春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第一章

君は知らない② ※某人物視点

「そういう君も。今だから話せる話とか、あるじゃん? 俺の第一印象とかさ?」

 孤児院に来たばかりの頃。俺のこと、怖がってたでしょ。でも、俺が泣いてるとこ、見られたんだっけ。なんだろね。ホームシックだったのかな。あんな親なのにね。
 君は寄り添ってくれた。君って本当に、ひたむき。優しい。天使。好き。

「これ、怒るかな。君が怖がってて、俺がちらっと見たら。ピョって逃げるでしょ。ピョって。いや、本当。本当にそんな感じだったんだって」

 あ、怒った。本当、そんな感じだったって。まあ、聞いて聞いて。

「俺、ちょっと萌えてたの気づいてた? あんな無表情の中でもね、いろいろ考えていたんだよ。思ってもいた。君といるとさ。いろんな感情がね、芽生えてくるんだ」

 ねえ、わかってるとは思うけどさ。

「……俺はね、君がいないと生きていけない。君を愛してる」

 なんか、変な気持ちになっちゃった。俺は縋りつくように、君に抱きついていた。いつもなら逆なのに。俺が君を包み込むように、抱きしめるのにね。でも、君は俺の背中に腕を回して、抱きしめてくれた。

 うん、満たされる。君で満たされていく。

「ごめんね、変な話をして」

 ううん、って返してくれた。話してくれてありがとうって。私も愛してるって――。
 なにこれ。幸せなんだけど。俺、こんな幸せ味わっていいの。いいか、俺だから。他の男なんて舞台にすら上がってこられないわけだし。

「誰にも渡したくないわー。ぜってぇ、渡さねぇ」

 いや、本当に。君は鈍い。それもあるけど、恋愛を怖がってもいたし。まあ、そこは俺の愛でデレッデレ、ドロッドロに溶かしたんだけど。自分はそんなことはないって、いつもそれ。どんだけ俺が妬いてきたと思ってるの。本当にこの子はさ。

「でも、もう俺のものだし。ね、そうだよね」

 もちろん、俺だって君のものだよ。でも、俺と君じゃ価値が違うでしょ。俺が君の物になるとか当たり前が過ぎるし、有難い? 俺だよ? 
 違うんだよ。そこは君が否定しても、俺は譲りません。

 君は俺の宝物なんだよ。世界一の宝物。ずっと望んでたんだ。やっとだよ。こうして手に入ったんだ。

「ねえ、目冴えちゃった? そうでしょ? ――だからさ」

 もう完全に起きちゃったね。このままお話続けてもいいけどさ。たくさん、愛し合おっか。


 ずっと。ね?


 君が生まれてきてくれたこと。俺と出逢ってくれたこと。
 こんな俺の人生で、それが救いだった。
 お誕生日、おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう。


 もうね、たくさん触れ合ったからかな。久しぶりだった。俺は眠れたんだ。よっぽど満たされたんだろうね。

 夢の中の君はミニサイズになってた。こんな小さな鳥籠の中にね、いるんだ。俺はそんな君を眺めていた。外側からね。だって、入れるサイズじゃないし。入りたかったけど。
 でも、いいんだ。こうして眺めてるってのも、いいかんじ。

 この鳥籠、血管が伝っているようでさ、なんか脈打ってんの。錠前もさ、なにこれ、人間の口? ペロリしてるし。ぐっろ。ぐろいわ。でも、俺らしいよね。君もそう思うでしょ? 

 鳥籠の中の君は、ぐっすり眠っていた。いいよ、そのまま休んでて。俺が守るからね。

 それにしても、この鳥籠なに? こんな可愛い子を、こんなんに閉じ込めておくとかさ。こんなさ、気持ち悪いものに。
 気持ち悪い、ね。でもいいよね? 俺、気持ち悪いけどさ。君が選んでくれたんでしょ? 俺との未来を選んでくれたんだよね? 


 ほんと、幸せ。俺だけ、こんな幸せ味わっていいのかな。俺だけが――ねえ? 

 ねえ、俺。お前だよ。君の幸せがー、とか言って。解放するとか抜かしたお前だよ。
 お前がどれだけこの子に触りたかったか。下衆いこと考えていたか。知ってるんだよ。自分のことだからね。

 これも聞いてみたくてさ――お前、何人か殺ってない? 
 そんなことないって? ほんと? まあ、『お前』は知らないかもね。でも、『俺』だよ? 
 あの子が危なかったりなら正当性はあるけど。邪魔ってだけで、とかさ。お前は絶対にやらないっていえる? 

 あとさ、鍵が開いてたからって入る? 勝手に掃除までする? まあ、するよね。わかるわかる。気持ち悪い。でも、それこそが俺だからね。



 お前はさ、本当に良かったの? 後悔したりしてない? 
 なんで、『ソレ』。大事に持ったままなの? 
 今からでもさ、正直になったら? ――あの子だって、待ってるんじゃない?  




 そして、君へ。俺との未来を選ばなかった君へ。
 まあ、選ばなかったからね。知る由もないか。知らないままか。
 俺に溺愛されて、尽くされた未来。それを拒否ってくれちゃって。
 そんな君も、俺は愛しているけどね。

 だから、これは君が知らないこと。君が知ることもない話。

 でも、もしもだけど。ちょっとでも興味があって。うっかりでも覗き込んだりしたらさ。


 逃したりはしないけどね。
 
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