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第四章
彼らとの再会
彼女の生家の前に、迎えがやってきた。リナさんはとびきりの笑顔を作る。
「オジサマー、こんな辺鄙なところまでありがとー。あのね、家の整理してたんだけど。もうぬいぐるみの数が半端なくてー。売り払いたいなってー。でも……この量だから。たいへーんって思ってたの」
中古品の回収業者の人のようだった。リナさんの顔見知りでもあったようだ。
「いやー、いいんだよぉ。おじちゃんにはお安い御用さ! ふもとに馬車を待機させてるからね。運搬は台車が大活躍さ! 獣道もなんのその!」
「えー、かっこいいんですけどー。段取り良すぎなんですけどー」
「いやー、なんのその――ん? それもかい?」
飛び抜けて大きな『ぬいぐるみ』があった。人間サイズのの着ぐるみが――中身は私だった。
「……」
私はぬいぐるみの中でじっとしていた。微動だにしないようにと。動くわけにはいかないと。
「……」
『動くんじゃないわよ』と、リナさんからの無言の圧力が……はい、動けません!
「……そうそう! リナのお気に入りなの」
「……へえー。高く売れそうだね。まあ、いいさ。ほら、行こうか」
「はーい。ありがとうございまーす」
そのぬいぐるみも台車に載せ、彼らは都へと向かっていった。
「……やっぱね、リナ手放したくない。この子、連れて帰る」
リナさんは都に送ってもらった後、のたまった。巨大なぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、離そうとしない。男性は持って帰るのを心配していたが、彼女は何てことないと笑った。
「そこのギルドにいる人、リナの為ならいくらでも張り切っちゃうから! だから心配しないで」
リナさんが自信満々に言うと、業者さんは苦笑した。魔性の女とも口にしていた。何はともあれ、業者さんはギルドまで送ってくださることになった。
都の中央ギルドまでやってくると、長身の青年が待っていた……アルトだった。なんだろ、体を小刻みに震わせているような? 笑顔全開になった彼は言う。
「……その子、俺の宝物です。届けてくださってありがとうございました。責任持って連れて帰りますから」
「ちょっ、あんたのじゃねえし!」
「……まあ、俺のじゃないけど。でも、全人類の宝物なんで。全人類がライバルとか、つらい……」
「そこはまあ……っと、オジサマ、ありがとねー? ほんとにほんとにありがとー……じゃあねっ」
リナさんは感謝はしつつも、業者さんを急かしていた。内心悪いとは思っているようだけれど、アルトのことも放置することになるとも呟いていた。というか、どこまでアルトの中で話が飛躍されているの……? この子がわからない……。
「ああー……」
今も目一杯抱きしめていた。ぬいぐるみの私はされるがままだった……。
「本当に良かった……本当に」
アルトは涙ぐみながら、まだ抱きしめたままだ。そうだね……うん。私たち無事に会えたんだもんね……私はじっとしていることにした。ぬいぐるみということもあったけれど、気持ち的にはそれだけではなくて……。
目的地は、中央ギルド。――その地下にある隠された場所だった。
「……ふう」
私は許可が下りたので、ぬいぐるみの頭部をとった。指名手配された私をここまで連れてくるまでの作戦、無事終了した。
連れてかれた場所。賑やかな地上のそことは違い、この地下はバーのようだった。小粋な音楽が流れ、落ち着いた雰囲気だった。
「ああ、シャーロット――」
より視界がクリアになった。目の前にいるのは感極まっているアルト。そんな彼をよそに。
「わんわんっ!」
「リッカ!」
伏せをして待っていたリッカが、一目散に駆け寄ってきた……リッカだ! ようやく会えたと、私の周りを走り回る。ああ、元気だねぇ、無事で良かったねぇ……!
「――ご無事で何よりです」
カウンター席近くで、リヒターさんは座らず待っていた。
リヒターさんもだ。アルトも、リナさんも。もちろんリッカも。ちゃんとそこにいた。
「……うん。みんな、本当に無事で良かった」
私は改めて実感した。まだ終わっていない。これから巻き返せると。
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