこともないから。

「アルト、あのね――」

 女神像の前が騒然としていた。人だかりもあって、騒がしい。

「!」

 私は血の気が引いた。また、いや、もうなの? ――女神像が破壊されてしまったの?

「シャーロット!?」
「ごめん、アルト!」

 アルトを置いて私は走りだしていった。これでは、また。繰り返されてしまうと。



 
 息を切らした私は広場に到達した。恐る恐る女神像を見る。
 ――女神像は無事だった。

「はあ……」

 私は安堵のあまり溜息をついた。このまま安心したいところだったのに。
 見物客の生徒達。彼らが注目しているのは、女神像を守る者達だった。学園を巡回する警備兵。国軍の兵士。そして――。

「あ……」

 心臓がドクンとなった。あの姿は忘れはしない――金糸雀隊もいた。

 冷や汗が止まらない。私はその場で動くことが出来なかった。

 あの者達が。あの者達が――私達を殺めたのだ。彼らの信仰心によって。

 覆面に似たような背格好。誰が、誰が殺めたのか。それすらもわからない。

「!」

 金糸雀隊の一人がこちらを見ていた。それから、すっと顔をそらした。それだけのこと、それでも。

「……」

 私は、動けなかった。私はわからされてしまった。やり直すということ。

 ――彼らとも対峙しないとならないという事。自分達に絶望を与えた相手にも。

「シャーロット」
「あ……」

 アルトに肩を抱かれた。彼は置いていった私を咎めることなく、ただ寄り添ってくれていた。

「うん、わかるよ。金糸雀隊、初めて見たんでしょ。恐いよね……恐かったね」
「アルト……」

 アルトはあやすように肩をポンポンと叩いた。アルトのその優しさが私はたまらなかった。

「一旦、離れよ?」
「うん……」

 去り行く中で目にしたのは、カイゼリン様を含めた自治委員の姿だった。

「ええ、女神像の破壊などあってはなりません。わたくし達の手でも守るわよ」
「はい、シェリア様――」

 シャーロットの目に焼きついたのは、自治委員会達の真摯な姿だった――。


 
 アルトは寮に帰ろうと提案した。私が調子が悪そうなのを察したんだ。

「――兄貴が発端らしいよ」
「え」

 アルトが急にモルゲン先生の話をしだした。

「あいつがさ、なんか発見したんだって。うちの学園の像、都にある方も。爆破予告があったって。それで、警戒が強まっているらしいよ」
「モルゲン先生が……」

 私の喉はごくりと鳴った。先生、思い切った手に出たね……。
 爆破予告は先生の偽造なんだね。なにせ、この時点でそれを知っているのは、私とリッカ、そしてモルゲン先生だけだ。かなり危険な橋を渡っていた。

 そのおかげもあってか、警備は強化されていた。これならば、女神像が破壊されることもないんだ。私はそう信じていた。

「……」

 アルトに話すべき? 今一度考える。じっと見ている私を、彼は見守っていた。その顔は不安さもあった。アルトは不安なんだ、昨日から様子がおかしかったりもした。

「――アルト、話があるの。大事な話。今からいいかな」
「シャーロット……」

 私の深刻そうな表情にアルトは――頷きかけるも首を振っていた。

「ん、わかった。でも! まずは、しっかり休むこと……明日の朝、聞かせて?」
「……明日の朝? 登校前だけどいいの? 遅刻しちゃうよね」
「だって、大事な話なんでしょ。それくらいはいいよ」
「ごめんね……」

 こちらの都合で遅刻をさせてしまう、ごめんアルト……。

「でもって話すとなると、俺の部屋かなって。ほら、女子寮の部屋に男子ってね。恐い寮長さんに睨まれるんだ」

 あの寮長さんは恐かったかな。それはともかく、私は構わないと伝えようとしたけれど。

「今からって、もう夜でしょ? ……俺がね、シャーロットを帰したくなくなっちゃう」
「アルト……」

 アルトはこうも綺麗で……妖しくもあったかな。私は彼を遠く感じていた。



 部屋に戻ると、モフモフは仰向けで熟睡続行状態のままだった。お腹を見せて油断しきってるね。ふふ、安心してくれているからこそかな。
 私は起こさないようにと静かに動く、それでも。

「ん……シャーリー、おはよう」
「うん、おはよう」

 さっきと一緒、リッカは起きてきた。

 私はは夕飯は自室でとって、リッカと一緒に食べた。

 食べ終わったら、リッカを濡れタオルで拭く。まったりと二人で過ごす。

「……」

 私は閉めたカーテンの隙間から覗く。遠くに見えるのは女神像だ。松明が灯されており、警備は続いてた。

「今度こそ、大丈夫だよね……」

 足元にモフモフとすり寄ってきたリッカ、私は彼を抱き上げた。

「寝よっか、リッカ」
「うん、シャーリー」

 おやすみなさいと、一日を終えた――。


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