春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第三章

染められる日々①




 担任により、自己紹介の場を設けられた。私は微笑んで名乗り出た。

「初めまして。私は、『リナ・ゼンガー』です。オシャレとカワイイ、キレイなものが大好きです」

 教室は騒ぎとなっていた。私ますます意味がわからない。そんな疑問がられること、ある?

「それで、リナはね――」
「……ジェム様」

 視線を感じた。静かで、それでいて強い思いが込められているものだ。

「……っ」

 頭を抱えた。そして、小さく。
 ――違う。そう声に出した。

「……すみません、間違えました。その、あまりにも推し過ぎて」

 私はひとまず弁明することにした。クラスメイトからの視線は注がれるも、理由づけとはなったのか。教室の雰囲気は少しは落ち着いた。

「私は、私は……シャーロット・ジェムです。あと、子犬も一緒です……よろしくお願いします」
「はい……シャーロット・ジェムさんです。ジェムさんね、ジェムさん。ほら、あそこの席空いてるから」

 私の顔は青褪めていた。担任は私の背中に手をあてつつ、空いている席へと誘導してくださった。

「はい……ありがとうございます」

 私は礼を言って、自分の席に着いた。ずっと私を見てたリヒターさんも横目で確認する。

「……ありがとう」

 声は微かなもの。口だけでの動きも同然だった。それでもリヒターさんには伝わっていた。彼は頷いていた。

「……」
「よ、よろしくね?」

 隣の席はロルフ君だ。いつもなら大歓迎してくれるはずなのに、彼は浮かない表情だった。私は内心動揺していた。それでも挨拶はしようとする。

「……うん、よろしく」

 ロルフ君はそれだけだった。彼は目をそらすと、俯いた。

「……うん」

 引かれたのかな……私はそれくらいにしか考えず、担任の先生の話に集中することにした。

「……」

 ロルフ君からの横からの視線が痛かった。私が見ていない時に、彼は見てくるという。私がそれとなく訊いてみても……『別に』だけという。モヤモヤする……。




「シャーロット!」

 教室に飛び込んできたのは、アルトだった。遠慮無しに入り込んでくる。

「アルト、どうしたの?」
「どうしたのって……ああ、でもシャーロットだわ。このキョトンっぷり、うん、シャーロット」

 アルトは一息ついていた。見た目がリナ・ゼンガーそのものでも、中身は私のままだって。

「ふう。あのさ、シャーロット――」

 アルトは安堵の表情を浮かべつつも、それでも問いたださずにはいられないようだった。

「……アルト様。一度、場所を移動された方が」
「確かに。シャーロット、ちょっといい?」

 教室にいたリヒターさんからの申し出を、アルトは素直に受け入れていた。リヒターさんもついてきそう。いつもなら不満そうなアルトも、それは気にしていられないようだった。
 今はこの尋常ではない事態のことだと。

「――ハニー、あっそびにきたよー! あとね、うれしいお知らせー」

 この緊迫めいた場に似つかわしくない、浮かれた声がした。やってきたのは、リナ・ゼンガーだった。って、ハニー……?

「あのさぁ、アル君? 近い。どいて。でね、シャーロット、きいてきいて?」

 アルトが追いやられていた。リナさんは私と両手を組んだ。

「ほら、リナたち? ラブラブでしょ? それで、なんか仲良しっぷりをアピりたいなってー。それで、たのしいイベント企画しちゃいましたー」
「は!? ラブラブ!?」
 リナさんの言葉に、アルトは大きく反応していた。リナさんは横目で見るも、説明を続ける。
「……ほんま、アル君うっさいわ。でね、冬休みがいいかなって、でね、三十日に決定しました! イベント内容はね、『みんなでリナになること』ってやつ! ね、いいでしょ?」
「はあ!? なにその内容!?」
「ほんとうっさいなぁ……」

 アルトが騒ぎ立てている。それをジト目で見るのはリナさんだ。

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