春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

あの場に居たのは……

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 私は泣き止み、暖炉の前のソファに座っていた。たくさん泣いたこともあって、気持ちはいくらか落ち着いていた。

 朝食を作り終えた先生は、壁に背を預けていた。私を見守るかのように、だった。
 泣く機会を与えてくれたのは、先生。私は先程もお礼を言ったけれど、言い足りないくらいだった。

「すうすう……」

 膝の上で寝ているのはリッカだ。心配してくれていた。そんな彼の毛並みを撫でていた。撫でながら、私はぽつりと話し始める。

「改めて思うんです。リッカが私の最期を見てなくて良かったって。この子もそう。皆も……」

 あの場に立ち会っていたのは、先生くらいだと。せめてそう信じたかった。
 親しくしていた人の死は辛いものなのに、今回の死は凄惨たるものだったから……私も自分が目にする側だったら――発狂していたと。

「……見てなくて、か。先に言っておく。リナとリヒターは来ないぞ……アルトも、かもな」
「え……」

 繰り返しの日々の再開時、アルトやリヒターさんは駆けつけていた。私のことを心配してくれてだと思う。リナさんは――。

「……ああ、リナが知っているか知らないか、か。俺の推測に過ぎない。リナもまた、『同じ』じゃないかってな。これまでの流れからすると」
「はい……そうですが……」 

 リナさんも記憶を有するだろうことは、先生に伝える機会がなかった。実際その通りではあった。

 リナさんの件もそう、来ないという下り、私はそれも気になってしまう。

「……なにか、あったんですか。今回、あまりにもおかしくて。もしかして、何か――」

 ……今回はおかしな点が多い。彼らの身にも何かあったのではないか。私は緊張した面持ちのまま、先生の言葉を待つ。

「……いや、俺の言い方が悪かった。危険というわけではなくてだな。まあ……体調不良というべきか――リナの体調が優れなくてな、兄も実家に帰っていたものだから。リヒターが介抱すると申し出た」

 そう……リヒターさんがついているのなら。うん、一安心だ。落ち着いたらお見舞いにと私は考えていた。会って、リナさんの顔を見て。自分も早く安心したいのもあった。

「リナさんの容態が気になりますね……気持ちが滅入るのもあるでしょうから……」

 リナさんは今回が初めてのループとなる。話に聞いてはいても、実際に体感するとなると違ってくる。たとえ、私の死にざまを見てなくても、辛いものがあるはずだと――目撃していなくとも。

 ……待って? 私はふと、思い直した。

「……いや、そんなことは」

 私は最悪の想像をしてしまった。リナさんは確か、夜通し働くといっていた。彼女の勤め先は都にある。仕事帰りに目撃していたとしたら――。

「そんな……違いますよね? 先生、リナさんは……」
「……」

 先生は黙秘していた。どうして、と私は思った。はっきりと否定するか、それが自分にはわからないと曖昧にしてくれたのなら。なのに……先生はそうしない。

「……お前は、リナの見舞いとか考えているだろう。酷な事を言うが……リナはな、お前の顔は見られないだろう。しばらくはそっとしておくんだ」
「……はい」

 察してくれてといわんばかりだった。リナさんの心を守る為に、しばらくは距離を置く。そうするしかないようだった。


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