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第五章
復興の日々
私が育った国より遥か南方。特殊なワープゾーンを用いての移動となる、遠方の場所。
そこがララシア。今、私たちが暮らしている国だった。
美しき海、色彩豊かな草花、陽気な人たちの国――だった。
ある日を境に……ララシアは瘴気に犯されてしまった。あらゆるものが朽ちて果てていき、多くの方々の命をも……。
ララシアでの暮らしは続いていた。
暦では二月になっていた。
今日も私たちはララシアの復興に勤しんでいる。
「……ふう」
防護服に身を包んだ私は、一息ついた。この国を覆った瘴気を払う為に、散布薬を撒いている。薬師として、私も改良したりしている。学んできたことが役立てること、嬉しいな。
ここは――かつての都。市場で賑わっていた場所だった。現状は倒壊しきった建物に、今も多くの亡くなった方が眠っていることでしょう……。
「……」
私は祈りを捧げた……気がつけば、同行している皆さんたちも。ララシアの民でもある彼ら、その胸の苦しみは計り知れないもので……。
私は顔を上げた。
さあ、続けよう。
「おつかれー、結構すすんだなー」
「はい、お疲れ様でした」
今日はかなり中心部まで進みましたね。一緒に活動を行った人たちと労う。
見上げると淀んだ空。紫がかった、禍々しい色をしていた。海岸部は大分、綺麗な空に戻っているけれど。やはり中心部となると、なかなか……。
……五年はかかるって、お話だったよね。うん、地道にやっていこう。
一度は滅んだ国。けれどもこうして、立ち直りつつあるのだから――。
日が落ちると、活動も困難になる。私たちは防護服を脱いで、洗浄。その後に保管袋に仕舞った。うん、本日はここまで。この場で解散となった。明日も頑張ろうっと――。
「――シャーロットどのー!!」
海岸部に一人戻ると、ひと際大きな声がしていた。大きなウェットバッグを抱えたまま、海の中から手を振ってくる彼は。
「あ。おかえりなさい、エドワード君。学園、お疲れ様」
「うむ! ただいま戻ったぞ!」
学園から帰ってきた、エドワード君だった。私が手を振り返すと、さらに大きく振り返してきた。元気だなぁ。
「……恩に着るぞ、シャーロット殿。ララシアの地も喜んでいるであろう」
「そっか。ありがとうね」
エドワード君、エドワード・アタラクシア・ロウラウンド。ロウラウンド姓はララシア王族のもの――彼は王族の生き残りでもあった。
彼はブルーメ学園中等部に通い続けている。今日も泳いで帰ってきたんだね。距離をものともしないのは、彼の生来の水の魔力、それとこの国の神様のご加護なのかも。
だから水着姿であって。行って帰る度に、半裸の水着姿。もうそろそろ慣れてきて……慣れるわけがなかった。私は今も絶妙に視線を逸らしていたりした。
「……う、うむ。見苦しいものを」
「……う、ううん。私が慣れないだけだから」
エドワード君は気を遣ってだよね、いそいそと上着を羽織っていた。気を遣わせてるな……。
「……う、うむ。初心な女子ぞ」
……エドワード君? 君も君で俯いているというか、こちらを見ないともいうか。と、チラ見の私は不思議に思っていた。
「む。いつまでもこうして萌えているわけにも、な」
姿勢を正したエドワード君は、私と向き合った。そして見せるは大人びた表情。元々、大人っぽい見た目もしているものだから、年下だと忘れそうになる。
「良いのだ、シャーロット殿。余たちは、余なりに。奥ゆかしく、ゆっくり進んでいけばよい」
紳士のように手をとるエドワード君、笑い方までも包み込むかのようで――。
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