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第五章
女神像破壊事件……?
「――むむっ!?」
「へっ!?」
居間の鳩時計が鳴った。不意打ちをくらったエドワード君が驚いていた。それにつられて私もびっくりしてしまった。
十二時を音で知らせたんだ。そう、今をもって日付を変わった。
「……」
「……」
「……」
何も、何も起こらないのかな? そうだよ、何が起こるっていうの? 事件なんて起こりえないでしょう?
エミルさんと穏やかで、平和なひと時を過ごせているというのに――。
――突如、鳴り響くは拡声器の起動音。
あの耳障りな。
軋むような音が。
「……予感、当たることないだろ」
「……来たか、来てしまったのか」
アルトもエドワード君も一気に警戒を高めた。
「あ……」
私は……私は……ただ、わからなくて。
あれだけ平和だった時間が、いきなり崩れ落ちるだなんて。ねえ、何が起こって――。
『――女神像破壊事件、犯人はシャーロット・ジェム。至急、確保せよ』
「え……」
女神像破壊……え?
「は……?」
アルトが声を出した。私も彼の方を見てしまった。ううん、アルトがもう関係ないのはわかっている。わかっているけれど……!
どうして?
何故?
いいえ、そんな風に考えている暇すら与えてくれない。
すでに――『死神』は迫っているから。
乱暴に開かれた家の扉。なだれ込むは、装束の集団――金糸雀隊。
現れた彼らと対峙する私たち。私は生唾を飲んだ。
「……?」
すぐに襲ってくるかと思っていた。なのに、彼らはその場に留まったまま。
しばらく続く沈黙。破ったのは、女性の声。
「……投降なさい、シャーロット・ジェム。そうすれば、せめて」
……? 女性の声が震えているようだった。それは動揺ともとれるもの。常に殺意を向けてきた彼女らしからぬもの。
「……そうすれば」
女性はその続きを言おうとしては、止める。そんな彼女を無言で諫めるのが他の隊員。
「……ええ、そうですね。あなたは大罪を犯した。確保など、甘いこと――死をもって償いなさい」
「……」
ああ、殺意が向けられていく。彼女の言葉を皮切りに。
「大罪人には死を!」
「我らが裁きを下す!」
一斉に彼らが武器を向け、襲いかかってくる……!
「……大丈夫だよ、シャーロット。俺達がついているから」
と、私に語りかけると同時に、アルトは抱え上げてきた。そのまま勢いに乗って、窓を開いては外へ。
「うむ!」
エドワード君も続いた。そんな私たちを追いかけるは、金糸雀隊。
冬の夜風がつきつける。家の中から外へ、開けた場所へと躍り出た。
「さてと。こっちもやられてばっかじゃないんで」
アルトはここで私を下ろした。彼は臨戦態勢に入っていた。逃げる気なんてないんだ……。
「余も同感だ。憂いは断っておきたいからな」
エドワード君もそうだった。彼は宝剣を手にしていた。目つきも違う、本気で戦う気だ。
「シャーロット。君はちゃんと逃すから。あの人らと打ち合わせ済みだから」
「それって……」
今夜、私を助けようとしているのはこの二人だけではない。この場にいないけど、おそらくリナさんやリヒターさんも……。
私はもう『大罪人』と定められているのに。君たちももう、加担してしまっていて……。
私が……こんなんでどうするの。
「……私も、私も戦う」
そうだよ、そうなんだ。この人たちを退けない限り、私たちに未来は。
「いや、君は逃げて――」
「お願い」
アルトたちは難色を示していた。私は思いを込めて伝える。どうか、お願い。
「……はあ。本当にやばくなったら、俺の判断で逃がすからね?」
本当に嫌々といった感じではあったけれど、私を自身の背後に回した。
「狙いはこの子だからね。俺は迎撃しているから、エドワードの方で蹴散らしておいて」
「なんと雑なる指示よ。だが、それも良し――来るぞ」
もう話し合いの余地なんてない。私に向けられた殺意が牙を向いているのだから。
これまでも金糸雀隊の襲撃を受けてきた。私たちは一方的にやられてばかり。相手を圧倒する時はあっても、それは『アイテム』の影響下であってこそ。
人智を超えた力、それが今はこちらにはない。それでも、だとしても。屈するわけにはいかないんだ。
「へっ!?」
居間の鳩時計が鳴った。不意打ちをくらったエドワード君が驚いていた。それにつられて私もびっくりしてしまった。
十二時を音で知らせたんだ。そう、今をもって日付を変わった。
「……」
「……」
「……」
何も、何も起こらないのかな? そうだよ、何が起こるっていうの? 事件なんて起こりえないでしょう?
エミルさんと穏やかで、平和なひと時を過ごせているというのに――。
――突如、鳴り響くは拡声器の起動音。
あの耳障りな。
軋むような音が。
「……予感、当たることないだろ」
「……来たか、来てしまったのか」
アルトもエドワード君も一気に警戒を高めた。
「あ……」
私は……私は……ただ、わからなくて。
あれだけ平和だった時間が、いきなり崩れ落ちるだなんて。ねえ、何が起こって――。
『――女神像破壊事件、犯人はシャーロット・ジェム。至急、確保せよ』
「え……」
女神像破壊……え?
「は……?」
アルトが声を出した。私も彼の方を見てしまった。ううん、アルトがもう関係ないのはわかっている。わかっているけれど……!
どうして?
何故?
いいえ、そんな風に考えている暇すら与えてくれない。
すでに――『死神』は迫っているから。
乱暴に開かれた家の扉。なだれ込むは、装束の集団――金糸雀隊。
現れた彼らと対峙する私たち。私は生唾を飲んだ。
「……?」
すぐに襲ってくるかと思っていた。なのに、彼らはその場に留まったまま。
しばらく続く沈黙。破ったのは、女性の声。
「……投降なさい、シャーロット・ジェム。そうすれば、せめて」
……? 女性の声が震えているようだった。それは動揺ともとれるもの。常に殺意を向けてきた彼女らしからぬもの。
「……そうすれば」
女性はその続きを言おうとしては、止める。そんな彼女を無言で諫めるのが他の隊員。
「……ええ、そうですね。あなたは大罪を犯した。確保など、甘いこと――死をもって償いなさい」
「……」
ああ、殺意が向けられていく。彼女の言葉を皮切りに。
「大罪人には死を!」
「我らが裁きを下す!」
一斉に彼らが武器を向け、襲いかかってくる……!
「……大丈夫だよ、シャーロット。俺達がついているから」
と、私に語りかけると同時に、アルトは抱え上げてきた。そのまま勢いに乗って、窓を開いては外へ。
「うむ!」
エドワード君も続いた。そんな私たちを追いかけるは、金糸雀隊。
冬の夜風がつきつける。家の中から外へ、開けた場所へと躍り出た。
「さてと。こっちもやられてばっかじゃないんで」
アルトはここで私を下ろした。彼は臨戦態勢に入っていた。逃げる気なんてないんだ……。
「余も同感だ。憂いは断っておきたいからな」
エドワード君もそうだった。彼は宝剣を手にしていた。目つきも違う、本気で戦う気だ。
「シャーロット。君はちゃんと逃すから。あの人らと打ち合わせ済みだから」
「それって……」
今夜、私を助けようとしているのはこの二人だけではない。この場にいないけど、おそらくリナさんやリヒターさんも……。
私はもう『大罪人』と定められているのに。君たちももう、加担してしまっていて……。
私が……こんなんでどうするの。
「……私も、私も戦う」
そうだよ、そうなんだ。この人たちを退けない限り、私たちに未来は。
「いや、君は逃げて――」
「お願い」
アルトたちは難色を示していた。私は思いを込めて伝える。どうか、お願い。
「……はあ。本当にやばくなったら、俺の判断で逃がすからね?」
本当に嫌々といった感じではあったけれど、私を自身の背後に回した。
「狙いはこの子だからね。俺は迎撃しているから、エドワードの方で蹴散らしておいて」
「なんと雑なる指示よ。だが、それも良し――来るぞ」
もう話し合いの余地なんてない。私に向けられた殺意が牙を向いているのだから。
これまでも金糸雀隊の襲撃を受けてきた。私たちは一方的にやられてばかり。相手を圧倒する時はあっても、それは『アイテム』の影響下であってこそ。
人智を超えた力、それが今はこちらにはない。それでも、だとしても。屈するわけにはいかないんだ。
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