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大好きなご主人様
しおりを挟む幼い頃両親に奴隷商へと売られたステラは、魔法使いに買われた。ステラは魔法使いで薬師のご主人様に大切に育てられ立派に成長した。
ひょんなことからご主人様が子供の姿になってしまい、そのご主人様とステラがイチャイチャする話。
ショタおね
───────────────
ステラは奴隷だ。貧しい家庭に生まれた彼女は十に満たない幼い頃、両親に奴隷商へ売られた。
痩せ細り、読み書きもできず役に立たない子供を買ったのは一人の魔法使いだった。
魔法使いであり薬師である彼は助手が欲しかったのだ。誰でもよかったのだろう。助手として使えるのならば、男でも女でも、子供でも大人でも。だから、たまたま目にとまったステラを選んだ。そこに特別な理由はなく、ステラに対してなんの感情も抱いてはいなかった。目についた一人を買っただけだ。
そしてステラは奴隷商から彼の手へと渡された。
ルドヴィーク、それがステラのご主人様の名前だった。
彼に買われてから十年が過ぎた。毎日しっかり食事を与えられ、暴力を振るわれることもなく、奴隷でありながらステラはすくすくと立派に成長した。
買われた当初は覚えることが多くて大変だった。薬品や薬草の名前を必死に頭に詰め込んだ。失敗を繰り返しながら料理を覚え、家事をこなす日々。
大変だけれど、辛くはなかった。
ルドヴィークの役に立ちたかったから。
彼は優しかった。なにもできない、なにも知らないステラに、一つ一つ丁寧に教えてくれた。言葉も文字も。料理も家事も。全て彼に習った。
失敗しても折檻されるようなことはなかった。買われた当初、ステラは怯えていた。失敗する度に、殴られるのではないかと。
けれど彼は決して暴力を振るわなかった。叱られることはあるが、それはステラが危険な無茶をしたときだ。理不尽に怒鳴りつけることなどない。
必要な物も知識も全て与えてくれた。
だからステラは彼の役に立ちたいと心から思うようになった。
彼の奴隷だからではない。彼が自分のご主人様だから役に立ちたいのではない。ルドヴィークというその人が、ステラにとって心から大切に思う存在だから。自分の全てを懸けて彼に尽くしたいと思うのだ。
料理と家事はステラの仕事だが、ルドヴィークの方が上手くできる。ステラにできることは当然彼にもできて、自分がいなくてもなんの問題もないことをステラはわかっている。
ステラの存在は、助手として多少は役に立っている。それでも、彼にとってなくてはならない存在ではないのだ。
彼のためにできることならなんでもする。
ステラは彼のために生きている。
ステラの命は彼のためにある。
奴隷のステラはご主人様を心から愛していた。
彼のことを思いながら作った朝食が完成した。
まるでタイミングを見計らったように、ルドヴィークが寝室から出てくる。
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう、ステラ」
漆黒の髪に、黒曜石のように美しい瞳。精悍な顔立ちは寝起きだろうとどんなときでも損なわれることはない。すらりと高い長身が、気だるげに椅子に凭れかかる。
ルドヴィークは魔法使いであり薬師として有名で、いろんな薬の調合を頼まれる。途切れることなく依頼が舞い込んでくるのだ。
ステラは一応助手だけれど、薬の調合で彼女に手伝えることは殆どない。
「大丈夫ですか、ご主人様?」
「ああ、問題ない。今作ってる薬も、今日中に完成するだろう」
疲れの見えるルドヴィークが心配だった。けれどステラにできるのは、栄養のあるご飯を作って彼に食べてもらうことくらいだ。
手を合わせて、二人は向かい合って食事をはじめる。
本来奴隷がご主人様と一緒に食事をするなどあり得ないが、彼はステラを奴隷扱いはしない。ご飯はいつも一緒に同じものを食べる。
ルドヴィークは必ず美味しいと言ってくれる。そして食べ終わったあとはありがとうと労ってくれた。
食事を終えると彼は仕事部屋に籠った。
ステラはいつものように掃除を開始する。部屋の隅々までピカピカにしていく。
そろそろ昼食の準備をはじめようかと考えたとき。
「うわっ……!?」
仕事部屋からルドヴィークの声が聞こえた。焦ったような、驚いたような声だ。
滅多に聞かない彼のそんな声を聞いて、ステラは仕事部屋に駆け込んだ。
「ご主人様……!?」
ノックも忘れてドアを開き、部屋の中を見て、頭が真っ白になった。
部屋の奥にある、薬品に使う材料だらけの大きな机。ルドヴィークはいつもその机の前にある椅子に座って作業している。
しかし今、その椅子に座っているのは明らかにルドヴィークとは体格の違う少年だ。
ステラは少年の背中に向かって、震える声をかける。
「だ、だ、誰……、ご主人様は……!?」
少年がこちらを振り返る。
ステラは大きく目を見開いた。
漆黒の髪に、黒曜石の瞳。
ダブダブの服を着た、幼い少年。
ルドヴィークの年齢は三十路を過ぎている。
ステラの知るルドヴィークの姿ではない。けれど、ステラにはその少年がルドヴィークなのだとすぐに気づいた。
「ご主人様……? どうして……」
「どうやら薬の調合に失敗したようだ」
少年の高い声はステラの知っているルドヴィークのものとは違う。でも口調は、トーンはステラの知っているルドヴィークと同じだ。
「寝惚けて体が若返る薬を作ってしまったみたいだな」
自分の体を見下ろしながら、ルドヴィークは冷静にそう言った。
慌てふためくステラを宥め、ルドヴィークは少年の姿のまま仕事を再開した。とにかく今は依頼されている仕事を終わらせることが先決で、体を元に戻すのは後回しだと。軽く昼食を済ませると、ルドヴィークは再び仕事部屋に籠ってしまった。
ステラは気が気ではなかったが、やはり彼女にできることはなく、仕方なくいつも通り家事をこなしていく。
夕食に仕事部屋から出てきたルドヴィークはやはり少年の姿で、しかしいつもと変わらぬ彼の態度にステラの戸惑いも薄れてきた。
仕種も口調もルドヴィークのままなのだ。姿が変わろうと彼がステラの大切なご主人様であることには変わらない。
美味しいと微笑むルドヴィークの笑顔は幼くて愛らしく、ステラの胸がきゅんと疼いた。もちろん元の姿のルドヴィークの笑顔も、見れば胸が高鳴る。同じように心臓はドキドキするが、ドキドキの種類は同じようで違うような、はじめての感覚だった。
ステラは幼いルドヴィークにときめいて胸がいっぱいで、なかなか食が進まなかった。
夕食を終えればルドヴィークはまた仕事部屋へ。
ステラは洗濯物を畳んだりベッドを整えたり、残りの家事を済ませた。
そうして夜は更け、ステラはルドヴィークにお茶を持っていく。
ルドヴィークは机に向かって真剣に薬の調合を行っていた。その表情も、幼いけれどステラの知るルドヴィークのものと同じだ。
どうぞ、とお茶を机に置けば、ルドヴィークは顔を上げた。
「ありがとう、ステラ」
「いいえ。あの、無理はしないでくださいね」
「ああ、大丈夫。もう少しで完成するよ。ステラは先に寝ていなさい」
「わかりました」
おやすみなさい、と挨拶を交わしてステラは部屋を出た。
自分の部屋に向かい、ベッドに横たわる。
ルドヴィークの寝室に置いてあるものよりも一回り小さなこのベッドで眠るのは久しぶりだ。
久々のベッドマットの感触になかなか慣れず、寝返りを繰り返す。
ルドヴィークはまだ起きて仕事をしているのかと思うと、眠れなかった。
自分にも手伝えることがあればいいのに、ともどかしい思いを抱える。
すんなりとは寝付けなかったが、それでも明日もご主人様の朝御飯を作るためには寝坊はできない。早く眠らなければと、卑屈な考えを追いやり目を閉じる。
やがてじわじわと眠気が訪れた。そのまま深い眠りに落ちかけたとき、ギシリとベッドの軋む音が耳に届いた。
うとうとしていたステラは、ルドヴィークの気配を感じて目を開ける。
美しい少年の顔がこちらを見下ろしていた。
「ご主人様……?」
もしかしてステラになにか手伝えることがあるのだろうか。だから呼びに来たのかもしれない。
ステラは体を起こそうとするが、ルドヴィークはそれを押し留める。
「ご主人様?」
「ステラ、どうしてこっちのベッドで寝ているんだ?」
「……え?」
「いつも私と同じベッドで寝てるのに、どうして今日はこっちに来た?」
「そ、それは……だって……」
「うん?」
ルドヴィークは小首を傾げる。美少年の、大好きなご主人様のその仕種は心臓が止まるほどの愛らしさだ。
成長したルドヴィークは大人の色気に溢れているが、少年のルドヴィークはあどけない愛らしさを惜しげもなく振り撒いてくる。
心臓が痛いくらいバクバクして、ステラは胸を押さえた。
ルドヴィークはクスクスと笑う。
「顔が真っ赤だね、ステラ。可愛い」
少年が発したとは思えないほど、蕩けるような甘い囁きがステラの鼓膜を震わせる。
ステラに覆い被さったルドヴィークは、動けずにいる彼女に口づけた。
ちゅ、ちゅ、と柔らかく啄まれれば、ステラは無意識に口を開いてしまう。
そう慣らされた彼女にうっとりと目を細め、ルドヴィークは待ち侘びるように開いた彼女の口内へ舌を差し込んだ。
「んっ……」
いつもよりも柔らかい唇の感触に、いつよりも小さい舌が口腔内を舐め回す感覚にステラは戸惑った。
けれどルドヴィークのキスを拒むことなどできない。
動き回る舌に口内の敏感な箇所を思う様擦られ、ステラは唾液を零して身悶えた。
「んぁっ……ふ、ふぅっ、んんっ」
引き出された舌をしゃぶられ吸い上げられ、ぶるりと背筋が震えた。ずくんと下半身が疼き、太股を摩り合わせる。
ねっとりと舌を絡ませながら、唇が離れていった。
頬が紅潮し瞳を潤ませるステラの顔を見て、ルドヴィークは艶然と微笑む。
その笑顔にくらくらさせられながらも、ステラは懸命に制止の声を上げた。
「だ、だ、だめです、ご主人様……こんなこと……」
「どうして?」
「だ、だ、だって、今、ご主人様は子供で……」
「だから?」
「え!? いや、だから……」
子供になった状態で、抱かれることはないとステラは判断した。だからルドヴィークのベッドではなく、自分の部屋で寝ようとしたのだ。抱かれないのなら、同じベッドで寝てはいけないと思って。
ルドヴィークは子供らしからぬ艶っぽい微笑を浮かべる。
「心配しなくても、この姿でもちゃんとステラを可愛がってあげられるよ」
そう言って、ルドヴィークは衣服を脱ぎ捨てた。
彼の下半身に視線を落とし、ステラは目を剥く。
幼く愛らしい顔立ちに相応しくない、立派な男根がそそり立っていた。もちろん大人のときと比べれば縮んではいるが、それでもステラの想像を遥かに越えて大きかった。顔も体も幼い子供のそれなのに、そこだけ大人なのではと思えるほど不釣り合いに大きく逞しい。
唖然とするステラを見て、ルドヴィークはにこりと天使のように微笑んだ。
「ね? だからステラは安心して、私に可愛がられて」
「へ? え、いや、その……」
「ステラは嫌なのかい? 子供の姿になった私には抱かれたくない?」
「っ……」
ステラはぶんぶんぶんと勢いよく首を横に振って否定する。嫌なわけがない。
「まあ、もし嫌がってもやめないけどね」
口角を吊り上げ、ルドヴィークはステラの寝間着を捲り上げた。
ビックリして身を捩れば、露になった乳房がふるりと揺れる。
ルドヴィークの小さな手が、柔らかい膨らみを揉んだ。
「ひゃっ……」
いつものかさついてひんやりとした、骨張った手とは違う。いつもは長い指と大きな掌が全体を包み込むのに、今触れている手はすべすべで小さくて汗ばんで温かい。小さな掌から乳房が溢れてしまっている。
触り方はいつもと同じだが、感触が違う。不思議な感覚だった。
小さな指が、乳首を捏ねる。
「あぁんっ」
「気持ちいい? 少し弄っただけで、もうぷっくり膨らんだね」
嬉しそうに囁くその姿は自分よりも幼い少年で、ステラはいつも以上に羞恥を感じた。
大人のルドヴィークに恥ずかしいことを言われるのも堪らない気持ちになるが、幼い少年が口にする卑猥な言葉は聞いているだけで悶絶ものだ。
更にその幼い少年の小さな口に乳首を含まれ、激しい背徳感に襲われる。ピンク色の小さな舌が、いやらしく乳首を舐め上げ、弾くように刺激する。
ものすごい後ろめたいような光景を見ていられず、ステラは両手で顔を覆った。
するとすかさずルドヴィークに咎められる。
「こら、ステラ。顔を隠しては駄目だといつも言っているだろう」
「だ、だ、だ、だってぇっ……こんな、こんなのっ……居たたまれなくてっ」
赤面して身悶えるステラに、ルドヴィークの優しい声がかかる。
「ステラ、ステラ、私を見てごらん」
「っ~~~~」
ご主人様の声には逆らえない。
ステラは両手を顔から外し、涙の滲む双眸をルドヴィークへ向けた。
そこには、優しく微笑む大好きなご主人様がいた。
大人ではない、幼い少年の姿。でも、なにも変わらない。
そこにいるのは、ステラの愛するルドヴィークだ。
「ルドヴィーク、様……」
「そう。私は私だよ。君の、ただ一人のご主人様だ」
ルドヴィークの蕩けるような甘い視線に、ステラの迷いも戸惑いもあっさりと霧散した。
そうだ。姿が変わろうと、彼が彼であることはなにも変わらないのだ。
とろりと潤んだ瞳でルドヴィークを見つめる。
「ルドヴィーク様……」
「私の可愛いステラ。いっぱい可愛がってあげるからね」
「はい……っ」
ふんだんに色気を孕んだルドヴィークの笑みに、ステラはぞくりと体を震わせた。秘所からとろとろと蜜が溢れる。
ステラは自ら着ていたものを全て脱ぎ、その身をご主人様へ差し出した。
「ひゃうんんっ」
柔らかく解れた膣穴を一気に貫かれ、ステラは甲高い悲鳴を上げた。
子供の姿でありながらきちんと体力は備わっているようで、ルドヴィークは自分よりも体の大きいステラの両脚をしっかりと抱え上げ、広げられた脚の間に自身をずっぽりと埋め込んでいる。細い腰を振り、ぐぽぐぽと陰茎を出し入れさせた。
「あんっ、あっ、あっ、あっ、はぁんっ」
「はあっ、ステラ、気持ちいい?」
「いいっ、気持ちいいですっ、あっ、あんっ、あんっ」
「はっ、はぁっ、でも、いつもより太さも長さも劣っているだろう。物足りないんじゃないか?」
「そんなっ、あっ、奥、とんとんされるのっ、気持ちいい、ですぅっ、子供のるどう゛ぃーくさまの、おちんぽで、中、ぐちゅぐちゅ、きもちぃ、あっ、あっ、ああぁっ」
持ち上げられた脚がぴんっと伸び、爪先をぎゅっと丸めながらステラは絶頂に達した。
余韻に震えながら、ステラは不安げにルドヴィークを見つめた。
「ルドヴィーク様は、気持ちいい、ですか……? 私の中、緩くないですか……? 私、ちゃんとルドヴィーク様のこと、気持ちよくできてますか……?」
不安を滲ませた問いかけに、ルドヴィークは柔らかく目を細めた。
「本当に、ステラは可愛いね……っ」
「ひあぁっ」
ずんっと最奥を突き上げられ、ステラは背を反らせて快感に涙を流す。
「っは、は、はぁっ、心配しなくても、ステラのここは、きつくて、とても気持ちいいよ。ほら、きゅうきゅう私のものを締め付けて、すぐにでも出してしまいそうだ」
膣壁が陰茎に絡み付き、扱き上げるように蠢いている。彼女からもたらされる快感に、ルドヴィークの息は乱れ、腰の動きはどんどん速くなっていった。
激しく膣内を掻き回され、ステラは快楽に溺れる。
「あっ、あっ、すき、すき、るどう゛ぃーくさまぁっ」
ルドヴィークに与えられる悦楽に頭を支配され、なにも考えられず、感じるままに声を上げる。
「好き、大好き、あぁっ、どんなルドヴィーク様も好きっ、あんっ、どんな姿になっても、愛してます、ルドヴィーク様、ルドヴィーク様だけ、あっ、ひゃんんっ」
「っく……本当に、心から愛しく思うよ、私のステラ」
情愛に濡れた双眸が、快感に乱れるステラをとらえる。
「この小さな体で、この体位では、キスができないのが、不満だね……」
大人の体であればすっぽりとステラの体を包み込めるが、今の子供の体では口づけすら満足にできない。
キスの代わりに、揺れる彼女の胸を愛撫する。コリコリと突起を甘噛みし、指で摘まんで捏ね回す。
「んあぁっ、そんな、らめっ、またいっちゃいます、私、また、あっ、あっ」
「いいよ、んっ、私も、そろそろ限界だ……。今度は一緒にいこうか」
「はいぃっ、いっしょ、ひぁっ、るどう゛ぃーくさまと、いっしょ、いくぅっ」
ぐちゅんっぐちゅんっと、何度も楔で奥を貫かれる。
「はあっ、はあっ、可愛い、ステラ、私のステラ……っ」
「るどう゛ぃーくしゃまぁっ、あっ、いくっ、いっちゃ、あっ、あっ、んああぁっ」
「っ……!」
ギリギリまで引き抜かれた男根が、膣壁を抉るように擦りながら奥まで突き入れられる。
強烈な快感にステラは潮を噴きながら達した。同時に、大量の精液が膣内に注がれる。
痙攣するステラの体を、ルドヴィークが優しく抱き締めてくれた。
やがてステラの呼吸が落ち着くと、ルドヴィークはゆっくりと体を離した。蕩けた肉穴から、ぬぽりと陰茎を抜く。
離れていくご主人様を名残惜しげに見上げれば、ルドヴィークはうっそりと微笑み両手を広げた。
「おいで、ステラ。今度は君が上になって。それならキスをしながら中も可愛がってあげられるだろう」
「ひゃいぃ、るどう゛ぃーくさまぁ……」
ステラは恍惚とした表情で体を起こし、ルドヴィークへと腕を伸ばした。
それからめいいっぱい大好きなご主人様に可愛がってもらい、ステラは幸せな気持ちに包まれた。
気絶するように眠りに落ちたステラの体を、魔法で洗浄する。
幸せそうな彼女の寝顔を見て、ルドヴィークは愛しげに微笑んだ。紅潮する彼女の頬を優しく撫でる。
ステラは奴隷で、ルドヴィークは彼女を買ったご主人様だ。
ステラはいつも、ルドヴィークの役に立とうと一生懸命だ。役に立たなければ、自分が存在する意味がないと彼女は思っている。
「役に立たなくても、もう手放す気はないのだけどね」
ルドヴィークの呟きは、ステラには届かない。
自分がどれだけ愛されているのか、彼女は気づいていない。
確かに最初は、ただ雑用を任せる存在が欲しかっただけだ。そのために奴隷を買った。
まさかその奴隷が、こんなにも愛しい存在になるとは予想していなかった。
「愛してるよ、ステラ」
奴隷として買われた彼女は、どんなに愛を囁いても、ルドヴィークの深い愛情に気づけない。役立たずになれば捨てられると思っている。
そんな彼女がもどかしくも愛おしい。
こんなルドヴィークの気持ちに、ステラが気づくのはいつだろうか。
彼女の隣に横たわり、ぴったりと身を寄せる。
ステラの体温を感じながら、ルドヴィークはそっと瞼を閉じた。
翌朝。ステラが目を覚ますとルドヴィークの姿が元に戻っていた。ということはなく、彼の姿は幼い少年のままだった。
天使のように愛らしくあどけない寝顔に、胸をきゅんきゅん締め付けられる。
いつまででも見つめていたいが、そろそろ起きて朝食の準備をしなくてはならない。
名残惜しく思いながらも、ステラはベッドから離れた。
身支度を済ませてから朝食を作りはじめる。
完成間近でルドヴィークも起きてきて、いつものように一緒に食べた。
「ご主人様、元の姿に戻る薬は作れそうですか?」
「どうだろう。偶然の産物だしね。もしかしたら、なにもしなくても時間が経てば戻る可能性もあるし」
よくよく考えれば、本来ならば子供の姿のルドヴィークを見られる機会などなかったのだ。ましてや、こんな風に話し、触れ合うことなど絶対にあり得なかった。
そう考えると、今のこの時間は非常に貴重なものだ。
この愛らしいご主人様のお姿を網膜に焼き付けなければ。ステラは強い使命感に突き動かされるように決意した。
「まあ、この姿でも特に問題はないしね。魔法も今までと変わらず使えるし。焦って戻る必要はないだろう」
ステラはこくこくと頷いた。
「薬の調合の依頼は絶えないし、元に戻る薬を作るとしても、すぐには取りかかれないかな」
もしかしたらルドヴィークが成長していく過程を見られるのかもしれない。ステラは心の中で歓喜した。
食事を終え、仕事部屋に向かいながらルドヴィークがステラを振り返る。
「これから新しい薬の調合に取りかかるから、薬品と薬草の準備を手伝って」
「はいっ」
ご主人様の役に立てるのがなによりも嬉しいステラは、笑顔で頷いた。
ルドヴィークの背中を追い、ステラも仕事部屋へと足を踏み入れた。
─────────────────
読んでくださってありがとうございます。
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