春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

まずはブルーム学園へ

「ベッドは置いといてね……学園からの推薦状。これも残されていたの」
「あらら、まじか」

 本来ならば。今夜猛吹雪の中、郵便配達人によって届けられるものだった。毎回なんだ、毎回……あの吹雪の中をあの人は届けにきてくれるんだ。本当に忍びなくて……。

「それで、私――早目に話をしにいきたいなって」

 這い寄る新たな脅威。手がかりはブルーメ学園にある。午前中には話をしにいきたいところ。となると。

「『モルゲン先生』に話をしとかないとって。あの人も『そう』だから」
「……兄貴が」

 ブルーメ学園の教師、アインスト・モルゲン。アルトの兄でもあった。推薦の件以外にも、話したいことはたくさんあった――モルゲン先生もそう、記憶を保持しているから。

「……兄貴、ね」

 アルトのこと信じている。険しい目つきをしている君であっても、今なら大丈夫なんだって。

「ねえ、シャーロット。兄貴は『知ってる』ってことだよね」
「……うん」
「そっか」

 アルトは伸びをすると、天井を見上げた。彼は言う。

「……俺の知らないところでさ。なんか、兄貴が知ってたとかさ。こう、シャーロットと協力関係にあったとかさ。それは、イラつきはするけどさ……でも、君を守ってくれてたんだろなって」

 それは、アルト自身も目にしたことだった。自分が起こした事件で、兄も必死だったこと。それは記憶にあったんだ。

「……だから、まあ、しゃーない」

 アルトは渋々ながらも、納得はしてくれた。

「俺まで、眠くなっちゃった。ソファ借りるね」
「それはいいよ……眠いんだ、アルト」

 アルトが欠伸をしていた。眠そうだった。

「うん、まあね。ちゃんと眠れそう。時間になったら起こしてもらっていい?」
「うん……」
「ありがと、シャーロット……」

 アルトはソファまで移動すると、横になった。目も閉じている。

「でも私、これから出かけるし。ほとんど寝られなくない? 用事済むまで、寝ててもいいよ」
「え、一緒に行くけど……? 置いてくようなら、自力で起きるけど……」

 そう言った直後に、彼もまた眠りについた。寝顔はあどけないものだった。

「……ふふ。そうだね。一緒に行こうか」

 私は近くにあった毛布をアルトにかけようとした、そこで気がつく。アルトと一緒にリッカは寝ていた。仲良しだと笑いながら、彼らを毛布で包んだ。

 寒くないようにと、暖炉もつけることにした。すっかり慣れた薪割りで用意すると、暖炉の中に薪を放って火つけた。

「そうだ、花束……」

 薪割りの帰りに回収していた。死んだと思って捧げようとしていた花たちだ。私は考えた。

「……アルト、処分とかいってたよね」

 植物を無碍に扱ったりしない彼でも、今回は縁起でもないと思ってそう。でもね……。

「部屋に生けておこうかな。お礼と報告もしておいて、と」

 反対しそうなアルトの姿が目に浮かぶ。うん、そこは通そう。

 私はすっかり目が覚めていた。朝の準備をするにも早い時間だね。

「うん」

 これから忙しくなることを見据えて、薬を調合することにした。新薬の開発にも勤しむ。薬師としても精進しないと――。

「魔法屋、なんだけどな」

 氷の魔力を使った依頼は……滅多に来なかった。この凍える国、数多にある雪。需要が無かった。あったとすると――。

「……あの人は」

 前回訪れた謎の男性。彼はシャーロット・ジェムの魔法の力を欲していた――不穏な目的の為に。

「……学園に行ったら。それで、手がかりは掴めるから」

 まずはブルーメ学園へ。私は前を見据えた。

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