春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

海だ! 水着だ! 映えだ! 睡眠だ! すいすいワンコだ!




 海岸に戻ってくると、船の乗組員、海賊のみなさんも海を楽しんでいた。なかなか盛況のようだった。

「お待たせ――!」

 自信に満ちたリナさんと。

「お待たせ……」

 後方に下がっていた私がやってきた。胸元でリッカを抱えていたけれど、男性陣を見るとぴょんと下りていった。

「わふっ」

 リッカは水着を見せびらかしていた。あっ、と私は呼び戻すにも……時すでに遅し。

「お、リッカ。いい感じじゃん……って」
「リッカ様お似合いです……っと」

 水着姿の女子たちがいた。目に入ってしまった彼らは、完全に目をそらすタイミングを失ってしまっていた。

「……ええ、お似合いかと――」
「ぶっっっ」

 ひとまずであるものの、リヒターさんは褒めようとしてくれていた。それを言い切る前に、またしても……アルトが大量に鼻血を出していた。

「も、もう無理……倒れそう」
「……皆様、一定の距離は置いてください。処置はこちらで行わせていただきます」

 心配で駆け寄ろうとした私たちを、リヒターさんは制した。近づけば悪化する模様と……。

「……パーカー、借りてきたら?」
「……はい」

 リナさんの提案、私もそうしようと思った。リナさんの分も借りてこようとしたところ。

「……は、恥ずかしくて、パーカー羽織っちゃう! ぶふっ!」

 アルトはさらに興奮し、症状が悪化した……。途方に暮れたリヒターさん、治療を放棄したくなっていた。

「うう……ごめん。こんなんじゃ、いつまでたっても遊べないよね」
「ううん、気にしないで。まったりするのもいいよ」

 私は遠巻きから慰めていた。アルトは細目でこっちを見ている。でも、慣れでもしたのか、鼻血は治まってきていた。

「うう……ありがと。優しい、好き……。シャーロットもね、恥ずかしいよね? ほら、俺、シャツ着てるからさ。わざわざ取りに行かなくてもさ、貸すからね? 俺も恥ずかしかったりするけど、俺のことはいいからさ」

 アルトは下は水着、上はシャツを着ていた。彼自身も肌を露わにするのは、恥ずかしかったのかな。

「あ、うん。機会があったら……」

 そうなると、アルトが上半身裸になる。リヒターさんもだけど、彼らが上に着ていてくれるから、私はまだ冷静でいられた。私も気持ちはわかるんだ、私もきっと直視できないと。

「はっ、俺のシャツを着たシャーロット――」
「キリがありませんね。アルト様を海に放り込んで参りましょうか」

 リヒターさんは頭を冷やす意味も込めてなのかな……放り込むとか言っているけど? 泳がせようとか、そういう意味だよね……だよね?

「……もう。そうだ、リッカも泳ぐの挑戦してみない?」
「わんっ」

 濡れるのは嫌いでも、泳ぐのは楽しかったようだし。まずは浅瀬で泳がせることにした。

「あ、俺も教えたい教えたい! すいすいリッカ見たい!」

 乗り出すアルトもリッカに教える気満々だった。アルトはようやく復活したみたい。時々鼻血をこらえながらも、海を大いに楽しんでいた。

「……せっかくの機会ですから、休ませていただきます」
「あ、うん。ゆっくり休んでね」

 リヒターさんは自分が設置したビーチベッドに寝そべっていた。休むといいつつも、それとなく様子はみたり気にかけたりはするんだろうなと。私は想像して苦笑していた。

「リナも映え動画撮ってくるけど。あとでリナにも構ってよね?」
「はい、いってらっしゃい。可愛い貝殻、たくさん落ちてるよ」
「なにそれ、楽しみ。とりあえず、いってきまーす」

 リナさんは大きく手を振って、海賊の人たちやギルドの人たちに突撃していた。特に生の海賊船にテンションが上がっていた。遊ぶ私たちも撮影していた。寝顔のリヒターさんを撮ろうとしていたら、それはしっかり阻止されていた。 

「わんわんっ。わふっ」
「……うん、わかった。いい、リッカ? いいかな? いくよ……?」

 リッカは私の手を掴んで、足をかいていた。はしゃいでいた。私は確認しつつ、手を離せるタイミングと判断した。

「わんっ!」

 リッカは犬かきをしていた。楽しそうにすいすい泳いでいる……!

「おお……リッカ天才じゃん」
「思った。うちのリッカは天才だよ!」

 保護者バカの私たちは、ひたすら感動していた。早速リナさんに撮影をお願いした。まじで、と彼女も駆け寄ってきた。結局寝てないリヒターさんも微笑ましそうに見守っていた。リッカは悠々自適に泳いでいた。

「ふふ……」

 楽しい。私は素直に思った。こんなにも楽しくて――エドワード君とも共有が出来れば良かったのにと。

「……」

 私は遠く海を眺めた。

 今も一人で泳いでいるエドワード君を思った。

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