春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

君の本命って

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「そうだ、前みたくアドバイスした方がいい? エドワード君は、クラーラさんが本命でいいんだよね?」 
「……本命?」 
「そう、君の本命。ほぼ決まりじゃない?」
「……」 
「……なんで無言かな」 

 エドワード君はきょとんとしていた。そこで即答してくれないこと、無言なままなこと。どういうこと?

「わかるけどね、他にも魅力的な子がいるからね。悩むだろうけど。一人に絞れるなら、そうした方が確実じゃないかな。ほら、クラーラさんとか」 
「一人に絞る、そうか。クラーラ殿……か」 

 エドワード君はようやく応答してくれた。私はうんうんと頷いた。

「クラーラ殿は、春の女神の巫女。その血筋は申し分ない。慈愛にも満ちておられて、分け隔てなく優しいその様は、聖女そのものだ。人望もある。学業にも秀でておられる。見た目もそうだ。美女の中の美女だ。余の好みのど真ん中だ!」 
「……うん」 

 私は何ともいえない気持ちになった。こう羅列されると、条件で好きになったようで。いや、恋に落ちるには充分なんだ。そんな恋の始まりがあってもいいよね。

「うん、わかった。それだけ好きならね、クラーラさんに集中した方がいいよ」 
「……ああ」
 
 エドワード君は返事はするも、上の空だった。

 私は別の質問をしてみることにした。返事が無ければ無いで仕方ないと思いつつ。

「美女部は続けるの? ほら、お嫁さん探しどうこうって。クラーラさんと出逢えたわけだし」 

 もういいんじゃないかな? これだけクラーラさんに全力なら。

「そうか、本命が……」 

 エドワード君は何故か暗い表情をしていた。私は困惑するばかり。

「……その、余はな」

 エドワード君って、本命のことになるとしどろもどろになる。彼なら断言してきそうなのに……。

「余の本命は……ああ、そうか。そうだな、はっきりさせれば良いのだ」
「……うん、そうだね」

 あれだけの美女に囲まれているのもあって、いまいち決めかねないのかな? 
 それでもエドワード君は一歩踏み出そうとしていた。そっか、応援するね。

「余はな、余はな……明日、大人に誘おうと思っておる。夜に都に赴くのだっ! 門限破り上等でもある!」
「わあ……」

 エドワード君、思い切ったね。興奮と緊張で顔が真っ赤になっている。
 ……って、大人って。門限破りって。

「……無論、一日が終わる前には帰る。余は紳士ぞ」
「……うん、そうだね。うん、そうだよ」

 まさか一線でも越える気かって、私一人がハラハラしてしまった。当人同士の自由でもあるけれど、聞かされた身としてはどうも心配になってしまって。

「また、その……頼むぞ」
「うん、アドバイスだね。私もね、勉強になるから。本当は人に言える身でもないんだけどね。でも、相談には乗りたいし」

 エドワード君はまた相談に乗ってほしいようだった。本来ならば不慣れ側の私だけど、頼まれて悪い気はしない。この二人の恋を見守りたい気持ちも大きい。私は微笑んだ。

「……ふむ」

 エドワード君は私を眺めていた。それも長く……?

「……」

 私はそれとなく視線をそらしているけれど、視線は感じたまま。
 ……どうしよう、リッカも待っているし。話もついたみたいだし、そろそろ去ろうかと――。

「……はっ!」
「!?」

 突然の大声に、私はびくっとなった。エドワード君は何かに気づいたようで、唖然としているともいうか……?

「余は、なんということだ……そういうところではないか! そこに自販機があるというのに、ご馳走をしてなかったぞ!」

 エドワード君はひとしきり後悔すると、自販機に向かって走りだそうとしていた。

「ちょ、エドワード君!?」

 私は慌てて止める。

「いいから、そういうのいいから。私相手にそういうの、いいから」

 私は咄嗟に彼の腕を掴んだ。今日もド派手な服だった。

「……っ!」

 エドワード君は目を大きく見開いた。かなり驚いているのか、腕を払うこともない。

「あ……ごめん。つい」

 すごく衝撃を受けてない? ……ショックとか受けてたり? 悪いことしてしまったと、そっと腕を離した。
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