春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

守られる日々⑧

「ん……」

 私はいつもの夢を見ていた。鳥籠の中の夢だ。
 起き上がっては天井を見上げた。いつものドーム状のものから形が変わっていた。

「綺麗……」

 上下左右均等の、統一された均等なる美しさ――真四角の金色の鳥籠に私は囚われていた。

「ああ、リヒトさんだ……」

 硬質な金色の柵も、触れてると温かみを感じた。彼のようだと私はうっとりしていた。
 私はしあわせだ――彼に守られているのだから。

「……シャーリー」

 向こうからやってきたのは、リッカだった。彼は寂しそうにしていた。

「リッカ……」

 リッカとは会えずじまいだった。預けたままとなってしまって……でも、でもねリッカ。

「リッカ、側にいられなくてごめんね。でもね、リヒトさんが一緒に暮らしていいって。リッカ、また一緒に暮らせるんだよ!」

 リッカの表情は寂しさだけではない。悲壮感も漂わせていた。私は殊更明るく伝えることにした。

「……うん」

 リッカは浮かない顔のままだった。私は戸惑っていた。これから一緒に暮らしていけるというのに、どうしてリッカは悲しいままなの……?

「……あのね、シャーリー」

 リッカは意を決するかのようだった。顔を上げて、私を見つめている。

「……僕、おばあちゃんちの子になるんだ。今までありがとう、シャーリー」
「え……」

 ――青天の霹靂だった。動揺する私に対して、リッカは続ける。

「……。僕、学園が怖いままだった。それなら、おばあちゃんち。エーデル村で暮らしたい」
「リッカ、ごめんね……」

 慣れたかと……ううん、そんなことはなかった。リッカは学園を怖がっていたままと……私、どうして寄り添えなかったの……。

「僕の方こそごめんね。でもね、シャーリー。いつでも遊びに来てね。僕も遊びに行きたい!」
「……そっか。うん、もちろん。たくさん遊びに行くからね。リッカもいつでも遊びに来てね」
「うん!」

 リッカの幸せがそうなら、私は何も言えない。この子がこうして笑っていてくれるのなら。

「……なんか、眠くなってきた。おやすみ、リッカ。また明日ね」

 安心が訪れたこともあり、私は横になる。次起きた時には、リッカもリヒトさんもいてくれる。

「すうすう……」

 ああ、本当に包まれているかのよう――幸せな気持ちのまま、眠りに入ろうとしていた。

 意識はもう落ちる寸前で……リッカ? 君は寝ないの? そんな……笑顔で、泣きそうな笑い顔……で……。

「シャーリー……僕には明日はないんだ。この未来にも……僕はいられない」

 白い光が犬を包む。犬が、薄れていく。

「この鳥籠の意思はとても強い。僕はもう、何もできない――せめて、君のしあわせを祈るだけ」

 やがて白い犬は――。

「ふふ、一緒だね。リッカも、リヒトさんも……」

 夢うつつな私は、しあわせな気持ちに包まれていた――知る由もなく。



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