春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第三章

あんたを解放するからね③

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「それにしても。記憶ってやっぱり消えるんですね。といっても――」

 リナさんは何の記憶すらも覚えていないはず。私だって、具体的な内容は知らないままで――。

「……リナさん?」
「……」

 リナさんがすごい勢いで瞬きをしていた。口角は上がっていても、無理に上げているようでもあった。この顔はどういうこと?

「あの、リナさん? 実は覚えていたりとか……」
「ううん? 覚えているってなにが? 私、なんのことだかわからないけど?」

 リナさんは目を大きくして訴えてきていた。目力もすごい。圧されそう……!

「……リナさんがそう仰るなら。そっか、やっぱり忘れるんだ」

 私は彼女を信じた。そういうことなんだよね、うん。

「――って、私のが無くなってもね。まだ、四個もあるとか。特に、これ。これよ、これ!」
「!」

 リナさんは恐れも知らずに、大型の錠前に触れていた。それを持ってブンブン振るまでしていた。

「なにげに壊れたらとか思ったけど……なしか」

 リナさんは頬を膨らませた。ぷんすかしながら床に直接座り込んでいた。

「まだ眠くないし。ほら、話聞いてくからね」

 座り込んだ彼女は、長話をする気十分だった。

「……リナさん? お話って?」

 座ることにしたシャーロットは、胸騒ぎがしていた。リナの興味は錠前に向かっていた。まさかと思うも。

「あんたの心当たり、確認していくのよ。とことん追及していくからね?」
「え」
「え、じゃないっての」

 それは話し難いこと、でもリナさんは真剣に耳を傾けている。うん……何かの手がかりになるかもだし。恋愛というよりは色々話もしないと、だよね? そう、これまでのことを――。

 夜はまだ長い、私はこれまでの経緯を語り続けていた。

「……いや、他の狼候補のことをって、おーい? シャーロットー?」

 私は語る、これまでの道のりを――。



 ……ん。まだ、夢の中、なのかな? 私の感覚は漂っているかのよう。この浮遊感の中、聞こえてきたのは、リナさんの声……?

「――寝ちゃった」

 うん、リナさんだ……彼女の心地良い声、好き。

「……頑張ってきたんだね。リっちゃんはいてくれたけど、それでも大変だったでしょ」

 私を労わってくれる、優しい声。

「今度は私が、シャーロットを助けてみせるからね。私だって、あんたに頼りにされたいんだから」

 ありがとう、リナさん……って、リナさん?

「ところで、これ。なーに?」

 リナさんはその小さなハートを空中でキャッチすると、大切そうに胸元にしまい込んだ。

「ふふ、なんでかな。思い出しちゃった。ふふ、ふふふ……」

 リナさんはクスクス笑っていた。

「かわいー……」

 リナはその場でうつぶせになって、両頬に手をついて、微笑んでいた――。


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