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第四章
訪れてきたのは……
「ん……」
私の頬や額、口元。触れるのはぬくもりで、安心を与えてくれた。私はゆっくりと目を覚ました。
「……シャーリー」
「リッカ」
夜は明けたばかり、辺りは薄暗い。自室のベッドで眠っていたんだ……。
「おはよう、リッカ」
リッカが舐め続けてくれたのかな。私は傍らにいた彼を撫でた。その温もりに実感した。自分はまた、帰ってきたのだと。
「リッカ、怪我はない……? 痛かったよね……?」
ひどいこと……こんな小さな体を蹴りつけてきて……金糸雀隊。
「僕よりシャーリーだよ……」
リッカは舐めるのやめると、近くに座り込んだ。尻尾は下がったままだ。
「私はいいんだよ。だって、こうして――」
帰ってきたのに。妙な夢を見たけれど、こうして繰り返しの日々に戻って来られた。本当の死を迎えると思われた。でも、そうではなかったのだ。
また、諦めずに活路を見出す。希望を捨てずに乗り越えていく日々。そんな日々に。
「……あ」
今でも耳に残るのは、憎悪に満ちた言葉たちだった。私は自身の体を抱きしめた。
今回のループでまた、犯人とされてしまったら。そして、あの聖女を死なせてしまったなら。
――断頭台による死は免れないだろうと。
「……」
私は何度も殺されてきた。憎悪をぶつけられながらというのも、今回が初めてではない。それでも、あんなにも多くの民に。
まるで――世界中が自分を敵とみなしているかのような。
私は首を振る。こうして自分は生きているのだから、気持ちで負けるなと。乗り越えればいい、また乗り越えればいいのだと。そう言い聞かせていた。
「私は、そうするしか……」
気持ちだけは負けたくないと、私は強くあろうとした。心がどれだけ恐怖で叫ぼうとも、屈した時こそ本当に終わってしまうのだと。ずっとそう、何度も何度も。
「シャーリー……」
じっと見ているのはリッカ。私は彼に触れた。大丈夫と撫でた。
「……あのね、シャーリー。お外にね、待っている人がいるよ」
「うん、そうだね……行くね」
アルトたちかな。彼らの姿は見かけなかった。また、拡声器によって知らされることになってしまった彼ら。
私は強くあろうと、より決意した。彼らを不安にさせたくない。
そして、建設的な話もしようと思った。いつもの話し合いをしよう。情報を共有して、時には意見をぶつけあって。そうして乗り越えてきたのだから。
私たちはそうしてきたのだから……。
「……いってらっしゃい」
「……うん」
リッカは行く気がないようだった。沈む様子が気になるも、そのまま丸くなって顔を埋めていた。
彼を部屋に残し、私は階段を下りていく。到着したのは、玄関だ。
「今、開けるね――」
私は笑顔を作って、玄関の扉を開いた。
「――おはよう、シャーロット」
「……!」
私は扉を開けると、瞠目した。
扉を開けた先にいたのは――モルゲン先生だった。教師であるはずの彼が。いつもは学園で待っている彼が、こうして訪れていた。
「……いいだろ、教師が訪れたって」
「……」
以前も彼はそう言っていた。私はまさかと思っていた。
「ひとまず、どうぞ……」
「ああ、邪魔するな」
ここではなんだと、先生を招き入れることにした。
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