脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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歓迎されているのか、いないのか

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「遠路はるばるようこそお越しくださいました。王太子殿下並びに――アリアンヌ様」
「いえ、こちらこそ――」

 私たちの正体にも気づいてらした。内心の動揺を隠しつつも、私は挨拶をしたのでした。殿下もそうですわね……あらかじめ御存知のようでしたわ。

「……この国有数の貴族の方なの。イヴ君と知り合いみたいだね」
「ありがとう……ええ、そのようですわね」

 ブリジット様がこっそりと教えてくれました。彼女は忌々しそうに続けます。

「……権力ある方だから、うちの兵に色々と吹き込んだのかも」

 国外からだろうと。彼女、そのように推理してました。ええと……そのような手を回してきたということなのでしょうか。人の良さそうなこの御仁が。

「……いえ」

 底知れないところがあるのは、私でもわかりました。優しそうな笑顔ながらも曲者であると。私がそう理解したからでしょうか、ブリジット様は隣で頷いてました。

「――さて、思いもよらずでした。アリアンヌ様とお逢いしたわけですね」
「そうですわね」

 イヴの承諾なくやってきましたもの。こちらの方、イヴとつながりがあるのは確かなようですわ――イヴが滞在していても不思議でもない。どうにか繋がりを持てないものかしら――。

「いやいや僥倖僥倖。お招きしましょう。イヴもおりますから」 
「!」

 ほ、本当に滞在していたとは。そして渡りに船ともいえましょうか。

「よろしいのですの?」

 思いがけず、ですわね。私の声は上擦ってしまいましてよ。

「まあ……よろしくもないですがね」
「ま」

 よろしくもないのですの……? いえ、イヴは私に黙って出ていくくらいでしたわね……。

「まあ……正直に申しましょうか。イヴはあなたにこの国に来て欲しくなかったようで」
「……!」

 私は言葉を失いました。いえ、イヴには考えがあってのことだとわかっていても、思っていても。拒絶にまつわる言葉が、それがイヴから発せられたと思うと。

「それで僭越ながら……私が手を回してみたりしまして。例えば――ブリジット嬢側からの協力を得づらくしたり?」
「ま……」

 飄々と仰いますのね……? ブリジット様も笑顔なれど表面下では煮えたぎっていることでしょう。殿下も曲者めと言わんばかりの目をしていますわ。

「……あと、鉄道も乗車拒否。いいや、入国拒否と。色々やってみましたがね」

 ――来てしまいましたね、と。

 なんということですの。ブリジット様の提案がなければ、この国に来られなかったではありませんの! 随分と手を尽くしてきましたのね……!

「そう――来てしまいましたから。イヴもね、本当は会いたがっていると思いますし」

 男性は何も悪いことはしていないと。それからイヴのことにも触れてきました。

「うたた寝していた時だったかな――寝言であなたの名を呼んでいましたから」
「!」

 いきなりのぶっこみですの!?ああ、殿下までもが滾っていますこと……?

「そもそも――いや」

 まだまだ語られると思いきや、ある事に関しては口を噤まれたようです。私のことをチラリと見られたので、かなり気になるのですが……。

「ひとまず我が邸にお招きしましょうか。イヴが会いたくないと言ったら、それはそれでごめんなさいね?」
「ええ……お招き感謝いたしますわ」

 ええ、ひとまず。イヴへの一歩に繋がったのです。私たちは卿の招待に預かることになりました。

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