春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

よそよそしいモフモフ……

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「ただいま、リッカ」
「おかえり、シャーリー……あ」

 いつものように大歓迎かと思いきや、リッカは顔をしかめた。リッカ、どうしたの……? それからやたらと匂いをかいでくるし……。

「この匂い……」
「リッカ……?」

 嗅ぐのをやめると、リッカは窓際へと移動した。それから背中を向ける……リッカ?

「……どうしたの?」

 いつもと様子が違っていた。私は心配になってくるよ……。

「なんでもない」
「そう……? あのね、今日本借りてきたの。ほら、絵本とか。学習書も――」
「……僕、いい」

 リッカは背を向けたまま、寝てしまった。体調でも悪いのかと私は覗くも、リッカはすやすやと寝ていた……健康面は問題なさそうだけど。
 私は読書は止めて、リッカを見守り続けていた――。




 散歩の時間頃には、リッカは起きてきた。寝起きの彼は、私をじいっと見ていた。

「ごくっ……」

 気になって読書どころではなかった。彼の動向を見守る。

「わふっ」

 リッカは一声鳴くと,、私の体に擦りつけてきた。自分の体毛をこすりつけるようだった。

「うん、これでいいや。えへへ、お散歩いこう」
「う、うん?」

 私はわからないままだった。リッカの機嫌が良くなったのでそれでよしとした。



「――あら? お散歩かしら」
「はい、クラーラさん。クラーラさんもお出かけですか……」
「ふふ、ご明察。まあ……こわいお顔。くすくす」

 散歩に出るところで、ちょうどクラーラさんと出くわした。私服姿であり、彼女も出掛けるようで……もう。頻度は本当に減らしてくれたようでも、全く無くなったわけではない。

「……もう、いいです。ご無事ならばそれで」

 野暮なのかな……もう首を突っ込むこともないと、私は早目に諦めた。

「あら、寂しい。心配してくれて嬉しかったのに」
「……そうですか」

 残念がるけれど、やめてはくれないんだから……。

「それと――こんばんは、愛らしい子犬さん? 噂のリッカちゃんね。私はクラーラよ」
「わんっ」

 クラーラさんはリッカに合わせて屈んだ。リッカも尻尾を振って挨拶をした。

「……」 

 そういえば……このタイミングでの対面になるんだ。
 かたや春の女神の巫女。かたや春の女神の愛犬。巡り合わせかな――にしては、リッカが普通の対応過ぎる気も。

「――ああ、だからかしら。ふふ……あなたの匂い」

 膝から立ち上がったクラーラさん……またしても私の耳元に口を寄せてきた。前にも独特な匂いが気になると言われたことがあって……トラウマというか。

「……犬の匂い、するわね?」
「ですよね」

 ……はい、今回ばかりは言われても仕方ないですね。あれだけリッカに匂いをすりつけられたのだから、犬臭がするだろうと。私にとってはよくても、すれ違う人たちには悪いとは思っていた。気になる人は気になるものであって。

「ふふ、私はね――いつものあなたの匂いの方が好き」
「……っ」

 耳元で囁かれ、私はくすぐったくなってしまう。妙にドギマギしてしまったというか……。

「――てなわけで、お約束があるの。今度はゆっくりお話しましょうね?」

 私が惚けている内にと、クラーラさんはさっさと去っていった……行っちゃった。残されたのは私とリッカ。

「……もう。ねえ、リッカ。女神様の巫女様だよ?」
「?」

 リッカは首を傾げた。このピンと来てない顔はなんだろう……? 

 さらにリッカはまとわりついてきた。散歩を急かすようだった。

 すっかりいつものリッカ。うん、お散歩行こうね――。

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