春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第五章

エミルさんがわからない

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 私は自分で思っている以上に疲れているようだった。部屋に戻ると、ほとんど寝てばかりだった。


 夜になると夕ご飯も少しだけ食べて、軽く体も洗って。それから就寝準備もする。

「リッカ……」

 私はベッドにうつ伏せになった。日数が経たのに、何もわからないままだった。

「あの集落のことより先に学園、なのかな……」

 学園に行くとなった途端に、だったから。わからない、わからないよ……。

「でも、頑張ろう……」

 幸せでいてほしい。あの子の憂いをなくしたい。

「……おやすみ、リッカ」

 明日から久々の学校だ。私はうつ伏せのまま、瞳を閉じた――。




 学園復帰後、私の行方不明の件で話がもちきりだった。心配や好奇心交じりの眼差しを向けられながら、私は一日を過ごすことになった。


 放課後になって、廊下でエミルさんとすれ違った。うん、今回はちゃんと知り合っているよね? 本も貸してもくださっている。うん、知り合いだ。

 それにしても、どうしたのかな? 私の学年の階で目にするの、すごく珍しかったから。用事があるってことかな?

「こんにちは、エミルさん」
「……」 

 エミルさんは何も言わない。彼は。

「……?」

 エミルさんは私の方を見て、儚そうに笑っている……? この人のいつもの笑み、それにしてはあまりにも悲しそうで。

「……うん。こんにちは、ジェムさん。では、また」
「はい……」

 エミルさんは優雅に一礼して、颯爽と去っていった。その様に廊下にいた生徒たちも見とれていた。私だって、いつまでも眺めていたいような――。

「……?」

 なんか、胸のあたりが変な感じした。なんだったんだろう……? 




 三連休が近づいていた。ちょくちょくエミルさんを見かけるようになっていた。挨拶くらいの関係だった私たち。
 それでも関係は変化していったのかな? ちょっとした雑談もするようにはなっていた。




 日々は過ぎていく。
 時折見せる、憂い顔でいて――何かを渇望しているかのような顔。
 そんなエミルさんのことがわからないまま――。



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