春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

喜ばしき入部




 学園生活も始まり、放課後を迎えた。私が一人向かうは中等部。リヒターさんが同伴すると言ってくれたけれど、今回は遠慮することにした。ただ一人、エドワード君の元へ。




 中等部の最上階、そこに美女部は構えていた。

「失礼します。シャーロット・ジェムです」
「おお、噂の……! よいぞ、入るがよい」

 部室に入ると、ハーレム世界が広がっていた。中心にいて女子生徒を侍らせているのは、もちろんエドワード君。

「突然ですみません。美女部についてですが……」

 私は本題を切り出した。これから美女部に入りたいと言わなくてはならない。このカーストトップの集団の目の前で。
 しかも今回は誘いがない、自ら志願した形となるから。あまりのプレッシャーに胃が苦しくなってきていた……ううん、ここは言わないと! 私!

「……私も、入部させてください!」

 私は勢いのままに、頭を下げた。周りはぽかんとしている。うう、今にも穴に埋まりたい……。

「……ふむ」
 エドワード君は思案していた。つまり、彼からの返答はない。どうして? 以前までは熱烈に歓迎してたのに?

「あの……?」

 私の方で頭を上げると、エドワード君と目がかち合った。そのまま見つめ合うことになる……なるの?

「……」
「……」

 ……なってた。エドワード君は私を見つめたまま。

 私はどうしてだろう……そらせずにいた。そうして、しばらく視線が交わったままだったけれど、エドワード君は大きく頷いていた。

「……うむ、よいぞ!」
「ありがとう、エドワード君!」

 即答されなかったものの、入部が出来たのなら第一関門突破だよね。あとは、後日入部予定のクラーラさんの動向を見守ればいいよね。

「……ふっ、そうか。そういうことなのだなっ!」

 エドワード君はニヤついていた。一人で何度も頷いていた。

「そなた、余に惚れているのだな。そうか、そうか!」
「!」

 実に満足そうだった。ちょっと待ってと、私は言いかけるも。

「……素敵だなって、思ってはいて。仲良くなれたらなって」

 入部した手前……それは違うとは言えず。私は良心を痛めながらも、ぎりぎり程度の嘘をついた。エドワード君に対して好感を持っているのは、嘘でなかったりもした。

「……そうか、そなたが」

 エドワード君は喜びを噛み締めているようだった。私は心がきりきり痛むままだ。それでも。

「もう、エド様? 私達にも構ってくださいよー」
「ほら、膝枕ですよ。エド様、やってほしかったんでしょ?」

 美女たちから不満が募っていた。私にかかりきりになっていたって。

「……ああ、すまぬ。余は皆のエド様だっ! だが……そのだな、膝枕はな」

 エドワード君は声高に言うも、そこからは声が小さくなっていった。美女たちの膝をチラチラ見ているけれど、どこか抵抗があるようでもあった。
 どうしたの? あれだけ膝枕好きだったのに? やたらとこっちを見てくるともいうか。

「……なに、共に語りあえばよい! 余はそなた達の話も聞きたいのだ! 当然、シャーロット殿もな?」
「うん……」

 実際語るといっても、主にエドワード君と美女たちで場は盛り上がっていた。

「……」

 私はひとまずそれで良しとした。この後、クラーラさんが入部したら――私のことは気にしなくなるだろうと。




「あれ……?」

 私は勝手が違うと、戸惑っていた。流れが違っていたんだ。

 それからの放課後、私は美女部に通いづめであった。といっても、積極的にエドワード君に関わっているわけでもない。差し支えのない範囲で会話に参加しつつ、彼らの動向を見守るのに徹していた。

 いるのはエドワード君と美女たち――クラーラさんの姿がなかった。

「もう、エド様ったらー」
「わはは、愛い奴め」

 あれだけ熱を上げたクラーラさんがこの場にいない……?
 それでも、エドワード君は充分楽しそうだった。いいのかな……?

「……どうだ、シャーロット殿? 楽しんでおるか?」
「あ、うん。もちろん。楽しいよ」
「……そうか!」

 にこにこ笑っているだけの私を、エドワード君は気にしているようだった。美女との会話のさなか、時折彼からの視線も感じていた。



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