春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

入学の件、謹んで

 何度目の来訪かになるのかな。ここは、王立ブルーメ学園。
 石造りの歴史ある建物に、いくつもの建物が連なる。校舎は初等部、中等部、高等部と分かれていた。正門から見えるのが本校舎、そこに、高等部の教室もあった。

「あの、すみません。シャーロット・ジェムと申します。推薦状の件で参りました」

 門番さんに挨拶をした。向こうも挨拶をすると、推薦状を確認していた。国章もしっかりとある、正式なもの。

「――かしこまりました。しばらくお待ちください」
「はい。お願いいたします」

 門番さんは責任者を呼んでくれるようだ。いつもならここでモルゲン先生が来てくれる。げんなりするアルトを宥めつつも、待つことにした。




 しばらくして、校舎の方から男性がやってきた。先生かと思ったけれど……あれ?

「……?」
「ふぉふぉふぉ」

 先生ではなくて、ご年配の男性が立っていた。迎えにやってきたのは、こちらの方?

「あ、学園長じゃん。こんにちはー」
「学園長……?」

 犬を抱っこしたアルトがさらりと言う……なるほど学園長。私の推薦は匿名だという、承認したのはこちらの学園長ということで。

「……初めまして。シャーロット・ジェムと申します。この度はお招き預かりまして光栄です」
「ふぉふぉふぉ。私はポラールです。学園長じゃよ……お、ワンちゃんかい? かわいいのう」

 人の良さそうな男性だ。リッカも尻尾を振っている。学園長は笑みを浮かべた。

「――して、シャーロットさん。前向きに考えてくれておるかのう?」
「!」

 向こうから話してくださったこと、私は驚いてはしまった。うん、願ったりかなったり。話が早く済むよね。返答しよう。

「――はい。入学の件、慎んでお受けいたします」
「……シャーロット!?」

 アルトも大きく反応していた。

「神展開だけど……。つかさ、断る、それか保留かと思ってたのに……」
 と、アルトは戸惑いが勝っているようだった。
「ふぉふぉふぉ。では、爺に付き合ってくれんかのう。手続き諸々もあるのじゃ。私の秘書も紹介するぞい」
「はい、ありがとうございます……アルト、またあとでね」

 今は学園長についていくことにした。先行く彼に、私も慌ててついていくことに。

「……うん、話聞きたいし。リッカ、俺の部屋で預かっておくから」
「ありがとう。お願いね。リッカもいい子にしてるんだよ……リッカ?」

 アルトの腕の中のワンコが、がたがた震えていた。
 ……うん、アルトの部屋。こう、アレな気持ちになるよね。リッカにとっても良い思い出ではない場所。そんなリッカは別のことに恐怖しているようで。

「……できない。僕、おしっこ、あそこで絶対にしちゃいけない」

 リッカは小さな声でもらしていた。アルトの腕から下りると、そこらの茂みに入っていった。

「ああ……」

 私も納得した。あの整理整頓され過ぎた、綺麗な部屋だ。糞尿で汚そうものなら、どうなることか。

「いや、そこまで怒りはしないけど。つか、しつけるだけだし――って、こっちはいいよ。ほら、学園長あんな遠くだし」
「あっ」

 マイペースなおじいさん。かなり先に行っていた。

「あとは頼みましたっ! ――遅れてすみません、今参ります」

 いつまでも来ない私に、学園長は一旦立ち止まって待ってくれていた。うん、追いかけないと……! 

「……一応あいつと話、しておくか」

 アルトの呟く声が聞こえた気がした。



 私は学園長室に通された。本校舎の学園に関する説明。諸々の手続き。学園長の秘書によって行われた。何枚もの書類に必要事項を書いては確認し、そして、また書いてを繰り返す。

「……」

 保護者の項目があった。そこで私の筆が止まるも、学園長が教えてくださった。出身のジェム孤児院、そこの院長が保護者となってくれたと。

「……院長先生」

 優しい女性だった。私たち孤児も懐いていた。涙ぐみそうになるのを抑え、項目を埋めていく。

 残すは、実印――学園に入学するか、これで本決定となる。

「――よろしくお願いいたします」

 私は押印した。晴れて、ブルーメ学園の学生となった。

「ふぉふぉふぉ。よろしくのう」

 学園長は新たなる生徒の入学を歓迎した。

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