春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

女神像に祈りを


 いつもの朝ごはんの時間になり、リッカも起きてきた。ご飯とお水が用意されると、いただきますとかっこんでいた。私たちは全力な彼を見守っていた。

「ごちそうさまでした!」

 リッカはご飯皿をくわえてやってきた。私はリッカを撫でた。リッカもご機嫌に尻尾を振った。アルトは羨ましそうに見ていた……?

「ボウルにお水注いでおくね。出発前にも飲んでおくんだよ?」
「ありがとう!」

 いいんだよー、と私はまたリッカを撫でた。リッカも感謝を込めて尻尾を振った。アルトは心底羨ましそうに見ていた……?

「ああ、モフモフ……」

 こんな穏やかな時間が続いてくれたらと、つくづくそう思う。それでも、いつまでもこうしてはいられないんだ。
 この平和な時間が末永く続いて欲しいと願うのならば、乗り越えなくてはならないものがある。

「よし。それじゃ、出かけよっか」

 アルトがコートを羽織った。私も頷く。

「――行ってきます」



 ブルーメ学園――を訪れる前に。私たちは都に寄っていくことになった。

 山間にあるダイヤノクト国の首都に、郵便物を管理している施設がある。推薦状を事前に受け取ることにした。さすがに毎回、あの配達人に苦労させること。本当に心苦しくて……。
 私はエーデル村の住民票を提示し、手続きを終わらせた。不思議がられていた節もあったが、そこはなんとかごり押しで……!


「おかえり、シャーロット」
「お待たせ」

 施設から出ると、リッカを抱っこしたアルトが出迎えてくれていた。すっかり仲良しな二人に、私は微笑んだ。待たせたことだし、学園に向かおう。そう思っていた時、提案してきたのはアルト。

「……俺もさ、寄ってきたいところがあって。いいかな」





 都にある中央広場にやってきた。三角屋根が並ぶカラフルな街並みに、舗装された道路。この道路に雪が積もることはない。栄えし都は人々で賑わっていた。
 中心は、春の女神像。学園にあるものよりも大きめ。アルトの目的って……女神像?

「へっへっへっへっ」

 リッカはアルトから下りて、女神像の元へ。彼はとても嬉しそうだった。彼にとってのご主人様だもんね。お座りをして、笑顔で見上げていた。

「ちょっと時間ちょうだい」

 アルトは瞳を閉じて手を合わせた。彼以外にもそうしている人たちはいる。感謝を込めての祈りが大半だ。

「……うん」

 アルトはそれもある、それだけではないんだ。今、アルトがしているのは――懺悔だろうと。これまでのアルトが行ってきたことを、詫び申しているんだ。

「……」 

 私も共に祈りを捧げた。厳かなる時間だった。

「――さてと。俺のは終わったよ」
「うん、私も」

 アルトもシャーロットも祈り終えた。足元のリッカは見上げたままだ。

「リッカ」

 アルトがそう呼ぶと、屈んだ。彼はリッカの瞳を見た。

「リッカ……大好きだったんだな」
「わんっ!」

 リッカは元気よく返事した。アルトは小さく『そうか……』と呟いて、そして。

「……本当にごめん。リッカの大事な人の像だったのにな」
「……」

 リッカもまた、アルトの瞳を見た。そして――アルトに近寄って、手をぺろりと舐めた。リッカは笑んでいた。それがリッカの気持ち、答えだった。

「……うん」

 アルトはリッカの背中を撫でると、抱え上げた。都を出るまでの間、そのまま歩いていく。

「……」

 私はそんな彼らを眩しそうに見ていた。

 新たな不穏が訪れようとも、新しい風だって吹いているんだって、そう思えた。






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