春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第五章

手がかりを求めて

 都の駅に着くと、切符を買うことは出来た。今、列車が到着した。私は乗り込んでいく。

 本数が少ない鉄道内は、空いていた。静か車内、私は窓の外を眺め続けていた。
 雪景色からやがて、常緑の世界へ。ここは冬を忘れさせてくれる地だった。

 アナウンスが告げる、もう到着の時だと。
 まばらな客と共に、私も鉄道から下りていく――。





 雪がない地面、ララシアもそうだったけれど。こうした土の道はまた、味わいが違うものだった。暖かな風、この心地よさ。緑の木々は、春だと思わせてくれるもの。
 冬は冬でいいけれど、春も好き。早くダイヤノクトにも春が訪れないかな――。

「……」

 さて。あの花園は今日は開かれていない。となると、周辺を探るとしようかな。

 私は一つの考えに至った。ここに――金糸雀隊の本拠地のようなもの、それがあるのではないかと。
 さすがに準備もせずに突入とかはしない。それでも、彼らの実態を掴めたら有利になるのかも。

「……ああもう」

 金糸雀隊、か。考えれば考えるほど、気が滅入る存在なんだ……。何度、命を奪われたことか。何度、痛い目に遭わされたことか……リッカにも蹴りをいれた人物もいるし!

「……リッカ」

 早くあの子に笑顔が戻ってほしい。心からの笑顔、安らぎを。今回の遠征、無駄にはしたくないんだ。手がかりを掴んでみせるからね、リッカ。
 さあ、いくらでも歩き回るよ。何かを成果を持って帰ってみせると、私は誓った。




 もう、日が暮れようとしていた。

「……」

 私はひたすら歩き回っていただけ。この周辺をぐるぐると。崖下にも回っていたけれど、似たような風景が続くだけ……。

「それにしても……」

 私は思った。一緒に鉄道に乗ってきていた人たち、誰ともすれちがわなかったと。誰の姿を見てもいなかったなと。時間も時間だし、もう帰っているのかもだけれど。

「私もここまでかな……」

 ……本日は成果なし、かな。でも、私は諦めない。次は下調べをした上で、また訪れよう。エミルさんからお借りした本も、参考になるとも思われた。





 そんな帰り道、私はある場所で足を止めた。
 近頃の観光のメッカ、女神様ゆかりの庭園の前だった。立ち入り禁止の札があるから、私は訪れた当初もそのまま素通りしたんだっけ。

「え……」

 それが今、立ち入り禁止の札が――倒されていた。

「誰か入っているってこと……?」

 風で倒されるには、強風でもなんでもない。となると、人為的なもの?

「えー……」

 一緒に乗り合わせた人たちが、無断で入ったってことかな? 管理会社みたいなのは不明、どこにも書かれてはいない。注意とか、止めるとか、ハードル高いなぁ……。

「人の手によるもの、届く範疇……って、仰っていたよね」

 以前、ご一緒した夫人に教えられたこと―奥は禁足地、その手前の庭園までならば、と。

「……無事を確認するくらいは」

 確認できたら……ううん、さすがに悪いことをしてたら止めよう。勇気出そう。ただ、それとなく入ったくらいなら……うん。私とリッカもそうだったから。
 私は看板を起こし直し、庭園へと踏み入れていく――。



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