春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第三章

つまり……推し活!

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 当面の方針は決定した。お子さんから接触してみよう。 
 学園のアイドル的存在、リナさん――彼女を追っかけると。
「……えへへ」

 リナさん、だって。し、仕方ないよね? お父さんもゼンガーさんになるわけだから、彼女のことはリナさんってお呼びしたって。いいよね、ドキドキするけれど呼んでいいよね……!?

 さあ、リナさんに接触していこう……! 不自然でないようにとなると……推し活!

「私、推し活の準備もしておきますね。それと、学園長へのご挨拶もいかないと」
「まあ、そうだな。俺達は行くから、一旦、リッカのこと任せていいか?」

 先生に付き添っていただき、入学の手続きをしに行くことにした。リッカのことは、アルトにと先生が頼んでいた。

「いいよ。リッカ、今晩はお泊りな」
「うん、アルト!」

 リッカは椅子から机の上、最終的にはアルトの膝の上に移動した。一旦どころかお泊りにまで発展していた。リッカもアルトも楽しそうだから、いいのかな? ……寂しかったりもするけれど。

「ありがとう、アルト。リッカ、明日お迎えに行くからね」

 お礼を言うと、アルトは親指を立てた。とても上機嫌だった。リッカも笑っている。いいんだね。

「あとは、俺の課題かぁ……そうだなぁ、学生だからなぁ。ちゃんと勉強だけやってないと」
「アルト?」

 アルトが殊勝なことを言っていた。ここは素直に感心したいところだけど……どこか様子がおかしくない?

「アルトぉ? 俺は善処してやっただろ? お前は元々優秀なんだ。特別にテストを受けさせて、合格すれば免除。今回もそうしてもらうつもりだが?」
「モルゲン先生……」

 モルゲンが生徒、そして弟思いのことを言っていた。ここは素直に尊敬したいところだけれど……やっぱりアルトの様子がおかしい。先生の企みでもあるのでは……? 一枚かんでいるのは確かみたい……。

「なあ、アルト? ――『今回』もそうしような?」

 今度はアルトの前に立って、机に両手をついていた。有無を言わさない笑顔で、先生はアルトに耳打ちをしていた。

「――、だろ?」
「くっ……」

 アルトにとってその言葉の効果は絶大だったようで、従うしかないようだった。

「……美味しい食べ物の為……お米の為……高そうなハチミツ瓶の為……稼ぐ、稼ぐんだ……!」
「待って、アルト。稼ぐって……モルゲン先生?」

 アルトが稼ぐようなことを、先生がさせているってこと? ギルド関連ならば、アルトが直近で疲弊しているのも納得のいく話だった。

「おっと、シャーロット。俺の可愛い弟だぞ。決して危険なことはさせてない。な、アルト?」
「……危険、はね」

 アルトも渋々答えていた。嘘とは思えなかった。身の危険が迫るようなことをさせてないのは確かのようで。

「……うん、話しておく。俺ね、最近中央ギルドにいるんだ」
「え!」

 アルトは先生をちらっと見たあとに、そう教えてくれた。先生の仲介とかかな?
 私はもう驚いた。突然の話でもあったけれど、所属できるのは精鋭だって聞いていたから。

「あ、ごめん驚いて。アルトなら相応しいよね」

 そうそう驚くこともなかった。アルトの実力なら申し分ないし。

「シャーロットが褒めてくれてるぅ……俺、ギルド仕事に力入れるから! 稼ぐから!」
「……あ、そこは無理しないでほしいというか」
「えー……稼ぎたいぃ……今すぐにでもクエスト受注して――」

 アルト……ギルドのことで頭一杯になっているの? ここで目を光らせたのは先生。釘を差す。

「アルト、テストは明日一日びっちりな。今日の内に休んでおけよ」
「はいはい……リッカとお散歩いったら、爆睡してるんで」

 事前の勉強は不要なアルト、彼は現実を受け入れつつ。せめてとリッカと癒しのひと時を送ることにしていた。

 話はついた。今回は、リナ・ゼンガーさんへのコンタクト。それが、この学園においての重要事項だった。

「それじゃ、行ってきます」
「うん、いってらっしゃい」

 教職員寮を出て、二手に分かれることになった。アルトがリッカを抱っこし、ワンコの手でバイバイしながらだった。その様が可愛くて、私も笑いながら手を振り返した。
 アルトは悶えていた……なにかを連呼しながら。


 閉まる扉と共に聞こえる声、それは。

「――ところで、リッカ。『オシカツ』ってなんだろね?」
「?」

 アルトは試しにリッカに聞いていた。リッカは小首を傾げるだけだった。
 そっか、こっちだと普及してないんだ。うん、教えておこう――。



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