時を超えた異邦人、伯爵令息の愛に囚われて

たもゆ

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#06 ジパング

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 「エイドリアン」
 初日の仕事を終え、部屋に戻ろうとする彼を、ダンテが静かに呼び止めた。
 「……今日は、アンドレアが君につきまとってたようで、すまなかった」
 「……いえ。とても活発で、可愛らしい弟君ですね」
 エイドリアンの言葉に、ダンテの肩がわずかに緩む。
 「やんちゃすぎるのが玉に瑕だが、許してやってほしい。本当はほかにも弟と妹がいたのだが、幼くして亡くしてしまってな……。だから、アンドレアの明るさには、私たちもずいぶん救われているんだ」
 その言葉に宿る微かな哀しみを、エイドリアンは見逃さなかった。
 この時代、幼子が病に倒れることは珍しくない。けれども、ダンテの眼差しに宿る深い愛情と、ほんのわずかに翳りを帯びた表情を目の当たりにすると、胸の奥がじんわりと切なく熱を帯びていくのを感じた。
 「……僕でよければ、いつでもお相手しますよ」
 そっと告げると、ダンテは目を細め、小さく笑みを浮かべながら「ありがとう」と言った。
 「……それと、君に一つ聞きたいことがあるんだが」
 エイドリアンは少し身を乗り出し、耳を傾ける。
 「はい、なんでしょう」
 「……君は、地図を読む心得もあるか?」
 「地図、ですか……? ええ、多少なら」
 ダンテは頷き、目にわずかな期待を浮かべた。
 「そうか。実は見てもらいたいものがあってな――私の部屋に来てもらえないだろうか」
 「はい、喜んで」

 ダンテに案内されるまま、彼の私室へと足を踏み入れると、そこには青年貴族としての威厳と、繊細な趣味が同居する空間が広がっていた。
 壁には深緑や濃赤のタペストリーが掛けられ、金糸で描かれた家紋や神話の場面が室内を落ち着いた華やぎで満たしている。書棚には古典や哲学書、旅行記が並び、手書きの写本や珍しい東方の巻物も混じっている。
 
 ダンテは手に持った燭台の小さな炎を、机の上に置かれたランタンに移した。柔らかな光が静かに部屋を満たし、揺れる炎に照らされて、机の上に広げられた地図の細部が浮かび上がる。海岸線や山々、まだ名前の書かれていない土地までが、微かな光の下で確かに見て取れた。
 「この地図は、父上から譲り受けたものなんだが、アンドレアがしきりに『ジパングはどこだ?』とうるさくてな……。君の国がどれだか、分かるか?」
 エイドリアンは地図を覗き込み、指先で海や山をたどる。しかし、日本の名はどこにも記されていなかった。
 「すみません、ダンテ様。ここには僕の国が記されてないようです」
 「そうか……」
 エイドリアンは世界地図の東端を指先でなぞった。
 「はい。この辺に……こういう形の島国があって」
 曖昧に輪郭を描く指に、隣で覗き込むダンテが興味深そうに目を細め、そっと羽ペンを差し出した。
 「……描いてくれないか。君の国を」
 エイドリアンは差し出された羽ペンをしばし見つめ、手が震える。机の上に広げられた羊皮紙の地図は、柔らかい手触りに反して重厚で、端には精緻な金の縁取りが施されていた。
 「……こんな貴重で高価なものに、僕が描いても……」
 「構わない。お願いだ、描いてくれ」
 ダンテの真剣な眼差しに、エイドリアンはようやく覚悟を決めてペンを受け取る。インクの匂いが漂う中、震える指先で紙に日本列島の輪郭を描き出す。それは、まだこの時代の誰も知らない、未来からもたらされた国の姿だった。

 「……できました」
 その紙に目を落とすダンテは、しばし沈黙した後、目を細め、柔らかく微笑む。
 「……見事だ。まるで、そこに君の国が息づいているかのようだ」
 その言葉に、エイドリアンの胸の奥に、ほのかな安堵と誇らしさが広がる。手に残る震えも、いつの間にか静まっていた。
 ダンテの笑みは、単なる感嘆だけでなく、心からの信頼と喜びを伴っており、二人の間に静かだが確かな結びつきが生まれた瞬間だった。

 

***

 ​エイドリアンが、この高台の別邸ヴィラに身を寄せてから幾日か過ぎたが、彼の生命線であるクロノス機関本部とのリンクは一向に繋がらなかった。
 ​日々の忙しさに追われるうちに、エイドリアンも未来への帰還を半ばあきらめるように、通信デバイスの履歴を頻繁に確認することも、リンクを試みることもなくなっていた。
​ それ以上に、伯爵ご一家や使用人たちの身近にある温かな心遣いが、彼を強く引き止めていた。端末は、いつの間にか机の引き出しの奥深くにしまわれたまま、忘れ去られようとしていた。


 その日、エイドリアンは庭石の上に置かれた薪割り台の前で、斧を振り下ろしていた。
​ 乾いた快い音とともに薪が割れ、手に伝わる確かな感触に、思わず口元が緩む。つい先日まで生まれて初めて握ったばかりの斧を、今では職人のように迷いなく扱えるようになっていた。
 
 ​――未来ではAIに命令する側だったのに、今は自分が“命令される側”とは。未来のAIたちも、こんな気持ちを味わっていたのだろうか。
​ だが不思議と心は軽やかだった。薪を割るたびに響く乾いた音が、頭の奥でざわめいていた未来の喧騒を洗い流していく。いや、それだけではない。掃除も、洗濯も、火起こしさえも――。複雑なシステムに縛られていたあの時代から、この素朴で確かな「生」の営みへと、魂が解き放たれていく感覚があった。
 
 ​いま、自分の手でこの時代を生きている。その肉体的な疲労と確かな実感だけが、静かに胸を満たしていた。
​傍らでは、アンドレアが目を輝かせて斧の動きを追っている。「僕もやってみたい」と言い出しそうな瞳に、エイドリアンは苦笑をこぼした。
 
​ 子供の好奇心は理解できるが、これは遊びではない。危ないからと諭す言葉を探していた、そのとき。
 ​薪割り台からこぼれた木片に、アンドレアが手を伸ばそうとした。
 ​「若坊ちゃま! 手が汚れますから、いけません!」
 ​ちょうど通りかかったルチアーナが声を上げる。叱られても、アンドレアはまるで気にした様子がなかった。
​ 「だって、エイドリアンを手伝いたかったんだもん」
 ​「使用人の手伝いなど、高貴なサントロ家のお方がなさることではありません」
 ​「アンドレア様……お気持ちだけで十分です。ありがとうございます」
​ 「……うん」
 
 ​まだ納得しきれない顔をしていたアンドレアだったが、すぐにパッと笑顔を向けてきた。
 ​「ねえ、エイドリアン! またジパング語を教えて!」
 ​「ふふ、はい。喜んで」
 ​そのとき、不意に背筋に視線を感じた。
 ​顔を上げると、邸の二階の窓辺に人影がある。逆光で表情までは読めなかったが、その高潔な輪郭でダンテだとすぐにわかった。
 ​陽光に照らされた窓から、彼は静かにこちらを見下ろしている。
 
 ​どうしてだろう。土と汗と木の匂いにまみれた自分を見つめるその眼差しが、ひどく温かく見えた。
​ まるで、自分という存在ごと、この世界に受け入れられたようにやさしく包まれているようで――。
​ エイドリアンの胸の奥で、薪割りの熱とは違う、名も知らぬ、強く甘い熱がそっと息づきはじめた。


  
 ***

 ユリウス暦の九月八日。澄んだ空気が広場を満たし、鐘楼からは祝祭を告げる鐘の音が高らかに響いていた。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の白と緑の大理石は朝日を受けて輝き、人々のざわめきが波のように寄せては返していた。

 エイドリアンは、カルロ伯爵とジュリア夫人、そしてダンテとアンドレアの後に従い、女中長のルチアーナと共に石畳の上を歩いていた。祭礼に参列するため、今日は質素ながらも清潔な装いを与えられている。だが、異国の面差しと尾花色の髪は隠しようもなく、通りを行き交う人々の視線がことごとく自分に注がれるのを感じていた。
 (……やっぱり、目立つな)
 胸の奥に小さな緊張が広がる。けれどダンテがふと振り返り、ほんのわずかに目を細めて頷いた。その仕草に、エイドリアンの背筋は少しだけ伸びる。

 聖母マリアの誕生を祝うこの日、大聖堂の扉は開かれ、荘厳な聖歌が内側から溢れ出していた。
 貴族も市民も一様に敬虔な面持ちで聖堂へと歩みを進めている。
 
 カルロ伯爵は隣席の知己に丁寧に挨拶を交わすと、前方の礼拝席へと腰を下ろした。ジュリア夫人も静かな微笑みを浮かべながらその隣に座り、さらにダンテとアンドレアが続く。
 使用人であるエイドリアンとルチアーナは壁際に控え、主家の背を静かに見守った。

 堂内に漂う香の甘やかな薫りが鼻先をくすぐり、視線を上げれば、陽光を受けたモザイクが金の粒を散らすようにきらめいている。
 初めて訪れたときも息を呑む美しさだと思ったが、今日は香と光とが溶け合い、細部の彩色までもがいっそう鮮やかに浮かび上がって見えた。胸の奥が、静かな感動に揺さぶられる。
 
 視線を感じて振り向くと、他家の貴族が、ひそやかに彼を見ていた。驚きと好奇心の入り混じった眼差し。そのざわめきはすぐに押し隠され、穏やかな笑みへと変わる。だが、エイドリアンには、その奥に潜む計算の影が見えた気がした。

 再び鐘の音が響き、聖歌が高らかに天井へと昇っていく。エイドリアンは胸の奥で小さく息を吸い込み、静かにその場に立ち尽くした。

 礼拝が終わり、参列者たちはゆっくりと席を立ち始めた。エイドリアンは壁際に控えたまま、周囲の様子を見守っている。
 荘厳な讃美歌の余韻がまだ残る空気の中、静かに人々の足音と衣擦れの音だけが響いた。
 そのとき、隣に座っていた貴族が、カルロ伯爵のほうへと身を傾け、声を潜めた。
 「……今日はずいぶんと変わった従者をお連れですな」

 カルロ伯爵は穏やかに微笑み、軽く頷く。
 「ええ、少々異国の者でしてな。見聞も広く、なかなか興味深い人物です」
 男はさらに唇を寄せ、好奇の色を宿した瞳で続けた。
 「なるほど。カルロ伯爵の御家には、また珍しい逸材がいるようだ。その異国の言葉も話せるのか? それとも、我らの言葉に通じているだけかね?」

 カルロ伯爵はわずかに口角を上げ、愉快げに笑みを深めた。
 「我らの言葉はまだたどたどしいのですが、彼はイングランドの言葉、さらには東方の珍しい言葉まで解します」
 男は眉を寄せ、訝しげに呟いた。
 「イングランド語だと? 北の野蛮な島の言葉まで……。そして東方の珍しい言葉とは――まさか『ジパング』の言語か? カルロ伯爵、それはあまりに奇抜な冗談ではあるまいか」

 「ご冗談ではなく、まことに。もっとも、実務にどれほど役立つかは定かではありませんがね」
 伯爵は肩をすくめ、謙遜を装いながらも、従者の異質さを誇るような口ぶりだった。
 
 壁際で控えていたエイドリアンは、耳に届いた自分の話題に心臓が早鐘を打つのを覚えた。慣れぬ社交の場で、注目を浴びている――その意識だけで背筋にじわりと緊張が走る。

 そのとき、ふいにダンテの視線がカルロ伯爵に向けられた。
 口元の笑みは崩していない。だが、わずかに吊り上がった眉と、目許に宿る鋭い影が雄弁に物語っていた。
 その無言の圧に気づいたカルロ伯爵は、逆に愉快そうに口の端を吊り上げた。

 礼拝堂を出ると、ダンテは抑えきれぬ苛立ちを滲ませ口を開く。
 「……父上。あのようなお話を持ち出されては困ります」
 カルロ伯爵は悪びれるどころか、得意げな笑みを浮かべて肩をすくめた。
 「いつもあのエンリコの退屈な自慢話に付き合ってやってるんだ。たまには仕返しも必要だろう?」
 ダンテは眉をひそめ、少し息を詰めるように問いかける。
 「――もし、エンリコ卿が、エイドリアンを寄越せなどと仰ったら、どうなさるおつもりですか」
 ダンテの問いに、カルロ伯爵は眉ひとつ動かさず、軽やかに足を進めた。
 「断ればよかろう。エンリコの言うことなど、些細な戯れに過ぎぬ」
 その場に沈黙が流れる。
 エイドリアンは父子の軽妙なやり取りに戸惑いながらも、どこか温かさを覚えて微笑んでいた。だが、この小さな火種が、後に思わぬ波紋を呼ぶことになる――。

 ――そして、数日後。
 カルロ伯爵に呼ばれ、書斎の扉を開けると、伯爵は机に肘をつき、にこにこと笑っていた。
 「エイドリアン。さっそくエンリコのやつからお前を寄越せと手紙がきおったぞ」
 思わず息を呑む。背筋をぴんと伸ばすが、口がうまく動かない。
 「……え、ええ……!?」
 普段なら絶対に聞かれたくない、他家の事情が、まるで冗談のように軽やかに飛び出してくる。目の前で伯爵は楽しそうに笑い、隣で腕組みしているダンテの眉間の皺がさらに深くなるのを、敏感に感じ取る。
 カルロ伯爵は封を開き、にやりと含み笑いを浮かべながら羽ペンを手に取る。
 「ふむ……あやつも随分と熱心なことだな。だが、断るだけのことだ」
 さらりと羽ペンを走らせた文面には、わずかに皮肉が滲む。
 「“忠実なる使用人に感謝します。どうぞお手元で大切にお仕えください”……よし、これで良い」
 カルロ伯爵はにこやかに笑っていたが、その手紙の言葉は、まるで鋭い刃のようにエンリコ伯爵のプライドを切り裂くものだった。彼は羽ペンを置き、封を閉じた手紙をエイドリアンに差し出す。
 「これをルチアーナに渡してくれ」
 エイドリアンは少し戸惑いながらも、受け取った手紙を慎重に抱えた。
 その傍らで、ダンテは腕組みのまま、呆れ顔で父を見つめるのだった。
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