春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

落ち込んでいるのは――



 寮の自室に帰ると、リッカは玄関先で待っていた。私の足音なのかな、戻ってきたのに気がついたのは。

「おかえり、シャーリー!」

 シャーロットに駆け寄りつつも、匂いを嗅いでいた。美味しそうな匂いがするもんね。うん、匂いもだね。

「ただいまリッカ。お土産あるけど、これは夕ご飯の時に食べようね」

 私は肉屋に立ち寄って、リッカのお土産を買っていた。お留守番を頑張ったご褒美でもあった。

「うんっ」
 良いお返事、リッカの口元から涎は流れ落ちていた。本当は今すぐにでも食べたいんだね……ああ、あげたい! でも、本人は我慢頑張るって……ああ! 私は葛藤していた。



 お散歩行こう。




 リッカと連れ立って、学園内を散策していた。

 話している間に、ある場所に到着した。長い自動階段の近くだった。自動運転で運んでくれるそれは、高所にある空中庭園へと連れていってくれる。花も好きなリッカをよく連れていく場所でもあった。

「へっへっへっへっ」

 リッカは駆け上りたい気持ちもあったでしょうに、ここは大人しくお座りしていた。




 空中庭園へと到着した。冬の冷えた空気に、色とりどりの花。空の景色もまた、絶景であった。学園随一の景観の素晴らしいところ。訪れる者誰しもが、晴れ晴れしい気持ちになるところ。そのようなところに――。

「……何故なのだ。何故、こうなってしまったのだ」

 ベンチに座って、沈みきっている男子生徒がいた――エドワード君だった。

 エドワード君は学園の指定のコートではなく、私服だった……うん、私服だね。

「エドワード君?」

 私は声を掛けてみた。あまりにもエドワード君は落ち込んでいたから。血色も良くないし……。

「おお、シャーロット殿……」

 エドワード君は落ち込みつつも、顔を上げてきた。本当に沈み切った表情……。

「……エドワード君? 話せる範囲でいいから、話してみない? すっきりするかなって」
「……良いのか。余は、そなたに嫌われているかと思っていたぞ」
「え」

 エドワード君は悲しそうな目をしていた。私は戸惑うも納得もしていた。勧誘を断ったことが響いているのかな。と同時に、違和感を覚えてもいた。
 手応えがないと知るや、追い返したのはエドワード君でしょう? それから美女たちと戯れてもいた。

 堂々としていて、中等部を牛耳る。ううん、中等部だけじゃない。あの自治委員も言い伏せたような、そんな彼なのに。『キング』と呼ばれるにも相応しいような、そんな君が。
 どうしたというの? まるで別人のようで――庇護欲さえも芽生えてくるような。

「……あのね、嫌いとかではないんだ。私、君はいい子だって思ってるし。話しやすいし」
「……なんだ、そうであったか。つまり、本音は美女部に入りたいと!」
「ううん、そうじゃない」
「なんと!」

 あれだね、持ち上げては落とすような言動になっちゃった。エドワード君、余計に悲しそう……ごめんね。

「まあ、立ち話もなんだ。隣に座ってくれぬか」
「うん、ありがとう――」

 エドワード君はそう言ってくれた。私はリッカを抱っこして座ろうとして――止まった。

「なっ!?」

 エドワード君、体が引き気味になっていない? 隣に座ってと言ってくれた彼が、間隔を空けようともしていた。
 ……あ。

「エドワード君、念の為聞いておくね? 犬、苦手な人?」
「ななっ!?」

 みんながみんな、犬が好きなわけでもないし。この反応、そうな気がしてきた。なら、距離をこのまま保っておいて――。

「……余が。この余が、犬が苦手だと?」

 目を見開いたのはエドワード君だった。

「……犬が苦手など、笑止!」

 笑止……。

「くーん……」

 ……リッカ。リッカも察しているのかな。苦手意識もたれているの……彼は私の膝の上で大人しくしていた。私はこの子をひと撫でした。

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