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第三章
友達になってくれて
「親ともうまくいかない。学校でもぼっちだった。受験勉強も集中出来てなかった。そんな冬花の人生だったけど。でも……悪くない人生だって。ほんと最近だけどね、思えるようになったから」
「冬ちゃん……」
「日向ちゃんもいてくれた。冬花と友達になってくれて、ありがとう」
「……!」
日向ちゃんもいてくれたから。彼と出逢えたこともまた、冬花の人生も捨てたものじゃなかったと、思わせてくれたの。私は感謝の気持ちで一杯だった。
「……ううん。オレこそ、冬ちゃんがいてくれたから」
「うん……」
彼の目は赤くなっていた。今にも泣き出しそうな顔だった。
「っと、いけね。まずは、この鳥籠をどうにかしなきゃ、なんだけど」
ロルフ君は忌々しそうに鳥籠、そして錠前を見ていた。
「……なんだけど。オレ、出来ること限られているからさ。ごめん、あんま力になれないかも!」
ロルフ君は両手合わせて謝ってきた。私は慌てて手を振った。
「そんな、いいんだよ。こうしてまた、日向ちゃんに逢えて嬉しかったし」
「ううう、冬ちゃーん……まあ、でもね! 話くらいなら、聞けるし! 気兼ねなく話してねー?」
元気になったのかな? それなら良かった。話を聞いてくれることも嬉しくて――。
「気兼ねなく……」
……鳥籠にまつわる彼らを思い浮かべた。気兼ねなくというには、話し難い内容ばかり。というか、話せない……。
「そーそー! 話した方が楽ってことあるじゃん? 大変っしょ、あのヤンデレ集団の相手!」
「……ヤンデレ」
ロルフ君だからなのかな……そう呼べたのは。ああ……うん、そういうことなんだ……。
「そうそう! なんか大人しくはしているみたいだけど、油断はしちゃだめだぜー?」
「そんな、ねえ……?」
私を解放するという道を選んで――彼らは解き放っていたと。私は信じたかった。
「……」
ロルフ君、どこまで把握しているのかな。誰がどうこうとか、本当にどこまで知っているのかな。私はそれも怖かったりした。
「……ほんと、油断しないで。オレねぇ、思うんだ。あまり話し過ぎない方がいいとか。それこそ――冬ちゃんのこととか」
「……!」
ロルフ君はそれが望ましくないようだった。
「……強制はしないけどね。オレは言わなーい。言う義理もないし」
「私は……私も。今は言えない」
「今は?」
「……えっと。当分は考えられない、かな」
一度だけ、アルトに前世のことを話していた。それも彼が病んでいた時に。今は大丈夫だと思っても、話すのは躊躇してしまう――私が思うところがあるから。
前世の話をしていると――みっともなかった恋の思い出が、ずるずると引きずれているようで。私のメンタルの問題だった。
いずれは話さなくてはならなくても。今はまだ、厳しい。
「……まっ、いいけど。こうしてさー、話せるだけでも充分っていうか」
「私もだよ、ロルフ君」
「……うん、シャーリーちゃん」
私は驚きもしたけれど、一番の気持ちは嬉しいというものだった。ふとした時にでもまた訪れてほしい。ロルフ君はそう思える存在だった。
大型の錠前一つ。中型の錠前が三つ。まだシャーロット・ジェムは捕捉されたまま。
まだ鳥籠の中、囚われたままだ。
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