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第四章
そなたを解放するぞ②
「ねえ、エドワード君。今からする話は、きっと君に負担をかけることになるんだ」
私は彼に問う。話すにも心苦しいものなんだ。
「……よくわからぬが、そなたにとって大事な事なのだな」
エドワード君は床に座った。じっくり話を聞くことと、示してくれた。私も座る。
「……ありがとう。私はね、死から逃れなくて。何回もの死をこれまで迎えてきたの。でも、時間が戻ってね――」
私は語った。自分が理不尽に死を迎えること。その度に巻き戻ってやり直しになること。協力者の存在。全ては明け透けには話せないけれど、必要なことは説明出来たと思っていた。
「なんと……自身の事で大変だろうに。余の事ばかりまで。余の――」
エドワード君は言いかけてハッとした。
「……何回も、か。余の、余のしでかしたこと……クラーラ殿を殺めようとしたこと。今回ばかりではないとしたら。もし、前にも――」
「エドワード君」
私は彼の名を強めに呼んだ。
「君は手にかけなかった。クラーラさんも生きている。それが全てだよ」
「……」
「……それが真実、だから」
嘘をついてしまった……間違っているとは思わなかった。これはエドワード君が知らなくていいことだと思っていたから。
「エドワード君、お話しよっか。眠くなるまでね。目覚めたらまた、日常に戻れるから」
「……」
「?」
「……ああ、そうだな。話したいことがある。役に立つかもしれぬ」
エドワード君は首元に手をあてた。今はもう無い、破壊された――首飾りについてだ。
「……あれが、余に巨大なる力をもたらした。経緯はこうだ――」
エドワード君は当時を振り返り、語っていく。
「――あれは一年前のことか。航路を辿っていたところ、ララシアの海域までやってきた。そこで大嵐に見舞われてしまい、余は海に放り出されてしまった」
「……!」
「……いや、案ずるな。余にはほとんど損傷がなかった。気づいた時には、宮殿におったのだ。どうやって辿り着いたのか、それは余にもわからぬがな」
「……うん」
私を導いてくれた階段もそうだった。何らかの力が働いたの……?
「……美しさはそのままだった。余は懐かしさのあまり、歩き回っていた。そこで見つけたのが――」
エドワード君は目を伏せた。それは偶然か――それとも必然だったのか。
「……王族の風習にて、成人した者に首飾りを贈るものがある。余は形見だと思っておった。それがまさか……」
「……」
「……最初は微々たるものだったがな、次第に顕著に現れるようになった。余も思いのままでもあった。余は……力に溺れていったのだ」
自嘲するように笑うも、エドワード君は顔を上げた。私を見つめる。
「……そなたも呆れたことだろう。もう、溺れたりはせぬ。弱き者なれど、余は向き合っていくのだ」
「……うん、そうだね」
その夜は――眠くなるまで語り合った。
微睡みの中、彼の声がした――エドワード君の声が。
夢か現か、私にはわからない。ただ、彼の声を聞いている――。
「そなたはきっと……余に言えない事がある。いつかは、話してくれるだろうか。余がもっと頼りに、信頼に足る男になったのならば」
エドワード君の独り言、それは。
「……あのような余も、また余なのだ。これは戒めぞ。忘れてはならぬ」
決意するかのような――。
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