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第四章
ララシアに行きたくなーれ……?
しおりを挟む「アル君さ、二人ってさすがにどうなの。つか、無謀過ぎ。いい? グループ旅行とかにすればいいのよ」
「グループ旅行……!」
リナさんのアドバイスに、アルトは衝撃を受けていた。その手があったかと。
「グループ旅行……」
私もとても良い響きだと思っていた。和気あいあいと仲間たちの旅行。青春そのもので――。
「リッヒとか? 他にも交流がありそうな子とか。みんなで楽しくいけばいいのよ。みんなで――」
リナさんのアドバイスはこうだった。自分も含めて、グループとして旅行をすればいいと。健全に、また、恋のきっかけにもなるかもしれない。恋の――。
「……あかんわ。これこそ無いわ」
なんと、リナさんは訂正してきた。それも私たちの顔を順々に見ては唸っていた。
「この面子……修羅場だわ。旅行だし、ララシアとなると泊まりだし。どこに和気あいあい要素があるかっての」
リナさんは額に手をあてた。アルトもあー、と声に出す。
「和気あいあい、想像できねぇ……でも、シャーロットやリッカを連れていきたい……」
「うん、リナもね。旅行誘おっかなーって考えてたんだけど。ほら」
リナさんが見せてくれたのは、チラシだった。案内――募集告知の。
「ギルドの有志でね、ララシア行こうって。そこで、給仕係も募集していて。シャーロットも一緒に応募したりして。三連休だし、往復代浮くし? いいかなって思ったけど、こうね、抜け駆け感がもあるかなって」
「くっ……」
――アル君みたくって。リナさんは冷え切った目でアルトを見ていた。
「……今は仕方ない。いつかの楽しみにとっとく」
アルトは項垂れながら、今は引き下がることにした。
「……」
楽しみに頑張ってくれたアルトには申し訳ない。誘おうとしてくれたリナさんも。
グループ旅行は素敵だと思うし、楽しそうでもあったけれど。
ただ、気まずくて……私たちの関係が。
彼らは深入りした関係だったことは忘れているはず。私だけが覚えているのだろうから。
うん、彼らは忘れているんだから。蒸し返さない、私も気にしない、と! ……どうしても気にしてしまうだろうけど。
「……うん、そうだ。新婚旅行にとっておこう。もちろん、シャーロットが行きたくなったらいつでもいいからっ!」
「なにそれ、飛躍しすぎ。まあ、リナもね。卒業旅行に付き合ってもらおうかな? 別にみんなとだっていいし?」
「……」
「……」
この二人の渇ききった空気感……。
「……ええと、そうだね。いつかは行ってみたいよね、ララシア」
気まずい私は発言をした。苦し紛れともいえるような……。
「じゃあさぁ、一緒に行こうよー。今すぐだっていいし! 君が乗り気になってくれればいいのにさぁ?」
「いつかはー、じゃないっての。じゃあ、一緒に労働船に乗ればいい話よ」
「うう……」
非難轟々だった……。
ララシア旅行の話は流れてしまった。せめてと、時間が許す限りお茶をすることにした。リッカが待っているから、そこはみんなわかってくれていたから……!
「ララシアかぁ……」
青き海を彷彿させるドリンク。海、綺麗なんだろうなぁ。海かぁ……。
「……ふふふ、行きたくなーれ?」
「はっ!」
アルト、またしても……!? 暗示をかけようとしてきたアルトを。
「なにしとるん……ま、アル君は放っておくとして。あー、お昼も食べとかないと」
リナさんは呆れながら見ていた。そんな彼女は体を伸ばしていた。
「いいなー、お喋り楽しそ―。ね、シャーロット、今度はリナにも付き合ってよね」
「うん、もちろん」
「約束だぞ? じゃあねー」
リナさんは小走りに去って行った。お疲れ様です……。
「ふふふ、シャーロット? ほら、フードメニューもあるよ? ララシアの特産物だってさ? おっと、割り勘、割り勘ね?」
アルトは二人になると、しきりに勧めてきた。彼は諦めないと、張り切っていた。
その後は、仕事に戻ったリナさんにちょっかいをかけられながらも、私たちは会話を楽しんでいた――。
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