春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第五章

みんなでたのしいバーベキュー


「――お、お嬢ちゃんも来たかぁ!」
「良かったなぁ、エド! なあ?」
「あ、こんばんは」

 声を掛けてきたのは、海賊の皆さん。エドワード君がお世話になった方々だった。ララシアで暮らす皆さんまで。あ、翁さんも端の方で食べている。私は会釈した。
 ……というか。皆さん、この岩場に勢揃いしていた。囲んでいるのは――バーベキュー?

「……いやさ、最初は内輪だけのつもりだったんだけど。君の頑張りを労いたいなって、エドワードと計画していて」
「そうだったんだ……」

 二人とも、そう考えてくれていたんだ。アルトは苦々しい顔をしながら続ける。

「でもさ、あの人らに嗅ぎつけられてさ。そこからはもうさ。仲間呼びでもしたのか、増殖していってさぁ?」
「わはは、彼らはすぐ嗅ぎつけるものぞ! お祭り好きは生来のものだからな! わははは!」
「わはは、じゃねぇっつの」
「なんと! 楽しいではないか! 喜ばしいではないか!!」

 身内で集まりたかったアルトに、賑やかなのは大歓迎のエドワード君。ああ、また言い合いそうな雰囲気……。

「と、とりあえず……ありがとう!?」 

 二人は私たちを労おうとしてくれたんだ。その気持ちは本当に嬉しいの。リッカにも、こんな立派なお肉をくれたりして……ああ、美味しそうだねぇ、リッカ! 相当味わっているねぇ。

 私はバーベキュー会場に目を向ける。海の幸に山の幸がふんだんに。食欲をそそる匂いもたまらない。加わった彼らもだけれど、二人もきっと、すごく準備してくれたんだろうなって。

「うん、私も手伝うね。二人はゆっくりしていてね?」
「そんな、いいんだよ? ね、シャーロット? 日々を頑張る君の為なんだから」

 そんな私を止めるのはアルト。エドワード君もうんうんと頷いている。いやいや、それも悪いというか。

「もう、シャーロットったら。ほら、待っててね? 俺が君をもてなすから、ね? 君の好む食材だってわかっているから、ね? あ、あと……俺があーんして……」
「うん、手伝ってくるね。というか、二人が中心みたいなものだし。二人も行こう?」

 うん、悪いし。アルトが項垂れているけれど……うん、悪いし。ということで。

「うむ、あいわかった! アルト殿、無理を強いるのはよくないぞ?」

 エドワード君もそう言っていた。盛り上がりたい派だものね、君は。

「……エドワードってばさぁ。ぜったい、俺側の考えの癖にさぁ?」
「む、むむ……! き、決めつけも良くないぞ……!」

 ……俺側? アルトの発言にやけに動揺するのはエドワード君。
 ……?

「はっ! おイモの匂い!」

 じっくり味わったお肉の次はお芋の焼ける匂いと。リッカ、声に出てるよ……私の声と誤魔化しておくとして。

「わふっ」

 リッカはスタンバっている。うん、皆さんも手招きしている。それにお腹も空いたことだし。私たちもバーベキュー会場に駆けつけることにした。



 アルトの料理もだけれど、どれもこれも本当に美味しそうだった。
 笑いの絶えない場。皆さんも私も、笑ってはいても痛みは抱えたままだったから。こんなにも盛り上がったのは本当に久しぶりだったのだと思う。

「――」

 ――微かにだけれど、歌声が聴こえてきた。
 海に顔を向けるのは、リッカとエドワード君。そっか、君たちにも聴こえたんだね。うん、君たちこそが。
 きっと、水の女神様。この国を守護する存在。楽しそうな雰囲気に、参られたんだと私は思った。

 うん、楽しいね。こうして笑い合っている。

「へっへっへっへっ」

 リッカも本当に楽しそうだね。たくさん可愛がってもらっているね。

 大変だけれど、充実した日々――何よりも平和であること。
 ――死に怯えなくて済む日々。

「……」

 もう二月。それも下旬にさしかかっていた。本当にね、ララシアでの日々は平和に続いている。
 もし、このまま続いていくとしたら――。

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