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第二章
わたくしの学友
私たちは迎賓館へと急いでいた。リッカを抱えながら、スケートのように滑りながら移動していた。
「……」
何が起こるかはわからない。魔力の残量も気にしなくてはならない。前回の増強剤は綺麗になくなっていた。原材料が手に入りにくい貴重なあれらは、しっかりと使われた扱いになっていた。腑に落ちないけれど、無い物は無い。
「早く、早く伝えないと」
カイゼリン様はもうパーティ入りをしている。近くには警護もいて――側近の彼、リヒターさんもいる。
『シャーロット』
通信機器が受信した。あらかじめ先生に渡されたものであり、発信元も彼から。
「先生! アルトにも会ったらでいいです。とにかく、カイゼリン様の傍についていてください! 私も急ぎますから」
『ああ、わかってるさ――ほら』
「!」
電波は良くないけれど、映像は映し出されていた。画面に映っているのは、談笑しているカイゼリン様だった。ドレスで着飾ったより美しい彼女が――生存している。
その後方にいるのは疲れきったアルトだった。教師として潜り込めた先生はともかく、アルトが謎だった。彼はスーツを着ており、護衛といった体ではあった。上手いことやったのかな。
「……」
どのみちリヒターさんはいる。彼はまだ動いてないようでも、じきに時間は訪れるから。
私は迎賓館の門の前に立った。
「――失礼いたします。学園自治委員会所属の、シャーロット・ジェムと申します。シェリア・カイゼリン様に火急の用がありまして、参りました」
門の警備にあたる人たちに告げた。私は自治委員の制服ではあるものの、それ以上の立証はない。ここで通らなければ、侵入するしかないと思っていた。
「――はい。はい、かしこまりました。失礼しました。シャーロット・ジェム様であらせられますね。『ご学友』でもあるので、丁重にと。シェリア様が仰せでした」
「!」
通信で連絡をとっていた警備員さんに、私は恭しく通された。頭を下げて通してもらった。
「……カイゼリン様」
「わんっ」
友人といってくれた。私は胸が満たされる思いだ。リッカも見上げてくる。彼もやる気に満ちていた。
「うん」
何としても乗り越えよう。私たちは気概に満ちていた。
楽団による演奏や、華やかな人々。豪奢な調度品に、煌びやかなシャンデリア。このような時でなければ、心が躍るものばかりだった。
選ばれた者達による、華麗なる宴が開かれていた――悲劇が起こるはずもないと、彼らは優雅に踊っていた。
「もうすぐ……」
私は早歩きで向かっていった。委員の制服とはいえ、ドレス姿ではない。わたしは奇異な目で見られているけれど、今は気にしていられない。
大広間にカイゼリン様はいるはずだ。彼女に説明と説得をしよう。今ならば、荒唐無稽な話だろうと彼女は信じてくれるはずなんだ。その後、アルトたちと協力してリヒターさん……真犯人を拘束する。
これならと私は信じた。
「あ……」
広間まで到達した。中心にいるのは、カイゼリン様。そうだね、彼女は無事だ。もうこれで大丈夫だと、そう思えた時。
――私はリヒターさんを見つけた。彼は口だけでこう告げた。
『あなたであっても――邪魔はさせません』
突如、迎賓館の灯りが一斉に消された。場は騒然となった。
「!」
が、暗闇は一瞬のこと。すぐに照明は灯された。来賓客たちが安堵する中、私たちはすぐに異変に気がつく。
「カイゼリン様、それに……!」
「わんわんっ! ……がるるるるる」
――カイゼリンとリヒターがいなくなっていた。
「シャーロット! リッカ!」
アルトがすぐに駆け寄ってきた。彼は私たちの無事を確認したあと、カイゼリン様が消えた方を見ていた。
「……だよね。犯人はアイツ。そうでしょ?」
「……うん。そうだよ、アルト」
直接言ってはいないものの、アルトは状況からして判断した。私もそうだと頷く。事情を知っている私たちはともかく、他の人からしてみたら突然過ぎることだった。
「――はい、私はこの学園の教師です。至急、シェリア・カイゼリン嬢。そして、リヒト・リヒターの捜索にあたってください」
事情を知る一人、モルゲン先生が警備に要請をかけていた。場の鎮静化も図っていた。パニック状態も収まりつつはある。でもその流れで先生が陣頭指揮を執ることに。
「……あとで、合流する」
「はい」
先生を残して、私たちは救出に向かうことになった。
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