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第一章
男子寮へ……
次の日となった。アルトの部屋を訪れる為に、私は男子寮へ向かうことにした。
「シャーリー、いこ」
「リッカ?」
リッカが尻尾を振りながら、部屋の入り口にスタンバっていた。ついて行く気満々だった。
「アルトのところでしょ? えへへ、僕ちゃんと言えるようになったんだ」
「ああ、リッカぁ。賢いねぇ、偉いねぇ」
リッカは活舌を克服していた。私はひとしきりに撫でた。リッカ、頑張ったね。報われた思いだよ……。
「お話するなら、僕も行きたい。大人しくしてるんだ」
「……うん、そっか。じゃあ、一緒に行こうか」
アルトは犬のことがあまり好きではないのかな。といっても、リッカもお利口さんでいてくれるだろうし。私はアルトの部屋に連れて行くことにした。
すぐ隣の男子寮はもちろん近い、といっても。
「シャーリー? 入らないの?」
私は男子寮の前で立ち往生していた。こてんと首を傾げたリッカ、彼は不思議そうだった。
「うん、うん。入るよ、入らないとだけどね?」
リッカは勇気を出してくれたけれど、私は心の準備が出来てなかった。
「だ、だ、男子が……見知らぬ男子が……」
前世の頃からもそうだった。同世代の男子と上手く会話が出来なかった。前世にも男の子の幼馴染もいた、でも疎遠になってしまって……。
「――わふわふっ」
リッカは突然犬語になった。誰かやってきたから――。
「おはよー! 今から迎えにいこうと思ってたのに、早いんだー!」
「アルト。おはよう」
ニコニコしながらアルトがやってきた。アルトだと安心するね、私は挨拶を返した。
「やっぱ、いつものシャーリーなんだよな。ノーマルシャーリー優勝」
私服姿の私を見て、アルトはしきりに頷いていた……って待って、アルトまで私服だ。
「あれ、私服? 制服じゃなくて?」
「もうね、休んじゃおっかなって」
「……私としては登校はしてほしいなって」
アルト、休むときたか。こっちの都合とはいえ、それは申し訳ないというか。彼はすっかりその気のようかもだけど。
「えー? おねだりー? ……ん?」
アルトはいつものくだりを展開するかと思われた、ところが。
「……なんで、犬?」
やっぱり指摘された。アルトはワンコを観察するように見ている。
「……保護した犬で放っておけなくて。大人しくさせてるから。駄目かな?」
私は気持ちを込めて頼む。リッカも精一杯可愛い顔をした。いいよ、リッカ、いいよー。
「駄目かって……」
アルトがリッカと私を交互に見ていたけれど。
「……とりあえず俺の部屋行こ? 犬もいいから」
「うん、ありがとう。良かったね、リッカ?」
アルトからの了承を得られたってこと? それなら安心だね。リッカも頷いていた。
「……。じゃあ、シャーリー。行こっか」
「う、うん」
アルトが男子寮の扉を開けてくれた。腕の中のリッカ、先導してくれるアルト……それでも緊張してしまうな。
「ふふ。シャーロット、大丈夫だって。俺がついてるから」
「……うん、そうだね」
私が人、特に異性との交流が不得手なこと。アルトにもそれはよくわかっていた。
「昔からそうでしょ?」
「うん。やっぱ、アルトがいると心強い」
「でしょ?」
私が心強いと思ったのは本当のことだ。そして。
「……うん」
私、アルトに甘える形になってしまったな。いつもアルトに助けられてる。
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