春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

文字の大きさ
350 / 557
第四章

どこまでも続くよ、水着トーク


「――さて、私は手配して参ります。皆様はごゆるりとお寛ぎくださいませ」
「待って、リッヒ。リナ達が来た船にね、色々あったから。そこから借りちゃおうよ」

 早速動こうとしたリヒターさんに、リナさんは待ったをかけた。彼らは自国の服装の為、正直暑そうだった。ここに適した服装に着替えたいよね、うん。さらに。

「……水着とかぁ?」

 リナさんが小悪魔なような表情でいうと。

「ぶっ!」

 このタイミングで鼻血を出したのはアルトだった……リナさんに興奮したのかな?

「ちょ、アル君……つか、鼻血止めないと」

 リナさんは呆れ果てた目で見ていた。

「で、ですよね! 今、止血しないと」
「こちら、お使いくださいませ」
「ありがと、リヒターさん! ほら、アルト……!」

 ハンカチはリヒターさんが差し出し、アルト本人に渡していた。

「シャーロット、お願い……」
「うん、どうしたの?」

 アルトはハンカチで鼻をおさえながら、目をウルウルさせていた。私は聞く姿勢に入った。

「お願いだからお肌隠して……パーカーとかシャツとか羽織るとか……もうね、生足みただけでもね……俺、また鼻血出しちゃうから」
「……」

 どう反応したらいいのかな……? 今のアルトなら、そうなのかもしれない。かつて共に過ごした彼も違うのだと。とりあえずは頷くことにした。私もそうしたかった。

「わかった。私もね、肌出そうとは思ってないから。露出は控えるね」
「え」
「えって」

 え、とは。要望は受け入れられたのに。

「……あ、違うわ。俺、チャンス逃すとこだったわ。鼻血が出ようがさ、こんな恥ずかしがりやさんがさ、頑張って肌出してんのがいいじゃんか」
「……」
「いつも肌出さない子がさ、勇気出してるのがいいじゃんか! でもやっぱ、恥ずかしいからってさ、上を着るってなるのもいいじゃんか!」
「……」
「つかさ、どんな水着でも似合うだろうけど。シックなのも、カラフルなのも、花柄とか、こう露出過多なのも似合うんだろうけど! でもさ、シャーロット可愛いじゃん……? フリルとかリボンとか、そういうの絶対似合うと思うんだ……!」
「……アルト。そろそろ着替えない? リナさんもリヒターさんも行っちゃったよ?」

 アルトの話に付き合っていると、まだまだ続きそうだ。既にあの二人は見限って、ギルドの船へと向かっていたり……私もそうしたいくらいだった。

「へっへっへっへっ」
「リッカ……天使。まじ天使! ……シャーロットがね、ジト目で見てくるの。ねえー?」

 リッカは残ってくれていた。アルトはたまらなくなって、リッカを抱き上げた。チクってもいた。リッカは首を傾げていた。

「……もう。水着は着るけど、あまり期待しないでね」
「期待しない方が無理です! もう、水着ってだけでね!?」
「ワンピースとかにするかもよ?」
「ワンピースシャーロット、優勝!」

 どうしたってこうなる。

「――おや、まだでしたか」

 リヒターさんがパラソルやらマットやらを抱えてやってきた。恰好も水着ではないものの、軽装だった。彼は呆れつつも、設置に取り組んでいた。どこまでも働こうとするよね……。

「……ふう。先に行こうかな」

 本当に水着談義だけで時間がとられてしまう。私は先に歩き出し、アルトがついてくるのを予期して誘導することにした。案の定、アルトはついてきた。最初からこうすれば良かったと、私は反省した。



 リゾート地でも楽しめるようにと、ギルドの船には水着の貸出も行われていた。一室に通されると、既にリナさんが着替え終えていた。

「おっそーい。こっちはもう、ほぼ決まりなんだけどー」
「お持たせしちゃってすみません。リナさん、似合ってるね」
「でしょっ」

 色鮮やかなTシャツに、ショートパンツ。ま、また生足を拝めるとは……刺激が強い!

「あとね、ワンちゃん用の水着ぃ。色んな柄あるよ」
「わあ……」

 リナさんがテーブルに広げてくれた。リッカが着られそうな水着、私は目を輝かせた。

「わんっ」

 リッカは前足で示していた。ボーダー柄のが気に入ったようだ。絶対似合うと、私は自分そっちのけで試着させていた。うん、やっぱり似合っていた……! 海辺が似合う、爽やかなワンコのおでましだぁ……!

「……ねーえ、シャーロット。『おそらい』にしたら?」
「……おそろい」

 私はあらゆる意味でドキリとした。リナさんが仰るから尚更で……今は深くは考えない。そうしよう。うん、そうしようっと。

「って言っても? ボーダー柄に限らず、ビキニばっかりだけどね」
「……!?」

 リナさんはあっさり言う……私としては大事なのに!

「あ、でもね。シャツワンピースとかあるよ。水着だけってわけでもないし、こっちも借りておかないと」
「う、うん。そうだね。ワンピースいいよね、ワンピース。水着は……いいかなぁ」

 私は揺らぎかけた。もう、ワンピースでよくない? 泳ぐのはもう堪能しきっていたのもあった。水着を見ると鼻血を出す宣言をしている子もいるし……リナさんの生足、耐えられるかな?

「……シャーリー、おそろいにしないの?」
「う……」

 愛犬がしょぼんとしていた。うう……私の胸は痛んだ。

「僕、おそろいがいいな」
「うう……」

 リッカにお願いされたなら……拒めなんて! 

 でも、私は諦めなかった……! 露出抑え目、下はショートパンツ。そんなボーダー柄のものを発見したんだ……! ……まあ、足とおへそが。胸元にリボンもあったので義理も果たせよね?

「リっちゃん効果、絶大だわぁ……さて」

 リナさんは妙に感心しつつ、別の水着を手にとっていた――ボーダー柄で、わ、私より露出の少ないものを……まだあったんだ……!

「……ふふ、私もおそろい」
「あはは……」

 他意も含みもないはず……だよね? 私は笑って過ごした。


感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

天咲リンネ
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん
恋愛
ローゼマリーには懇意にしている男女の友人がいる。 ローゼマリーと婚約者ロベルト、親友マチルダと婚約者グレッグ。 ある令嬢から、ロベルトとマチルダが二人で一緒にいたと言われても『友人だから』と気に留めなかった。 それでも気にした方がいいと言われたローゼマリーは、母に男女でも友人関係にはなれるよね?と聞いてみたが、母の答えは否定的だった。同性と同じような関係は無理だ、と。 その上、マチルダが親友に相応しくないと母に言われたローゼマリーは腹が立ったが、兄からその理由を説明された。そして父からも20年以上前にあった母の婚約者と友人の裏切りの話を聞くことになるというお話です。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

自称ヒロインに婚約者を……奪われませんでした

影茸
恋愛
平民から突然公爵家の一員、アイリスの妹となったアリミナは異常な程の魅力を持つ少女だった。 若い令息達、それも婚約者がいるものまで彼女を一目見た瞬間恋に落ちる。 そして、とうとう恐ろしい事態が起こってしまう。 ……アリミナがアイリスの婚約者である第2王子に目をつけたのだ。