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第三章
リナ、アル君とお話したいの!
「ほらぁ。あとさ……俺の仮説なんだけどさ。ゼンガー先輩――男の娘なんじゃないかって」
「へ」
アルトが突然言い出した。突然……リナさんが男の娘であると。
「……」
私は困りきっていた。本当に突然、唐突だったから。アルトはまだ主張を続けていて。
「ほら、結構クオリティ高かったりもするでしょ? 普通にあり得る話かなって――」
「……アルト、あのね」
それでも勝手に仮定をすることもないだろうと。私はさりげなく訂正しようとしていた。
「……勝手に決めつけんなし!」
怒り気味の声が、後方から聞こえてきた。私たちは声の主を見た。
「リナさん……?」
「……どうも。もうー、なんなのよ……」
不機嫌というよりは呆れ顔。そんなリナさんが一人で来ていた。単独なのもだけれど、学年が違う階に訪れるのも珍しかった。
元々アルトのことで注目されていたものの、リナさんの登場によってさらに注目されることになった。
「……」
「リナさん、こんにちは。誰かに用事でもあったりしますか? それでしたら――」
まともに喋らないアルトに代わって、私が聞いてみることにした。いや違うと、アルトのことを見た。用があるのって、アルトにじゃない?
そうだよ、リナさんって確か。
「……」
アルトは私を無言で見ていた。何かを考え込んでいるようで。
「アルト……」
「……ほんと、仲良くなったんだね。君なりに、そうやって」
「えっと……」
アルトは呟いていた。どのような感情で言っているか、私にはわからなくて。
「リナちゃん、もしかして……」
「あーん、複雑ぅ! リナ様の恋も応援もしたいけど、私達のリナ様であってほしいというかー」
周りも騒ぎ立てている。リナさんがアルトに迫っていたのは有名な話だという。ならば、目的はアルトだろうと、誰しもが思っている。私だってそう思っていた。
「あの……」
リナさんはどうしたことか、言いづらそうにしている。周りは照れているからだろうと、微笑ましく見守っていた。それが余計に。
「……私は、ううん、『リナは』――」
やりづらそうにさせていた。
「どうしたんだろ、リナちゃん?」
「リナ様?」
ファンからの声に。
――いつもと違わない? この声に。
「……っ」
焦燥感に駆られていたのが、リナさん。
「……私は、『リナ』なんだから」
それから――リナさんの表情は一変した。
「――こんにちは、シャーリー! それにアル君発見! 今、いいかな? リナ、アル君とお話したいの!」
「え」
アルトは真顔で返していた。それでもめげないのはリナさんだった。
「もう、つれないんだから。すぐ済むからー、ねっ?」
「すぐ済むのなら」
「……良かった」
リナさんは渾身の上目遣い。対するアルトは無表情のままでも、聞く姿勢だった。リナさんの顔は安らいでいた。心から安心したかのような顔だった。
「やった! アル君、あのねっ。年末にイベントあるでしょ? それで、リナね。アル君と……一緒に過ごしたいなって。ダメかな?」
リナさんは瞳を潤ませながら、アルトの服の裾を掴んでいた。その健気さに、周囲の人達は息を呑んで見守っていた。
「ゼンガー先輩……」
自分の制服の袖を掴む感触、自分を見つめる瞳。アルトに向けて伝わった――『彼女の思い』。アルトもそう、リナさんの瞳を見つめた。真っすぐに――覗き込むように。
「え、アル君……?」
リナさんもまた、困惑しつつも彼の瞳を見つめ返していた。なんというか、二人の世界というか……。
「……なるほど」
アルトはそれだけ言った。しばらく黙っていた彼を、周りはもどかしく思っていた。
「へ」
アルトが突然言い出した。突然……リナさんが男の娘であると。
「……」
私は困りきっていた。本当に突然、唐突だったから。アルトはまだ主張を続けていて。
「ほら、結構クオリティ高かったりもするでしょ? 普通にあり得る話かなって――」
「……アルト、あのね」
それでも勝手に仮定をすることもないだろうと。私はさりげなく訂正しようとしていた。
「……勝手に決めつけんなし!」
怒り気味の声が、後方から聞こえてきた。私たちは声の主を見た。
「リナさん……?」
「……どうも。もうー、なんなのよ……」
不機嫌というよりは呆れ顔。そんなリナさんが一人で来ていた。単独なのもだけれど、学年が違う階に訪れるのも珍しかった。
元々アルトのことで注目されていたものの、リナさんの登場によってさらに注目されることになった。
「……」
「リナさん、こんにちは。誰かに用事でもあったりしますか? それでしたら――」
まともに喋らないアルトに代わって、私が聞いてみることにした。いや違うと、アルトのことを見た。用があるのって、アルトにじゃない?
そうだよ、リナさんって確か。
「……」
アルトは私を無言で見ていた。何かを考え込んでいるようで。
「アルト……」
「……ほんと、仲良くなったんだね。君なりに、そうやって」
「えっと……」
アルトは呟いていた。どのような感情で言っているか、私にはわからなくて。
「リナちゃん、もしかして……」
「あーん、複雑ぅ! リナ様の恋も応援もしたいけど、私達のリナ様であってほしいというかー」
周りも騒ぎ立てている。リナさんがアルトに迫っていたのは有名な話だという。ならば、目的はアルトだろうと、誰しもが思っている。私だってそう思っていた。
「あの……」
リナさんはどうしたことか、言いづらそうにしている。周りは照れているからだろうと、微笑ましく見守っていた。それが余計に。
「……私は、ううん、『リナは』――」
やりづらそうにさせていた。
「どうしたんだろ、リナちゃん?」
「リナ様?」
ファンからの声に。
――いつもと違わない? この声に。
「……っ」
焦燥感に駆られていたのが、リナさん。
「……私は、『リナ』なんだから」
それから――リナさんの表情は一変した。
「――こんにちは、シャーリー! それにアル君発見! 今、いいかな? リナ、アル君とお話したいの!」
「え」
アルトは真顔で返していた。それでもめげないのはリナさんだった。
「もう、つれないんだから。すぐ済むからー、ねっ?」
「すぐ済むのなら」
「……良かった」
リナさんは渾身の上目遣い。対するアルトは無表情のままでも、聞く姿勢だった。リナさんの顔は安らいでいた。心から安心したかのような顔だった。
「やった! アル君、あのねっ。年末にイベントあるでしょ? それで、リナね。アル君と……一緒に過ごしたいなって。ダメかな?」
リナさんは瞳を潤ませながら、アルトの服の裾を掴んでいた。その健気さに、周囲の人達は息を呑んで見守っていた。
「ゼンガー先輩……」
自分の制服の袖を掴む感触、自分を見つめる瞳。アルトに向けて伝わった――『彼女の思い』。アルトもそう、リナさんの瞳を見つめた。真っすぐに――覗き込むように。
「え、アル君……?」
リナさんもまた、困惑しつつも彼の瞳を見つめ返していた。なんというか、二人の世界というか……。
「……なるほど」
アルトはそれだけ言った。しばらく黙っていた彼を、周りはもどかしく思っていた。
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