春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

令嬢殺害事件、解決……?



「――で、リヒターさん? 年末年始もシェリアさんと過ごすのか」
「あくまでリヒターとしてでございます。私は務めさせていただきます」

 リヒターさんは年末年始は好きに過ごしていいと、カイゼリン様からは言われていたみたい。でも彼は主についているって。

「考えた上です。年末年始、カイゼリン様こそ御多忙を極めますから。ただしその後、休暇を願い出る所存です」

 リヒターさんも、そしてカイゼリン様も。お二人の関係も変わっていくことでしょう。『そうか』と先生は満足そうに頷いていた。

「俺もそうだな、今年は戻らせてもらうな。じゃあ、リヒターさんもシャーロットさんも。来年もよろしくな」
「ええ、モルゲン先生。昨年は大変お世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます」
「はい、来年もよろしくお願いいたします」

 今回、先生は『よいお年を』とは言わなかった。そういう気分だったのかなって、私は深く考えなかった。

「――ときにモルゲン先生。生徒をさん付けで呼ばれるなど、どうなさったのでしょうか。大変殊勝なお心掛けでございますね」
「お、お前なぁ……!」

 誰のせいだと先生は怒り心頭だった。というか、リヒターさん? あなたが発端であって……でもこれ、覚えてないんだよね。

「……あー、そうくるか。わかった、いいぞ。なーあ、シャーロット? もう戻すからな、シャーロット!」

 モルゲン先生はこれみよがしに連呼してきた。それを冷めた目で見るのがリヒターさんで。

「私は殊勝と申したのですが。何故、戻されるのでしょうか」
「俺はもう、お前達には振り回されないんだよ!」
「はて、私達とは――」

 やいやいと騒いでいた。ああ、日常が戻ってきたんだね。



 私とリッカは帰路に着いていた。学園に戻る先生とリヒターさんとは別れた。そうリッカと二人だけになった今だからこそ。

「さ、寒い……」

 私は委員服のみでコートを着てこなかった。コートを貸すと言ってくださった先生から遠慮をした。というか、リヒターさんも礼服のままだったし、寒いんだろうな……寒さにわりと耐性がある私でもこうだし。

『寒いです』

 ……ふふ、思い出しちゃった。そうやって即答しておきながら、防寒具の貸出を断ったリヒターさんのこと。

「リッカ、抱っこさせてくれる?」
「わあっ」
「はあ、モフモフ……」

 リッカを抱っこして暖をとった。エネルギーチャージは完了した。歩きたがりのワンコを地面に下ろし、私は歩き始めた――。




 久々の我が家に戻ってきた。早速大掃除に取り掛かった。手伝う気があったリッカは、ここは裏のおばあさんの家で待機してもらうことにした。リッカは彼女のことを好いている、懐ききっているんだよね。

「……おばあちゃんちの子になるって、あれは嘘だったにしろ」

 私は危機感を覚えつつあった。気持ち急ぎ目に掃除していく。

「あれ?」

 台所にあったのは……ハチミツのガラス瓶? どうして? それは未開封だった。とても可愛らしいもの、私は買った覚えがない。いや待って、と思い出す。

「……」 

 アレだった。自室のベッドと同様に、『ある日々』の名残の産物だった。

「いやいや、単なるハチミツだし。普通のお土産だし?」

 なにも考えることもない。変哲もないハチミツ。『彼』からの贈り物ではあるけれど……。

「……」

 どうしてだろ、隠しておきたい気持ちにも駆られたりする。いやいや、後ろめたいこと、ある? ないでしょ。私はそのまま置いておくことにした。





 これは良い機会だと、私は徹底的に掃除を行った。すっかり夕暮れ時となっていた。

 リッカを迎えにいくと、とんでもない現場を目撃してしまっていた。

「ああ、リッカちゃんは可愛いねぇ」
「わふっ」

 リッカがお腹を見せて、老婦人に撫でさせていた。あれは相当なレアなのに……! 犬の弱点でもあるお腹は、私たちでようやく許されるもの……しかもそんなに機会もないのに!

「おや、シャーロットちゃん。ふふ、ばあばとリッカちゃんの仲良しぶりよ」
「……!」

 老婦人の目が光っていた。私は更なる危機意識を持つことにした。


 リッカと一緒に自室で就寝につくことにした。もう、カイゼリン様の事件は解決したんだ。この大晦日前日の夜も、無事越えられると信じて――私は瞳を閉じた。


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