春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

航路は……ひとまず確保




「……!」

 ララシアに到着直後、嵐に見舞われた。激しい雨が降り続け、雷鳴の音もする。
 聞いていた通り、海は荒れに荒れていた。乗っている間も冷や冷やしたままだった。よく無事に着けたよね……。

「ねえ、シャーロット。エドクラの居場所って――」

 リナさんは荒れ狂う天候の中、大声で尋ねる。この嵐の中でエドワード君を捜さないとならない――。

「……彼は、王だから」
「シャーロット?」

 リナさんは首を傾げた、私の呟きが不思議でならないと。

「……すみません。なんとなく、でも確信しているの。彼は――」

 私が隠し持っているサンゴのネックレスだ。どうしても手放せなかったものだった。

「宮殿にいる――海の上に浮かぶ、宮殿に」

 私の目に映るのは、向こう側の空。儀式の時も、海の上に浮上して現れた宮殿。

「海の上って……つか、宮殿とか」

 リナさんはげんなりしていた。まさか海に逆戻りにする羽目になるのかと。当然、船に乗って。それは難しかった。この高性能な船でも、ここまで辿り着いたのが奇跡だったくらい。
「海流が特殊だっていうし、乗せてきてもらってだけど……厳しいよね」
「はい……」 

 荒れる海を眺め、私たちは途方に暮れていた。

「……ううん。この国の船を探そう。まだ可能性はあるはず」
「シャーロット……うん、そだね」

 ここまで来たんだ。諦めるわけにはいかない。


 私たちは暴風雨の中、海岸線を歩く。

「……海賊船」

 私が思い浮かんだのは、エドワード君たちが所有していたものだ。ただ、顔見知り程度の自分に貸してくれるのか、力になってくれるのか。彼らはエドワード君側の人間といっていい。

「何が何でも頼み込むしか――」

 その海賊船自体も見当たらない。まずはそれから探そう、リさんナに提案しようとした時だった。

「へっへっへっへっ」

 向こうからやって来るのは、リッカだった。ずぶ濡れになろうと構わず、全速力で向かってきている。

「リッカ!」
「わんっ!」

 私は勢いづく子犬を受け止めようとした。そこで急ブレーキをかけて旋回したのはリッカだ。そのまま、引き返して走りだしてしまう。

「こっち! 僕についてきて!」

 リッカは私たちを迎えにきたようだった。彼についていくことにした。

「あのねっ、船はねっ、大丈夫なのっ」

 リッカが走りながら教えてくれていた。若干息切れを起こしながらだ。うう、いいんだよ、リッカ……。

「えっと、『ジャック』? したんだって! だからね、宮殿にも行けるよって!」
「……」
「……」

 物騒な言葉をニコニコしながら話す子犬。リナさんと私は黙ってしまった。

 アルトたち……海賊船を乗っ取ったんだね――手荒い手段によって。




 海賊船が停めてあった海岸部までやってきた。小舟で海賊の一人が迎えにやってきた。

「お嬢ちゃん……なんてこった」
「よろしくお願いします……」

 気まずい再会だった。相手からしてみれば、息子同然の少年と良い仲だった少女。それが、こうして船を乗っ取った側となったんだ。

「そっか、エドクラんとこの……」

 リナさんも海賊であることは知っていたけれど、こうして相まみえると驚いていた。

「……まあ、構えなさんな。頭とのタイマンにも負け、動力源も押さえられた。俺らは敗北した。約束は約束だ。宮殿へは連れていく」

 海賊の人は船を漕ぎながら、本体の船へと誘っていく。荒波に揺られながら、辿り着いた。

「だがな、忘れないでくれよ。この国において神聖なる場所だ。選ばれた者しか入ることが出来ない。邪なる者は拒まれ、海に落とされて終わり、だ」

 彼は重々しく語った。それを聞いたリナさんは、眉を寄せていた。

「……ふーん、あくまで連れていくってだけね」
「そういうこった。約束は守る。本当ならば……俺らが海に叩き落したいくらいだ」

 敗北はした。だからといって、受け入れたわけではないと。




「……」
「……」

 私たちが本体に到着すると、殺気立った様子で迎えられた。屈辱というのもある。でも何より――ララシア人の彼らにとって、それは本意ではないから。

「おーい」

 アルトやリヒターさんもやってきた。物騒な手段を選んだ乗っ取り犯たち……私はお礼を言おうにも、このひりついた空気感ではそうもいかなかった。

 緊迫めいた中、船は宮殿へ向けて発進していく。


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