春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

再び、令嬢殺害事件に立ち向かおう



 一連の流れを経て、私は教職員寮の面談室まで足を運ぶ。ここでリッカたちが待っていてくれる、そのはず。ノックすると返事がきた。

「ああ、入ってくれ」

 今回迎えてくれたのはモルゲン先生だった。アルトは椅子に座っており、リッカはアルトの膝の上に座っていた。

「……っと、失礼します。早速ですが、あの後のこと、教えてください」

 アルトが『隣隣。座って座って』と促してきたので、彼の隣に腰を下ろした。先生は壁際に立ったままだ。ここから、お二人にも共有していく。

「……」

 アルトは……そうだね、あまり口にしたくないみたい。あの時、私がああなってしまった……その状況を語ることになるから。

「わかった、説明する。といってもな」

 堪えているアルトに代わって、先生が説明することになった。

「――あやふや、なんだ。一日早まったこともあるが、そのまま大晦日まで、ということもなかった」
「それって、まるで……」

 先生はただ、頷いただけだ。先生もそうなのかな……これ以上は言葉にはしたくないよう。
 でも、これって。これではまるで。
 ――私が死亡した時点で途切れているようだと。

 断定はできない。現に、私の死後も時間は経過していたりして、ブツリと切れたりとかもなさそうで……うーん?

「ただ、シェリアの死亡状況なら。大騒ぎになったからな。……体に損傷はない。毒死だった。あの警備を掻い潜っての犯行だった」
「カイゼリン様……」

 損傷がない状態で死んだんだ……それでも苦しかったには違いない。毒死、惨いことを……。

「……」

 見知った人だからこそ、余計に死が辛い。私は早く解決したい思いだった。

「私からはあの夜中に来た人についてです――憶測ですが、あの人は犯人ではないと思います。私が氷の力で拘束してましたので」

 あくまで憶測だった。私はあの男を氷の力で拘束していた。氷を打破されたといわれればそれまでの話。もう少し断定できる材料でもあれば……。

「……うん」

 共犯者でなくても。私はああなってしまった。今回は乗ってみようかな。とれる情報はとれるだけ欲しい。

「すみません。名前まで確認できれば良かったのですが、まずは巡回している人に報告をって、考えてしまって……せめて、似顔絵を描いてきました」

 私は出発前に用意していた、それを彼らに見せる。

「おお……随分と愛らしいおじさんだな」
「おお……シャーロット先生の作品だ。欲しいけど、でも、知らんおっさんだし……ぐぬぬ……」

 頬がこけたパッチリ目の可愛らしい中年男性が描かれていた。わりと特徴捉えているって思ってたのに、兄弟の反応は……うん。リッカは『シャーリー、お上手』って、笑顔向けてくれていた。うう……優しい子……。
 私はただ恥ずかしかった。スマホは無い物ねだりとして、撮影用具を携帯していればと後悔していた。

「いや、多分特徴は捉えているぞ? そうだな……生徒の親御さんか? 見たことはある気はするんだけどな」
「ごめん、シャーロット。味のある素晴らしい絵だけどさ、俺はちょっとわからない」

 この似顔絵から割り出すのが困難だった。それでも、もう一度探ってはみるとは彼らは言ってくれた。

「それでだ。シャーロット、今回も自治委員会に入るのか」
「はい。入らなかった場合、それこそ最初の展開になってしまうと思いまして」
「……だな。お前に苦労かけるな」
「いえ」

 また自治委員長補佐の補佐として、多忙な日々を送ることになる。それでも生きる道につながるなら安いものだ。シャーロットはそう考えていた。

「……俺、課題ここから本気になるからさ。速攻で終わらせるし、そしたらさ。君の負担を減らせるなって」
「俺の方も協力は惜しまない。裏で手を回しておく。本来、こいつの学力なら必要ないものだしな。もちろん、シャーロットの事もだ」

 アルトの課題問題はどうにかなりそう。その上で、アルトは提案する。

「リッカも心配でしょ。俺のとこで面倒みるから」
「アルト!」

 リッカが尻尾を振った。リッカがいいのならと、私は『ありがとう』とお礼を言った。彼ならしっかり面倒見てくれるでしょうし、寂しい気持ちも堪えて……時間、作ってみせるからね、リッカ!

「俺も面倒見るからな、リッカ?」
「うん、ありがとう!」

 リッカは先生にも尻尾を振った。時間が空いたときにでも会いにくればいいと、リッカのことも大丈夫そう……なんとしても時間を!

「うう、リッカ……ちゃんと申請書は出しておくからね」

 寮に帰ってもリッカはいない。私はとても寂しい。それでもリッカが笑顔ならいいと思うことにした。これで学園の許可も下りれば、心配事もなくなるだろうと。

「じゃあ――要の自治委員会だな」
「はい、お願いします」


 私を待つのは、自治委員会。
 被害者となる、シェリア・カイゼリン嬢。
 そして。

『……ジェム様!? ……何故ですか、何故あなたが!』
「……」

 ――リヒト・リヒターさん。あのような悲痛の叫びを上げていた彼が。

 リッカは本物だったけれど、あの時のリヒターさんは幻ではないかと。私は今でもそうは思う。でも、心のどこかでは――。

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