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第四章
縋られる日々④
近づいてくるのは、三連休。
今日の放課後も、おなじみの面談室で話し合いとなった。
面談室の主でもあるモルゲン先生はご不在だった。用事が立て込んでいるということだった。
最優先はクラーラさんを死なせないこと。三連休は何としても彼女を一人にさせないことだった。
まずは、一日目。これからの日々に備えて、ある程度は自由にさせる。それと、女子寮で行われる交流会。これは寮長さんを言いくるめて、夜遅くまでの開催とあった。
一番可能性が低い日ということで、あくまで数名寝泊まりさせる程度だった。私やリナさんもお泊りと称して、張り込む。
「ぜったい、クラーラ先輩守らないと……絶対に」
リナさんが重い表情で言うと、私も頷いた。何が何でも守り抜こうね。
二日目は、リヒターさんが主を言いくるめて、パーティを開いてもらうことにした。クラーラさんを持ち上げるためのものだった。警備もさることながら、羽目を外させることもしない。徹底的に監視する。
「私も目を離さない所存です。ご自由な方とは伺っておりますが、そこは何としても……ええ、何としてもです」
可能性の高い最終日は、教師の権力をもってして、クラーラさんの講演会を設けた。場所は都にある演劇ホールで。そこから、やはりパーティー。連日パーティー。厳重にしてもらう。
厳重となると――金糸雀隊の出番。聖女の守護なのだから、彼らにも動いてもらいたい。要請してくださったのは、モルゲン先生。
「あいつら、なんだかんだで当てにならないけどね。あ……これ、俺が言っちゃいけないやつ。まあ、利用するまでだけど」
アルト……。
「先輩もそうだけどさ……ねえ、シャーロット」
アルトはそれだけじゃなかった。心配そうに私を見ていた。私たちはクラーラさんと付きっきりになるけれど、それだけではない。
疑惑の人物にも注意を向けていく必要もあった。疑惑となると……。
「過度な接触は厳禁で。他の容疑者もそうだけどさ、特に……エド・クラウンはね」
アルトが重々しく言うと、他の二人も賛同していた。
「ジェム様ですから、放っておけないといったところでしょうか。とはいえ、この三連休だけでも関わらない方が懸命かと存じます……エドワード様におかれましては」
「だね。愛余ってってのが、可能性として高いって話じゃない? それがあんたに向けられたとしたら……」
彼らの心配する気持ちが、私にも伝わった。
エドワード君が犯人と決定づけられたわけでもない。それでもこの三人が警戒しているのは、揃ってエドワード君――その矛先が私になることも危惧していた。
それから段取りまで話し合って、解散となった。
「明日から、だね……うん、三連休だ」
「わふっ」
三連休の前日、あとは寝るだけとなっていた。気持ちが落ち着かない。忙しなく部屋を歩き回る私に、リッカもついて回ってきた。律儀についてきている……。
「ごめん、リッカ。私が落ち着かないばかりに……座ろっか」
「うんっ」
私が床に座り込むと、リッカも隣に落ち着いた。
「……この三連休を乗り切れば、きっと」
リッカはエーデル村で大人しくしてもらうことにした。本当は今日にでも預けにいくべきだったがけれど、許されるまで一緒にいたくて。
「うん、楽しいこと考えよう。次の週末、また遠出しよっか」
未来のことを考えようと、私は提案してみた。リッカは目を輝かせた。
「わあい。僕、お肉のお祭り行ってみたい。あとね、犬が入っていい食べ物屋さん。甘いもの食べたいっ。エーデル村からちょっと離れた場所、お散歩でも行ったとこないとかっ、あとね、あとね――」
「うんうん。行こうね。たくさん、行きたいね」
たくさんだねぇ、そっか、そんなにあったんだね……。
「うん。全部、シャーリーと行きたい。僕、シャーリーと一緒がいい」
「リッカ……」
笑顔で聞いていた私の眉が下がった。
「……僕、シャーリーと一緒だったらね、それでいいの」
真剣に私と一緒にいたいと願う、そんなリッカに胸を打たれた。
「うん、リッカ。私もだよ……」
私が抱きしめると、リッカも嬉しそうに笑った。
そのままベッドで眠りにつく。明日に備えて、体を休めていく――。
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