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第四章
美女部にいなかったのは……?
しおりを挟む「――入部したのね」
「!」
美女部の会合も終わり、私は廊下を歩いていた。それを呼び止めたのは、クラーラさんだった。
「ふふ、驚いている。中等部の知り合いの子とね、お話していたの」
「そうですか……」
私は思った。それは本当だとして、それ以外にも目的があったと。
……この探るような彼女の目が、そう思わせていて。
「はい、入部しました……クラーラさん、入らなかったんですね」
――微笑みを絶やさないクラーラさん。美女部に彼女の姿はなかった。
「ええ、そうね……ねえ、シャーロットさん? 私が入部しなかった理由、気になる?」
クラーラさんは質問を投げかけてきた。
「はい、気になります」
私は正直に返した。ぜひとも聞かせてほしかった。
「ふふ、素直な子……ただ単にね、色々な子と交流したかっただけよ。エドワードさん一人にかかりきりになるのも、ね?」
クラーラさんはそう仰る。
「ええ……本当にそれだけ」
クラーラは目を伏せた。どこか真意が図れない……それだけじゃなさそうとは思うも。
「……わかりました。ありがとうございます。でもエドワード君、寂しがったりとか」
クラーラさんに対して、あれだけ情熱的かつ熱狂的でもあったのに。何故、現在は彼女に触れないのか。私は疑問でしかなかった。
「……寂しい、ねぇ。私が美女部……だったかしら。その集いに参加しなかったのもあるわね。あと、去年までは熱烈だったのに、今年に入ってからはさっぱり」
「……そう、なのですね」
私は動揺を隠しつつ返事をした。過度に接触されるよりかは、と考えることにした。
「それじゃあね? 私、他の子ともお話してみたくて」
ここは異様な雰囲気がある中等部だ。クラーラさんをあまり一人にさせたくないな。私はお願いしてみた。
「……あの、私もいいですか? 中等部って、そうくる機会もないから。いっそ、一緒に回りましょう。同じルート辿ればいいんじゃないでしょうか」
「ええ、いいわよ。一緒に行きましょうか」
特に反対されることはなかった。一安心し、共に校舎を回ることとなった。
「……ん?」
ふと、視線を感じた。私は後方を振り返る。
廊下の奥深く、夕闇の中に立っているのは――。
「……」
エドワード君だった。彼は何も言わない。普通に声を掛ければよいでしょうに、彼は言葉を発することもせず。
――ただ、こちらを見つめていた。その目に光が宿ってはおらず。
「……君は」
エドワード君の表情からは読み取れない。だけれども、こうしてこっちを見てきて……そんな目までしてきて。
本当はクラーラさんが好きなのかな? 気になって仕方ないのかな? そう思わずにはいられなかった。
「シャーロットさん? どうかしたの?」
「……すみません、後ろに」
私は返事をする為、前方のクラーラさんを見た。彼女は不思議そうにしている。まるで。
「後ろ? 後ろがどうかしたの?」
「!」
――誰もいなかったかのように。私は衝動的にもう一度振り返った。
――誰の姿もなかった。
「……エドワード君がいたかと思いまして。見間違いだったのかも」
改めて見ても、エドワード君の姿は見当たらなかった。去る時の足音すらない。
「……まあ、どうかしらね。彼、部活終了後は順々にデートしているから、通りがかったのかも……私は噂で耳にしただけ」
「じゃあ、デートの途中だったかもしれませんね?」
クラーラさんは教えてくださった。そういうことでしたら。
「すみません、お待たせしました――」
どのみち私は待たせてしまっている立場だ。念の為、後方の方から回らないかと提案してみたところ、彼女は承諾してくれた。気になっているのもあったんだと思った。
結局はエドワード君の姿を見ることもなかった。それから私は便乗する形で中等部を巡ることとなった。
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