春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第二章

あなたは知らない②

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「まあ、あなたなら抵抗はあるのでしょうね――では、こちらから」

 私の指によって、あなたの唇は開かれる。この感触もいつまでも味わいたいですが、そろそろ入れましょうか。あなたの舌もなぞりながら。

「……ほら、滴ってる。舐めてくださいませんか?」

 いつまでも舐めようとしませんね。今の顔、わかってるのかな。あなたのお口から、ハチミツも、涎も。美味しそうに滴っているってこと。そう、この表情。

「あなたのその表情を、いつまでも眺めていいのなら。私は構いませんが」

 さすがに苦しそうなので、舐めてくれませんか? あなたのこの表情もまた、好きなんですけどね。こんなだらしない顔。それと、怒り気味の顔。ああ、本当に。

「……ふふ」

 ああ、笑ってしまいました。あまりにも愛らしいことをするものだから。だって。
 私の指に両手を添えて。涙目になりながら、舐めてくれている。ねえ、満足するまで付き合えばいいって思ってる? いつかは満足してくれるって、本気で思っているのかな。

「――このくらいにしておきましょうか」

 彼女の愛らしい舌によって。とっくにハチミツは舐めとられていた。いつまでもという思いもありましたが、もっと別の楽しみも待っていますから、ね? 

「……」

 指は抜いたものの、すごいことになってますね。特に口元が。ああ、近くのナプキンでまた拭おうとしてます? やめてください、もったいない――そのまま、舌で舐め取りたい。

「……まだ、許されないようですね」

 本当はね、味わいたい。口から顎、首元にかけて、私の唇を寄せて。さすがに倒錯的でしょうか。

「こんなにも美味しそうなのに……」

 いけない、声に出してしまいました。ええ、そのまま拭いていてください。今は我慢しますから、今はね。

「落ち着きませんか? 私の視線が気になりますか?」

 私はじっと見てきたでしょう。こんな風に熱が篭った眼差しで。いつだってそう。

「今の顔を見られたくない? いえ、そこは断ります。だって、今のあなたは――」

 もうね、ささりました。認めます。もちろん、あなただからこそ。他の方なら、汚い。それで終わりですから。私がそういう男だって、ご存知でしょう? 
 いつだって、そうでしょう。あなたをそのような目で見ていた。

「――え? 最初はそっけなかったって。自分でも信じがたい事ですが。その話もいずれ、ね?」

 聞きたがっているようですが、こう、恥ずかしい話でもあるのです。今は、あなたを味わいたいのです。
 何よりも甘いあなたを。

「おや、どちらへ?」

 あ、顔を洗いに行くつもりでしょうか。でしたら。

「お風呂、一緒に入りましょうか」

 はい、わかっておりました。まず、抵抗されるんですよね。ええ、わかってます。ええ、ここは引き下がりますよ。私は物分かりがいいですからね。

「ところで。こちらですが、まだ残ってますよね?」

 おっと、何か勘づいたようですね。今になって一緒にお風呂に入ろうですか。ええ、そうですね。後で入りましょう。まずは先にこちらを。

「使い切っちゃいましょうか」

 ――試してみませんか? 
 恥じらいはするけど、のめり込むあなただから。ほら、試しましょうか。


 
 結局、二人でお風呂に入りましたね。色々とお疲れでしょう。今夜はもう、このまま眠りましょう。同じベッド、同じ布団にお揃いの寝間着。私に体を預けてくれるあなた。こんな夜があったっていい。

「ああ、そっけなかった件ですね……そうですね、話しておきますか」

 情けない話ですから、話すのもでしたが。不安そうな顔をさせたままなのもね。

「……あくまで仮定の話です。私からしてみれば、そっけないなんてあり得ない話ですから」

 あなたは不思議な人ですね。あなたと出逢う前の私を知っているようだ。もしかしたら、あなたにそっけない私も、見てきたのでしょうかね。まあ、あなただとあり得ない話ではない。そう思えてならないのです。

「仮定です。単に緊張していたか、あなた相手だとうまく取り繕えなかったか。そのあたりかと」

 いえ、本当にそうなのだと思いますよ。きっと真逆のこと言って困らせたり、わざわざ絡みにいったり。そのくせ、会話はしょっちゅう途切れさせていたり。

「必死だったと思います。それこそ、カイゼリン様の話題を出せば盛り上がるかな、とか。それか、あなたが話しかけてくれるから、自分も頑張ろうとか。ねえ、可愛いものだと思いません?」

 うん、信じられないといった顔をしてますね。いや、可愛いでしょう? 気になっている子の気を引きたかったんですよ?

「ええ、幼かったんです。子供っぽい。そんな態度で困らせたのでしょうね」

 ああ、違うと首を振ってくれますね。いいのですよ。そんな私でも。そんな面倒くさい男でも、あなたは好きになってくれたのですから。

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