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第二章
女子寮ライフとワンコと……新たなる来訪者と
リッカはこのまま女子寮に連れていくことにした。アルトから簡易トイレの作り方も教わった。売店で売っているもので事足りた。
私はフロアにいる女子寮の面々にも挨拶をした。これからは正式にお世話になる人たちなんだ。
「シャーロット・ジェムと申します。今後もお世話になります。よろしくお願いいたします」
「ああ、君がシャーロット君だね。おお、ワンコ君まで。お……おナデナデしても?」
「いいよね、リッカ?」
この女子寮長がモフモフ好きなのも知っている。今のリッカなら怖がることもないだろうし、こくんとも頷いてくれた。
「おお……モフモフ……」
リッカの胸毛を堪能していた彼女は、誰よりも幸せそうだった。
「――あら、やっぱり。お隣さんだったのね」
「……メーディウムさん?」
部屋に至る廊下を歩いている途中、突然ドアが開いた。中から出てきたのはテラスで会った彼女。
「ふふ、あなたの気配がしたから。お声掛けしておきたいなって」
「気配、ですか」
えらいタイミングが良かった。それでなのかと私は思っていた。
「……ふふ、匂いでわかったといってもいい?」
「それはちょっと……」
「あら、良い匂いなのにね? それとよそよそしいこと」
憂い顔の彼女は、私に顔を近づけてきて、それから。
「――クラーラと呼んで、ね?」
「……!」
吐息混じりに言われてしまって、私は硬直してしまった。そ、それは良いのですが、普通に話してくださっても……!
「――ああ、ごめんなさいね? すぐ戻るから」
部屋にいた女生徒に呼ばれていたのかな。集まるって話だったし。
「ふふ、それじゃまたね?」
と、扉は静かに閉められた。
「に、匂いって……」
私は何気にずっと気にしていた。モヤモヤした気持ちのまま、リッカを連れて自室に入っていった。
「僕、シャーリーの匂い好き。安心する」
「リッカぁ……」
部屋に入ったら即、リッカがフォローを入れてくれた。この子が良いのなら良い! と私は彼を撫でくりまわした。
夕飯や風呂も済ませ、あとは寝るのみとなった。私もリッカも寝転んでいた。
「おトイレ、ちゃんとできたねー」
「えへへ」
賢い子だと私が得意になり、リッカも笑った。幸福に満ち溢れている。
「ねえ、シャーリー? ガチャガチャしなくなったね」
「……うん、そうだね」
リッカが言っているのは、これまでのループで起こったこと。この日の夜、私の部屋を何者かが開けようとしていた。唸るリッカもいてくれたからかな、それは発生しなくなっていた。
アルトではないと、私は信じたかった。彼ならば、自分はやっていたと言いそうでもあった。
「……そういえば」
ループをする前の話。私は『この日の夜』、鍵をかけなかったことがあった。その時、もし誰かがが訪れていたとしたら――。
「……なんてこと」
私は体を竦ませるも、考える。私は無事だった。というか、その時は熟睡していた。何事もなかったと結論づけることにした。
「じゃ、寝よっか」
「シャーリー、あのね――カイジェイン、助けようね」
体を起こしたリッカが、私を見つめていた。私もベッドから起き上がって、頷く。
「うん、力合わせてね」
「うん!」
言いたい事を言えたリッカは満足そうにしていた。そのまま丸くなる。
「おやすみ、リッカ」
このまま眠りに落ちようとしていた私だったけれど。
「カイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェイン――」
「……」
……うん、何気に噛んでたからね。
リッカとしては練習しているに過ぎないんだ。私としては……これはもう恐怖だった。とはいえ、健気なワンコの努力に水を差したくもなかった。
前にも味わった恐怖に震撼しながらも、私はなんとか眠ろうとしていた。
私が目覚めるとそこは、鳥籠の中だった。
「……あれ?」
今は特に何もないはずだよね。不思議に思っていたところ。
「ああ、そうだった……」
特に不思議でもなかったという。今はそうでもないけれど、前は何もなくても鳥籠の夢は見ていたんだから。
――鉄製の鳥籠はいつだって私の側にある。
「はは、眠れたんだ……」
ブツブツ言うリッカの恐怖に徹夜も覚悟していたけど、なんだかんだで寝つけていたんだ。
「はあ……」
今夜はリッカも訪れてないみたい。静か、とても静かだった。私は体育座りで辺りを見回した。
かけられたままの錠前たち。大型が一つに、中型が三つ。そこは変化がなかった。
「……」
私はその錠前たちを眺めていた。皆目見当もつかないそれらを。
「……?」
チャリ、チャリと音がする。暗闇の向こうから聞こえてくる。
リッカ? あと訪れたことがある人物でいうと、アルト? ううん、この音はなんだろう?私は警戒した。
鎖を引きずるような音でもあった。音は大きくなっていく。
暗闇の中、揺らめく影。紫に光る二つの目。轟く『何か』。
「ひいっ!」
私は悲鳴を上げて――気絶した。
私はフロアにいる女子寮の面々にも挨拶をした。これからは正式にお世話になる人たちなんだ。
「シャーロット・ジェムと申します。今後もお世話になります。よろしくお願いいたします」
「ああ、君がシャーロット君だね。おお、ワンコ君まで。お……おナデナデしても?」
「いいよね、リッカ?」
この女子寮長がモフモフ好きなのも知っている。今のリッカなら怖がることもないだろうし、こくんとも頷いてくれた。
「おお……モフモフ……」
リッカの胸毛を堪能していた彼女は、誰よりも幸せそうだった。
「――あら、やっぱり。お隣さんだったのね」
「……メーディウムさん?」
部屋に至る廊下を歩いている途中、突然ドアが開いた。中から出てきたのはテラスで会った彼女。
「ふふ、あなたの気配がしたから。お声掛けしておきたいなって」
「気配、ですか」
えらいタイミングが良かった。それでなのかと私は思っていた。
「……ふふ、匂いでわかったといってもいい?」
「それはちょっと……」
「あら、良い匂いなのにね? それとよそよそしいこと」
憂い顔の彼女は、私に顔を近づけてきて、それから。
「――クラーラと呼んで、ね?」
「……!」
吐息混じりに言われてしまって、私は硬直してしまった。そ、それは良いのですが、普通に話してくださっても……!
「――ああ、ごめんなさいね? すぐ戻るから」
部屋にいた女生徒に呼ばれていたのかな。集まるって話だったし。
「ふふ、それじゃまたね?」
と、扉は静かに閉められた。
「に、匂いって……」
私は何気にずっと気にしていた。モヤモヤした気持ちのまま、リッカを連れて自室に入っていった。
「僕、シャーリーの匂い好き。安心する」
「リッカぁ……」
部屋に入ったら即、リッカがフォローを入れてくれた。この子が良いのなら良い! と私は彼を撫でくりまわした。
夕飯や風呂も済ませ、あとは寝るのみとなった。私もリッカも寝転んでいた。
「おトイレ、ちゃんとできたねー」
「えへへ」
賢い子だと私が得意になり、リッカも笑った。幸福に満ち溢れている。
「ねえ、シャーリー? ガチャガチャしなくなったね」
「……うん、そうだね」
リッカが言っているのは、これまでのループで起こったこと。この日の夜、私の部屋を何者かが開けようとしていた。唸るリッカもいてくれたからかな、それは発生しなくなっていた。
アルトではないと、私は信じたかった。彼ならば、自分はやっていたと言いそうでもあった。
「……そういえば」
ループをする前の話。私は『この日の夜』、鍵をかけなかったことがあった。その時、もし誰かがが訪れていたとしたら――。
「……なんてこと」
私は体を竦ませるも、考える。私は無事だった。というか、その時は熟睡していた。何事もなかったと結論づけることにした。
「じゃ、寝よっか」
「シャーリー、あのね――カイジェイン、助けようね」
体を起こしたリッカが、私を見つめていた。私もベッドから起き上がって、頷く。
「うん、力合わせてね」
「うん!」
言いたい事を言えたリッカは満足そうにしていた。そのまま丸くなる。
「おやすみ、リッカ」
このまま眠りに落ちようとしていた私だったけれど。
「カイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェインカイジェイン――」
「……」
……うん、何気に噛んでたからね。
リッカとしては練習しているに過ぎないんだ。私としては……これはもう恐怖だった。とはいえ、健気なワンコの努力に水を差したくもなかった。
前にも味わった恐怖に震撼しながらも、私はなんとか眠ろうとしていた。
私が目覚めるとそこは、鳥籠の中だった。
「……あれ?」
今は特に何もないはずだよね。不思議に思っていたところ。
「ああ、そうだった……」
特に不思議でもなかったという。今はそうでもないけれど、前は何もなくても鳥籠の夢は見ていたんだから。
――鉄製の鳥籠はいつだって私の側にある。
「はは、眠れたんだ……」
ブツブツ言うリッカの恐怖に徹夜も覚悟していたけど、なんだかんだで寝つけていたんだ。
「はあ……」
今夜はリッカも訪れてないみたい。静か、とても静かだった。私は体育座りで辺りを見回した。
かけられたままの錠前たち。大型が一つに、中型が三つ。そこは変化がなかった。
「……」
私はその錠前たちを眺めていた。皆目見当もつかないそれらを。
「……?」
チャリ、チャリと音がする。暗闇の向こうから聞こえてくる。
リッカ? あと訪れたことがある人物でいうと、アルト? ううん、この音はなんだろう?私は警戒した。
鎖を引きずるような音でもあった。音は大きくなっていく。
暗闇の中、揺らめく影。紫に光る二つの目。轟く『何か』。
「ひいっ!」
私は悲鳴を上げて――気絶した。
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