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第四章
海の底からだって、私は
水上に浮かぶ、美しき宮殿が見えてきた。
「――さあ、着いた。ここまでだ」
もうすぐ辿り着くというところで、海賊たちは船を止めた。嫌がらせで止めたわけではない。これ以上近づけないようだった。水流で阻まれている、とかで。
「……」
私たちは宮殿を見上げた。高い所にあり、そこまでの到達手段が考えられなかった。
「……約束は守ったぜ。あとはそっちでやれってことだ。なんなら、今から全員送ってやろうか? ――海の底にな!」
顔に青筋を浮かべた男たちが、取り囲もうとしていた。船に侵略してきておいて、結局は入れなかったという。自分たちの流儀にならって、彼らはやり返そうとしていた。
「リッカ、どう……?」
私は水の女神様のことを思い出す。女神の力ならと考えるも、リッカは首を振って答えた。
「そうだね……」
女神様はララシアを立ち入らせないための結界、それを解除してくださっている。介入はそれが限界のようだった。元々、おかげでここまで来られたんだ。私はご助力に感謝した。
それならば、自分が出来ることをしよう。私は顔を上げた。
届けよう、君に。
「……エドワード君! 来たよ! 君は私から離れようとしたけど、やっぱりそのままにしておけなくて!」
「お嬢ちゃん……? エドがいるって……?」
突然叫びだした私に対し、男性たちは困惑する。いや、と私を取り押さえようとするも。
そうはさせない、と私の仲間たちが立ちはだかってくれた。男達はたじろいだ。ありがとう、みんな……。
「君に会いにきた! ここまで会いにきたんだよ! 大変だった! たくさん迷惑もかけて! 力にもなってもらって! このまま、このまま! 君を、忘れたまま生きてもいけたかもしれない! でも、そんなの、私には無理だよ!」
声が掠れようと。枯れようと。嵐にかき消されようと。私は叫び続けていた。
「自分でも驚いてるよ! こんな大きい声、出せるとか! 大声で笑えるのもそう、君といたから! みんな、みんな待ってるから! 私だって待ってる!」
私は叫び続けた。宮殿で一人でいるであろう、エドワード君に向けて。
「……エドワード君、私もなんだよ。君に生きて欲しい。笑っていてほしいんだ!」
エドワード君からの反応はない。そもそも届いてないかもしれない。それでも。
「……私はずっと叫び続けるから。君に届くまで。海に落とされたって、その後だって。海に沈んだって、ずっと! ずっと叫び続けるから!」
私は心のままに叫んだ。
「……」
狂気にあてられるようだった。これも強い思いがあってこそだった。
「……エドワード君」
もう一度、彼の名を呼んだ。
「……わんっ」
リッカが吠えた。私はつられるようにして、前を見た。
淡い光をまとった階段が――宮殿と船を繋ぐように出現した。
この階段はエドワード君によるものか、女神様か。それとも――別の意思によるものか。それは……今考えてもわからない。
「……行ってきます」
私は迷うことなく、階段を上っていった。温かい光に包まれるようだった。
「ま、待つんだ! ……う、うわあああ」
海賊の一人が追いかけようとしていた。その階段に足を踏み入れるも、階段は透けてしまい、実体を伴わなくなっていた。足場を失った彼は落下しかけるも。
「よっと」
「……はあ、お気をつけください」
「兄ちゃんら……」
アルトとリヒターさんによって、落ちずに済んだ。
「……渡れるのはあの子だけのようね」
リナさんは階段を見上げた。彼らが見守ってくれる。行ってきますね。
カナリア色の髪の少女が一人、歩き進んでいた――。
「――さあ、着いた。ここまでだ」
もうすぐ辿り着くというところで、海賊たちは船を止めた。嫌がらせで止めたわけではない。これ以上近づけないようだった。水流で阻まれている、とかで。
「……」
私たちは宮殿を見上げた。高い所にあり、そこまでの到達手段が考えられなかった。
「……約束は守ったぜ。あとはそっちでやれってことだ。なんなら、今から全員送ってやろうか? ――海の底にな!」
顔に青筋を浮かべた男たちが、取り囲もうとしていた。船に侵略してきておいて、結局は入れなかったという。自分たちの流儀にならって、彼らはやり返そうとしていた。
「リッカ、どう……?」
私は水の女神様のことを思い出す。女神の力ならと考えるも、リッカは首を振って答えた。
「そうだね……」
女神様はララシアを立ち入らせないための結界、それを解除してくださっている。介入はそれが限界のようだった。元々、おかげでここまで来られたんだ。私はご助力に感謝した。
それならば、自分が出来ることをしよう。私は顔を上げた。
届けよう、君に。
「……エドワード君! 来たよ! 君は私から離れようとしたけど、やっぱりそのままにしておけなくて!」
「お嬢ちゃん……? エドがいるって……?」
突然叫びだした私に対し、男性たちは困惑する。いや、と私を取り押さえようとするも。
そうはさせない、と私の仲間たちが立ちはだかってくれた。男達はたじろいだ。ありがとう、みんな……。
「君に会いにきた! ここまで会いにきたんだよ! 大変だった! たくさん迷惑もかけて! 力にもなってもらって! このまま、このまま! 君を、忘れたまま生きてもいけたかもしれない! でも、そんなの、私には無理だよ!」
声が掠れようと。枯れようと。嵐にかき消されようと。私は叫び続けていた。
「自分でも驚いてるよ! こんな大きい声、出せるとか! 大声で笑えるのもそう、君といたから! みんな、みんな待ってるから! 私だって待ってる!」
私は叫び続けた。宮殿で一人でいるであろう、エドワード君に向けて。
「……エドワード君、私もなんだよ。君に生きて欲しい。笑っていてほしいんだ!」
エドワード君からの反応はない。そもそも届いてないかもしれない。それでも。
「……私はずっと叫び続けるから。君に届くまで。海に落とされたって、その後だって。海に沈んだって、ずっと! ずっと叫び続けるから!」
私は心のままに叫んだ。
「……」
狂気にあてられるようだった。これも強い思いがあってこそだった。
「……エドワード君」
もう一度、彼の名を呼んだ。
「……わんっ」
リッカが吠えた。私はつられるようにして、前を見た。
淡い光をまとった階段が――宮殿と船を繋ぐように出現した。
この階段はエドワード君によるものか、女神様か。それとも――別の意思によるものか。それは……今考えてもわからない。
「……行ってきます」
私は迷うことなく、階段を上っていった。温かい光に包まれるようだった。
「ま、待つんだ! ……う、うわあああ」
海賊の一人が追いかけようとしていた。その階段に足を踏み入れるも、階段は透けてしまい、実体を伴わなくなっていた。足場を失った彼は落下しかけるも。
「よっと」
「……はあ、お気をつけください」
「兄ちゃんら……」
アルトとリヒターさんによって、落ちずに済んだ。
「……渡れるのはあの子だけのようね」
リナさんは階段を見上げた。彼らが見守ってくれる。行ってきますね。
カナリア色の髪の少女が一人、歩き進んでいた――。
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