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第二章
大晦日は終わっていない
しおりを挟む彼らが帰ったことにより、私とリッカだけになった。もう寝る時間だね、私たちベッドの上でまったりしていた。この日が終わると、新しい年となるんだね……。
「よいお年を」
私がそう言うと、リッカは不思議そうな顔した。私は理解した。こちらの世界だと、そうした習慣はないんだなって。
リッカは仰向けになった。さきほどまで、リッカのお腹は膨らんでいたね。ぱんぱんだった。競うような彼らの料理に、リッカは食べつくしていたんだ。彼らは食べ過ぎは気をつけていたのに、と反省もしていた。
これだけリッカが喜んでいたんだ。今度、レシピ教えてもらおうっと。
「うん、アルトとリヒターのも美味しかった。でも、シャーリーのいつものも美味しい!」
「本当にこの子はー! 可愛いな、可愛いなあ! いいんだよ、私がそうしたいんだから、いいんだよ!」
私はリッカの発言に感動し、興奮もした。リッカの為なら、努力だって厭わない。私は寝る前だというのに、リッカへの想いに溢れていた。
「シャーリー、アルトみたい」
「似てた? そんなに?」
「うん」
確かにそうかも、そうかもしれないけれど、こう、釈然としないというか……!
そんなアルトも、カイゼリン様やリヒターさんも。遊びに来てくれて盛り上がった。たくさん笑い合っよね。
「えへへ」
リッカも笑った。ご機嫌だった。涎も出ていたので、私は拭く。料理を思い出していたんだね、リッカ?
「すぴー」
気がつけばリッカは寝ていた。寝息を立てていた。寝ながら、前足は動いていた。料理のこともだけど、たくさん遊んだりもした。その時の夢も見ているのかな。
「幸せだねぇ」
私は幸せを噛み締めていた。
今回も守り抜いた。自分たちが望む未来を勝ち取ったんだ。私は安らぐリッカを撫でた。このぬくもりも本物なんだ。
「すやすやだねぇ……」
純白でフワフワなモフモフ。怖がりではある。だけれど、純粋な気持ちで誰かを助けたいというのも。本当は勇気があることも。ちゃんと私は知っていた。
「……」
静かだね。静けさが訪れると、私は考え込んでしまう。
「よいお年を、か」
そう言って、笑ってくれた大人の男の人。私が好きな人。
「君が綺麗過ぎるから……」
未だに残るトラウマ。汚い感情。この子には知られたくなかった。でも、リッカが好きなのも、大切に思う感情は本物なんだよ。だからこそ、私はこの世界で生き抜いていきたかった。
――氷の力を持つ、小さな魔法屋の店主。シャーロット・ジェムとして。
「……」
リッカはいつにも増して熟睡っぷりがすごい。まだ、年は明けてない。冬花だった頃は徹夜したり、初日の出を見に出かけたりもしたね。
「私も、寝ようかな」
まだ大晦日のまま。今年はまだ終わってない。私はすごく眠かった。リッカを起こさないようにベッドに潜り込んだ。リッカは、ちょっとした物音、話し声、色々心配してすぐ起きたりする子だ。
「大爆睡だ……大丈夫?」
リッカは仰向けになったままだ。本当に起きない。私は耳を近づけてみた。寝息はある。うん、はしゃぎ疲れたんだね。
「まだ謎は残っているけれど……」
リンクしていると思わしき、鳥籠の夢。錠前はまだ存在している。だからこれは束の間の平和だとしても、私はそれに浸ってもいたいの。
「おやすみ」
ここで眠れば、明日はもう新しい年。
私たちが生きていられる日々が待って――。
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