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第二章
守られる日々④
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「……羨ましいです」
ゆったりと近づくリヒトさん。私は逃げることもせず、立ち尽くしていた。
「何もかもが羨ましくて――シャーロットに愛されているあの子もそうです」
「……!」
私を包み込むように抱きしめた。リヒトさんは耳元で語りかける……しかも、私の名まで。
「……ああ、ずっと練習してました。あなたの名前を何度も。もっと、早くに呼びたかったんです。安易に呼べる彼らが、妬ましくも思ってました」
さらに、さらに抱きしめてくる。
「あなたは知らないでしょう。あなたが他の男に笑いかける度。私がどれだけ苛立っていたのか」
「……リヒトさん、待って。それって、おかしいんじゃ」
男性の腕の中で言うことではない。それでも私は言わずにはいられなかった。嫉妬とはなんなのか……その相手がどうして自分なのかと。
「ねえ、リヒトさん。おかしいよ。だって、あなたの好きな人は私じゃなくて――」
「何をおかしなことを」
「おかしいって……」
「……ああ、そうですね」
リヒトさんは私から体を離した。彼が元に戻ったかと思われたけれど。
「私としたことが――きちんと言葉と態度で示すべきでした」
私の頬に添えられたのは、リヒトさんの大きな手だ。彼の瞳は熱に浮かされていた。
彼は言葉を紡ぐ。
「シャーロット。私の好きな人は――あなたです」
「え……」
彼は言葉で想いで示し。
「出逢った頃から……いいえ、出逢う前からでしょうか。それとなく気になっていた存在を、いつしか目で追うようになって――こんなにも惹かれていた」
「!」
壊れ物に触れるかのように、丁寧にゆっくりと。
「『リヒト』として、あなたに惹かれたんです――」
リヒトさんは自分の唇と私のを重ね合わせていた――想いを、態度でも示すと。
「……こうした行為は、親がしていたのを見たくらいでした。それもしょっちゅうで。当時は、理解しがたいものでしたが」
すっと離れた互いの唇が。
「今ならわかります――何度だって触れたくなるって」
また触れ合う。何度も何度もだった。時間をかけて、私の唇を味わうように。時には貪るように。リヒトさんの激しさに……私は眩む。
「……」
頭が朦朧としていた。とうに日は落ちている。門限も過ぎているかもしれない。漠然とした思いで窓の外を眺めていた私を。
「……シャーロット」
私の名を、掠れる声で呼んで――リヒトさんはまた口づけを再開した。じっくりと、ねっとりと。執拗でもあり、しつこさもあるものだった。
「……わからない、わからないよ、リヒトさん」
キスの合間に、私は声を漏らしていた。彼との行為に没頭する中でも……私は別のこと、別の存在を考えずにはいられなかった。
「……何が、わからないのですか」
それは、と答えようとすると――私はまた口を塞がれてしまって。それでも、どうにかして口にした。
「どうして……こういうこと、するの」
「……」
リヒトさんの唇が離れた。私はその隙に息を整えた。キスに溺れている場合じゃない。だってリヒトさん、あなたの想い人は――。
「……どうして、と。何という事でしょうか。伝わってなかったと」
「いや、それは……」
「よいでしょう、何度だって伝えます――あなたが好きだから」
「……!」
より彼を燃え上がらせてしまったのか、より激しくなって……舌っ!?
「……っ」
こんな、こんな……激しい想い、ぶつけられることあるの? どうして……私なの?
おかしいよ……あなたの想い人はカイゼリン様、そうでしょう……? 側近としての立場以上に、彼女に尽くしてきた。それに……それこそ、あなたは言葉にもしてきたじゃない。
――シェリア様が全てです、と。
それがおかしなことになってしまった。何をとち狂って私のことを……す、好きとか。
「……」
認めたくない。胸が痛い。こんな気持ちなんて。
……それでも。
リヒトさんの想い人は他の人のはずなのに。私への思いは、何かの間違いのはずなのに。
……そうだとしても。
リヒトさんは今、私に想いを向けている。私の今の感情、気持ち。
認めたくないのに――。
ゆったりと近づくリヒトさん。私は逃げることもせず、立ち尽くしていた。
「何もかもが羨ましくて――シャーロットに愛されているあの子もそうです」
「……!」
私を包み込むように抱きしめた。リヒトさんは耳元で語りかける……しかも、私の名まで。
「……ああ、ずっと練習してました。あなたの名前を何度も。もっと、早くに呼びたかったんです。安易に呼べる彼らが、妬ましくも思ってました」
さらに、さらに抱きしめてくる。
「あなたは知らないでしょう。あなたが他の男に笑いかける度。私がどれだけ苛立っていたのか」
「……リヒトさん、待って。それって、おかしいんじゃ」
男性の腕の中で言うことではない。それでも私は言わずにはいられなかった。嫉妬とはなんなのか……その相手がどうして自分なのかと。
「ねえ、リヒトさん。おかしいよ。だって、あなたの好きな人は私じゃなくて――」
「何をおかしなことを」
「おかしいって……」
「……ああ、そうですね」
リヒトさんは私から体を離した。彼が元に戻ったかと思われたけれど。
「私としたことが――きちんと言葉と態度で示すべきでした」
私の頬に添えられたのは、リヒトさんの大きな手だ。彼の瞳は熱に浮かされていた。
彼は言葉を紡ぐ。
「シャーロット。私の好きな人は――あなたです」
「え……」
彼は言葉で想いで示し。
「出逢った頃から……いいえ、出逢う前からでしょうか。それとなく気になっていた存在を、いつしか目で追うようになって――こんなにも惹かれていた」
「!」
壊れ物に触れるかのように、丁寧にゆっくりと。
「『リヒト』として、あなたに惹かれたんです――」
リヒトさんは自分の唇と私のを重ね合わせていた――想いを、態度でも示すと。
「……こうした行為は、親がしていたのを見たくらいでした。それもしょっちゅうで。当時は、理解しがたいものでしたが」
すっと離れた互いの唇が。
「今ならわかります――何度だって触れたくなるって」
また触れ合う。何度も何度もだった。時間をかけて、私の唇を味わうように。時には貪るように。リヒトさんの激しさに……私は眩む。
「……」
頭が朦朧としていた。とうに日は落ちている。門限も過ぎているかもしれない。漠然とした思いで窓の外を眺めていた私を。
「……シャーロット」
私の名を、掠れる声で呼んで――リヒトさんはまた口づけを再開した。じっくりと、ねっとりと。執拗でもあり、しつこさもあるものだった。
「……わからない、わからないよ、リヒトさん」
キスの合間に、私は声を漏らしていた。彼との行為に没頭する中でも……私は別のこと、別の存在を考えずにはいられなかった。
「……何が、わからないのですか」
それは、と答えようとすると――私はまた口を塞がれてしまって。それでも、どうにかして口にした。
「どうして……こういうこと、するの」
「……」
リヒトさんの唇が離れた。私はその隙に息を整えた。キスに溺れている場合じゃない。だってリヒトさん、あなたの想い人は――。
「……どうして、と。何という事でしょうか。伝わってなかったと」
「いや、それは……」
「よいでしょう、何度だって伝えます――あなたが好きだから」
「……!」
より彼を燃え上がらせてしまったのか、より激しくなって……舌っ!?
「……っ」
こんな、こんな……激しい想い、ぶつけられることあるの? どうして……私なの?
おかしいよ……あなたの想い人はカイゼリン様、そうでしょう……? 側近としての立場以上に、彼女に尽くしてきた。それに……それこそ、あなたは言葉にもしてきたじゃない。
――シェリア様が全てです、と。
それがおかしなことになってしまった。何をとち狂って私のことを……す、好きとか。
「……」
認めたくない。胸が痛い。こんな気持ちなんて。
……それでも。
リヒトさんの想い人は他の人のはずなのに。私への思いは、何かの間違いのはずなのに。
……そうだとしても。
リヒトさんは今、私に想いを向けている。私の今の感情、気持ち。
認めたくないのに――。
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