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第四章
縋られる日々①
今回の騒動について、学園長の声明があった――エド・クラウンは貴族の出自であると。申請時の書類というものがある。海賊というのは、身もふたもない噂であると。
生徒たちの意見は真っ二つに割れていた。やはりエド・クラウンは貴族だった派。いや、詐称していた派。中等部は分裂している状態だった。
「……ふむ」
それを見かねたのが、騒動の当人であるエドワード君だった。朝一番、中等部にある講堂を占拠して主張をすることにしていた。
「……」
気になっていた私も駆けつけていた。講堂の後方で彼を見守る。
「――すまなかった。皆を騙していた」
開口一番、それだった。講堂中の視線が彼に集中する。
「余は……海賊だ。偽ったのも――」
歯切れの悪そうな彼だったけれど、彼はすっと前を見据え出した。
「……ああ、そうだ。貴族と名乗った方がモテると思ったからだ」
エドワード君の口から答えが出たと、会場にいる彼らは騒ぎ出した。内容も内容なので大荒れだった。
「ああ、皆が憤るのもわかるぞ。余を非難するのも当然ぞ――それでもだ!」
これだけの騒ぎの中でも、エドワード君の声はよく通った。騒いでいた生徒たちも静まる。
「どうかしていたのは、余である! 海賊である彼らは皆、家族で仲間だ! 余の誇りでもある。余とて、己の出自を恥じることもない。余は海賊ぞ!」
大多数の前で、エドワード君は堂々としていた。 誰もが圧される中、彼は表情を変えることもなく。
「此度の学園長のご配慮、痛み入る。ご年配の方に心労もかけたくもなかった」
学園長に感謝の言葉も示す。
「……すう、はあ」
エドワード君は深呼吸をした。これから話すことを思ってだ。
「……ララシアにおいては、余は咎められることはなかった。だが、この国の法において禁忌ならば――余は受け入れようぞ」
この国は治安のよい国家だから。ララシアでは犯罪でなくとも、この国の基準となると。
「……ううん、彼はきっと」
私は、彼は裁かれないだろうと悟った。もし裁く気だったら、とうに動いているはず――自分の時のように。
「……それとだ」
どこまでも無言の中、エドワード君はもう一つと宣告した。
「――美女部は本日をもって、廃部とする! 余の判断である!」
ざわつきがまた、ぶり返した。エドワード君の独断ということもあり、在席していた美女たちも目に見えて動揺していた。怒り心頭の人もいれば、悲しんでいる人も……。
「皆、真実の愛というものを信じているか。余はな、見つけたのだ」
「……!」
……今、目が合った? エドワード君は再び、聴衆たちに視線を戻す。
「皆もな、誠の愛を見つけるのだぞ! お互いに思い合う、崇高なる愛ぞ! さあさあ、励むのだ!」
今度は高らかに上から目線の発言をしている……会場内は大ブーイングだった。エドワード君は落ち着けと両手で宥めている。それ、火に油を注ぐだけじゃ……。
「……とりあえず」
エドワード君はすっかり元気そう。となると私は。
「……ねえ、あの人かな。元美女部だし」
「……うん、それっぽい」
注目され始めているので――そそくさとその場から離れることにした。
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