春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第三章

おそろい、いっしょだよ、ねっ?



 その日の夜はリナさんに招かれた。お風呂上りには早速だった。

「――シャーロットはさ、せっかく綺麗な肌してるんだから。はい、これ。リナ愛用の美容液に乳液。あと、ボディクリームも塗り塗りと」

 私の肌は整えられていく。髪もそう、彼女愛用のものをふんだんに使われた。



「えへへ、お揃いのパジャマー。うん、可愛い可愛いー」

 先生たちと別れたあとに立ち寄ったお店。下着もパジャマも全てお揃いで購入していた。

「お揃いだぁ……うふふ」

 リナさんはご機嫌だった。私を抱きしめたまま寝ていた。





「――おはよ、シャーロット。ほら制服だって、お揃いでしょ? うーん……なんだろ。ずっと後悔したことがあって。ほんと、記憶にないんだけど」

 リナさんは疑問を抱きながらも、制服に着替えた私を見ていた。

 以前にもリナさんの制服を着る機会があった。その時の私はすっぴんであった。リナさんは記憶にないながらも、リベンジしたいという思いは残っていたようだった。

 ツインテールは前回のまま、加えてメイクまで施されていく。

「……ペアリング、したかったんだけどな。形見っていうなら、仕方ないよね」

 私の左手薬指に、リナさんは指を添わせた。これさえ無ければ、そう言いつつもそれは許容してくれていた。

「――よし、おっけ! ほら、見てみて?」

 姿見に映し出される私たち。リナさんは満足そうに頷いた。

「……かわいー。ねえ、シャーロット? 『リナ』とおそろい。二人で無敵――変な奴なんて、もう寄ってこないの」





 私たちが登校すると、それはもう騒ぎとなった。その姿を目にした誰しもが、驚きを隠せないでいる。

 生まれつき長かった睫毛はさらに上向きにカールされ、頬もチークによって紅潮させていた。唇も艶々としている。

 最も目立った特徴だったカナリア色の髪。それはいまや、漆黒の髪色に染まっていた。

 学園のアイドルであるリナ・ゼンガー――瓜二つな少女がそこにいた。

 あと違うとなると、身長、体格といったものくらいだった。そこはリナさんも気にしていた。それでもいずれは気にしなくなるだろう、そう考えているみたい。

 すれ違う人が誰しも、私を見ていた。

「……」 

 私は平然としていた。私にとっては、何もおかしいことではなかった。自分にとって大切な彼女とお揃いであること。

 ――共に『リナ』であること。何もおかしいことなんてないのだと。



 繰り返しの日々において。代償というものがあるのなら。

『――雪みたいだね。積もって、積もりつづけていく。でも、雪みたく溶けない。ずっと残ってるの』

 それが彼女からの思い、愛が含まれているとしたら。不用意に積もり、積もらせてきてしまったとしたら。

 もう溶けもしないとしたら。終わりがないのだとしたら。

 代償とはなんなの。何が代償だというの。

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