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第五章
みんなで帰ろっ
朝になり、私とリッカは集落を出ることにした。盛大に見送られた。優しいリッカは何度も振り返っていた。
エミルさんも都の借家に戻るってことで、一緒に帰ることになったけれど。
「……ごめん、あれ嘘だったんだ。ここから通っていたんだ」
「なるほど……?」
あれだね、こう例のアイテム的な――それがあの像、拡声器とかがあたるのかな?
『元々、あの像に拡声器なんてなかった。僕達が気づかぬ間にだったんだ』
宴の帰り道に、エミルさんはこっそりと教えてくれた。そのアイテムの恩恵もあって、あの超移動が可能だったんだ。
……それにしても、気になるよね、拡声器がいつ出現したとか。
何のために、とか……。
「どうしようかな、もうあの力は使えないわけだから」
学園に通っているから、それこそ家でも借りるのかな?
「男子寮、空いてたらいいよね」
「あ、それだ。確認してみようかな」
エミルさんは前向きに検討していた。うん、それが良さそう。
「……」
……エミルさん。解決した今でも、あなたのことは知らないばかり。
暗部。国の暗部のことを請け負っていると。殺人とか、ではないにしろ。そう信じたいにしろ。
未だにあなたは。
――金糸雀隊では在り続けるの?
そう、今はまだ。どう切り出すべきなのか。その答えが見えない。
と、そうこうしている内に駅が見えていた。
「――こっちこっち!」
大声で手を振るアルトを始めとした、おなじみの彼ら。
「わあい!」
リッカが嬉しそうに駆け寄っていく。うん、私も気持ちは同じだよ。迎えに来てくれたのもだし、こうして無事な姿を見られたこと。
「帰ろう、みんなで帰ろっ」
ああ、リッカは尻尾ブンブンだねぇ、嬉しいね、嬉しいねぇ……! エミルさんも彼の言葉に大いに頷く。
「うん、リッカ様。帰ろう」
「「「「リッカ様?」」」」
四人の声が揃った。そうだね、色々あったから。鉄道内では限られる話、いつもの私の家で話そうかな――。
静かな車内。こちらの号車は私たちだけのようだった。
「――あの時のことをお詫びしたくて。疑いをかけて、手荒なこともしてしまった。本当にごめんなさい」
鉄道に乗って即、エミルさんは詫びていた。それでも、彼らからしてみれば。これまでのように『お互い様』と返すかというと、そうではなかった。返事をするにも困っているようだった。
……相手は金糸雀隊。割り切りはするようでも、納得がいくのは時間が要するようだった。
それでもね、歩み寄ろうとしているのは確かだった。うん、少しずつでも。
鉄道は四人掛けボックス席だった。私たちの人数的に分かれることになる。
「はいはい、俺、シャーロットの隣っ! でもって、リッカは俺の膝の上ー!」
アルトが真っ先に私の隣に座ってきた。あ、リッカもお膝の上に!
いつもの三人はいつものことかと、三者同様の眼差しを向けていた。アルトは当然へこたれない。
「ふふ、僕は向かいに座ってもいいかな?」
エミルさんは私の前に座っていた。優雅に微笑みながら。
「……どうぞ」
私より先にアルトが返事していた。その上、体を寄せてきた。みるからに警戒を強めていた。
「……あ、うん。ありがとう」
それはエミルさんにも十分に伝わったのだと思う。気まずそうにしていた。
……エミルさんの記憶にあるのは、せいぜいあの時の攻防くらい。
アルトの方は……彼も散々苦しめられてきたから。私は彼の態度を咎めるなんて出来なかった……。
「では、私はこちらで」
「リナもいいよ。時々、そっち行くからね? 代わってよ、アル君? って、おーい。適当な返事はよくないぞー?」
「なに、皆で楽しく話せばよいのだ。わはは、わはは」
人数的に自然に分かれるようにと、彼ら三人は通路を挟んだボックス席へ。
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