脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

文字の大きさ
429 / 442

新たなる日々ED②

しおりを挟む

『もう! あなたたちだってそうでしょ?』

 あ、いつもの『もう!』が……。

「出た、『もう!』」

 セレステまで。

『もう!』  

 追加でもう一回。ブリジット、むくれているかもね。画像ではもうわからないけれど。

「うん、幸せになるよ。ユイやアークもだし――今度こそこの世界ごと、守ってみせるから」

 セレステはそう宣言していた。そっか、と画面の向こうで彼女も安心しているはず。

「ありがとう、ブリジット。元気でね。あんたの幸せも祈ってる」
『うん……』 

 ブリジットの声が遠くなっていく。もう、彼女とは――。

 もう、彼女とは……ブリジット!

「ブリジット……!! 約束、果たせなくてごめんなさい……!! もう、もう会えなくなっても、それでも幸せであるようにって……!」  
『うん、うん……』

 ノイズ混じりの、声。もうどこまで、互いの声が届いているのか。

 もっと、もっと話していたい。伝えたいことだってたくさんある。思い出話だって。なのに……!! 

「今までありがとう……!」  
『――』

 ついには……聞こえなくなったの? ブリジットの涙混じりの笑顔だってもう、画像からは消えていて。

 伝えたいこと。せめてこれだけでも……!! 

「会えて、出会えて良かった……」

 ブリジット、あなたに会えてよかった。ときに強大なライバル、でもやっぱり大好きな大親友だったよ。ブリジット……。

『わたし……も』
「あ……」

 ブツンと遮断された画面。繋がりはもう、無くなってしまった。
 ブリジットとも。ユウ君ともそう。私を信じて送り出してくれたのに。

「ああ……」

 ブリジットやユウ君もだし、アリアンヌ様――『彼ら』とも。家族とも。共に過ごした人たちとも。

「あああ……!」 
 
 私の涙は止まってくれない。その事実が今になって圧し掛かってしまっていた。

 覚悟を決めて選択をしたのは自分、それなのに……!! 

「ユイ」

 ――私の名前を呼んで、抱きしめてくれたのはセレステだった。

「好きなだけ泣きなよ」
「……」

 それは許されることなのかな。私の勝手によるものだったのに。セレステは何度も確認してくれたのに。私は惑っていたけれど。

「ゆっくり立ち直っていけばいいよ。まだまだこれからなんだから」
「……そっか」

 私を見上げながら、優しい表情でそう言ってくれた。

 そうだね……うん、そうだ。

 この世界だって、この時代だって――私、まだ小川結衣として生きられるなら。

 これからが残されている日々、精一杯生きよう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな
恋愛
有名な3人組がいた。 アリス・マイヤーズ子爵令嬢に、マーティ・エドウィン男爵令息、それからシェイマス・パウエル伯爵令息である。 整った顔立ちに、豊かな金髪の彼らは幼なじみ。 いつも皆の注目の的だった。 ネリー・ディアス伯爵令嬢ももちろん、遠巻きに彼らを見ていた側だったのだが、ある日突然マーティとの婚約が決まってしまう。 それからアリスとシェイマスの婚約も。 家の為の政略結婚だと割り切って、適度に仲良くなればいい、と思っていたネリーだったが…… 「ねえねえ、マーティ!聞いてるー?」 マーティといると必ず割り込んでくるアリスのせいで、積もり積もっていくイライラ。 「そんなにイチャイチャしたいなら、あなた達が婚約すれば良かったじゃない!」 なんて、口には出さないけど……はあ……。

【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、 この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。 自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。 ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、 それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___ 「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、 トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘! そんな彼女を見つめるのは…? 異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?

榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した しかも、悪役令嬢に。 いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。 だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど...... ※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて

『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています? ※更新について 不定期となります。 暖かく見守って頂ければ幸いです。

処理中です...