恋するうさぎ

よしゆき

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ひなの場合

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 あのときすぐに司郎の誤解を解かなかったことを、ひなは後悔した。
 自分が傷つきたくないから、そのせいで司郎を傷つけてしまった。
 あれから司郎とは顔を合わせていない。彼の姿を見てもいない。翌日から司郎は学校を休んでいる。今日で三日目だ。
 ひなは自分を責めた。自分の言動が、彼を深く傷つけたのだ。あれでは、司郎を怖がっていると思われても仕方がない。
 このままにしたくない。例え彼に軽蔑されることになっても、誤解は解きたかった。
 しかしひなは司郎の連絡先など知らない。学校に来てもらわなければ、誤解を解くことができない。けれどもしかしたら、司郎はもう学校に来てくれないかもしれない。ひなの、せいで。
 そこでひなは担任に司郎の住所を教えてもらうことにした。司郎が休んでいた間に配られたプリントを家まで届けに行くからと、職員室にいる担任に詰め寄った。ひなの勢いに押され、担任はすんなり住所を教えてくれた。
 そして放課後、ひなは司郎の家に向かった。彼の家はアパートの一室だった。
 とにかく誤解を解きたい。それしか考えてなかった。好きな相手の家に来ているのだという意識は、今のひなにはなかった。意識していたら躊躇していただろうが、他のことが考えられなくなっていたひなは迷わずチャイムを鳴らした。
 少しの間を開けて、ドアが開く。

「葛城さん!」
「お前……」

 ひなの姿に、司郎が僅かに目を見開く。
 彼はお風呂上がりのようで、湿った髪をタオルで拭いていた。上半身は裸で、下はスウェット一枚という軽装だ。
 幸いひなの目には司郎の顔しか見えていなかったので、その姿に取り乱すことはなかった。

「お願いします、葛城さん! 私の話を聞いてください!」
「は? 別に、話くらい聞くけど……。とりあえず、入るか?」

 戸惑いつつも、司郎はひなを追い返すことなく部屋の中に招き入れてくれた。

「っつーか、なんで俺の家……」
「葛城さん!!」
「ぅわっ」

 玄関で靴を脱いだところで、ひなは司郎に体当たりした。
 油断していたのか、司郎はひなごと後ろに倒れた。
 ひなに彼を押し倒そうというつもりはなかった。ただ話を聞いてほしかった。誤解が解けるまで、なにがなんでも話をしたかった。その気持ちが溢れてこのような行動に出てしまっただけだ。
 困惑する司郎の体にのし掛かり、ひなは必死に言葉を募る。

「葛城さん、この間のことは誤解なんです! すぐに違うって言えなくてごめんなさい! 私葛城さんのこと、怖いなんて思ってないです! 好きなんです、葛城さんのことが!」
「は?」
「私、兎の血が流れてるんです。だから、好きな人の傍にいると、すぐに発情しちゃうんです! 見てください、発情すると、耳が生えて……」

 ひなは頭に巻いていたリボンをほどいた。ぴょこん、と兎耳が飛び出す。
 それを見て、司郎は目を見張る。
 部屋中に充満する司郎の匂いに、意識しなくとも体は勝手に反応してしまうのだ。

「こっちももう、こんな状態で……」

 ひなは司郎に見えるよう、スカートを捲り上げた。
 発情したひなの秘所はすでに蜜を漏らし、見てわかるほど下着を濡らしていた。
 パンツを見せられ、さすがに司郎も動揺する。

「ちょ、待っ……」
「だから、あのときは葛城さんを怖がっていたわけじゃないんです! 葛城さんのことが好きで、発情してしまいそうで……葛城さんに嫌われるのが怖くて、本当のことが言えなかったんです! ごめんなさい!!」
「は、あ……」
「あれは誤解で……だからお願いします、学校に来てください!」

 涙ながらに懇願すれば、司郎は頷いた。

「まあ、熱も下がったし、明日からは行くつもりだ」
「…………熱?」
「ああ。熱が出て、休んでたんだ」
「…………」

 つまり、病欠だ。
 ここで漸く、ひなは今の状況を冷静に把握することができた。
 いきなり家に押し掛け、病み上がりの彼に体当たりし、押し倒し、乗っかり、見当違いなことを喚き散らし、はしたなく汚れたパンツを見せつけた。司郎が上半身裸であることにも、今気がついた。

「ひぃやあぁぁ!!」

 ひなは慌てて司郎の上から飛び退いた。羞恥で全身が真っ赤に染まっていた。
 自分の言動が彼を傷つけ、そのせいで学校に来ないのだと思い込んでいた。なんという自惚れだろう。恥ずかしすぎる。消えてしまいたい。こんなの、体質に関係なく嫌われて当然だ。
 額を床に擦り付ける勢いで土下座をした。

「もももももも申し訳ございません!! 勘違いしておりました! 家にまで押し掛けて、本当にすみません!!」
「いや、別に……」

 絶対に引いている。なんだコイツって目で見られているに違いない。土下座しているので司郎の顔は見られないが、確実にドン引きしているだろう。
 逆の立場だったら、ひなは警察に通報していたかもしれない。だって親しくもない相手が突然家にやって来て押し倒してパンツを見せてくるのだ。完全な変質者ではないか。
 考えれば考えるほど、ひなは自分の失態に死にたくなった。どうしてこう、勢いで行動してしまうのだろう。
 悔やんでも、もうなにもかも手遅れだ。泣いてしまいたい。

「もう二度と葛城さんには近づきませんので! 絶対に声をかけたりしませんし、目も合わせません! なので今日のことはどうか忘れてください!」
「は?」
「では、私はこれで失礼します! あ、その前にプリント……」

 ただの口実だが、せっかくここまで来たのだからプリントは渡しておかなくては。
 ひなは鞄の中からプリントを取り出そうとした。その手を、司郎が掴む。

「ちょっと待てお前、一方的に言うだけ言って」

 司郎は怒っているようだ。それはそうだろう。ひなはそれだけのことをしたのだ。

「すみません……。先生から、無理やり住所を聞き出してしまったんです。ででででも私、絶対にストーカーとかしませんから!! 葛城さんの家にはもう近づきません!」
「いや、そういうことじゃ……」
「し、信じられませんよね……。ああああの、私、誓約書書きます、二度と葛城さんに関わらないって。本当は私が転校するのがいいんですけど、さすがにそれは難しくて……」
「だから、そうじゃねぇって!」

 司郎が声を荒げる。
 ひなは項垂れた。

「……すみません」
「悪ぃ。怒ってるわけじゃねぇから」

 司郎はひなの頭を撫でた。
 それだけで、体がぞくりと疼く。ピクピクと兎耳が震えた。
 こんなときでさえ反応してしまう自分の体が恨めしい。

「あー、つまり、だな」
「はい……」

 司郎はガシガシと頭を掻く。

「俺もお前が好きだ」
「…………」

 言われた言葉の意味がわからなかった。
 好き……という単語が聞こえた気がするが、きっと聞き間違えだ。ならば、彼はなんと言ったのだろう。必死に考えるが、当てはまる単語が思いつかない。

「なんか言えよっ」
「す、すみません。ちょっと聞き取れなくて……」
「だから、俺もお前が好きだって言ったんだ」

 司郎はまっすぐにこちらを見つめ、はっきりと言った。
 すき? 隙? 鋤?
 どうしよう。司郎の言いたいことがわからない。

「えーと……その……」
「……っくそ、だから、好きだっつってんだろ」

 ぐいっと腕を引かれ、体が密着する。
 ひなが離れようとするより先に、唇が重なった。
 理由を考える余裕もなく、ひなは懸命に司郎を引き剥がそうとした。こんなことをされたら、完全に発情してしまう。

「あ、だめ、だめです……っ」
「じっとしてろ。ここまでしなきゃわかんねーんだろ」
「んんっ」

 逃げようとする唇を、再び塞がれる。
 司郎にキスされている。その事実だけで、ひなの体は欲情した。このままでは本能に突き動かされ、はしたなく彼に縋りついてしまう。
 ひなは必死に理性を繋ぎ止めているというのに、司郎はまるで煽るかのように更に口づけを深くした。
 唇が割られ、舌が差し込まれる。

「ふぁっ……んん……」

 余すところなく口内を舐め回され、溢れた唾液が顎を伝う。引き出された舌を司郎の口に招き入れられ、水音を立てながら吸われ、舌で舌を擦られる。
 快楽に弱いひなは、すぐにぐずぐずに蕩けてしまう。
 足に力が入らなくなってしまったひなの体は、司郎の両腕がしっかりと支えてくれていた。
 唇が離される頃には、辛うじて理性が残っているような状態だった。

「これでわかったか?」
「はぁっ、は……え……?」
「お前のことが、好きだっつったんだよ、ひな」
「っんぁ……」

 はじめて司郎に名前を呼ばれ、快感に背筋が震えた。
 すき……好き? そんな、まさか。でも、キスされた。いっぱい舐められて、吸われて、ぞくぞくして。だめだ。理性の蕩けた頭ではなにも考えられない。

「だめ、です……。はつじょ、しちゃ……」
「もうしてんだろ。えろい顔しやがって」
「ひぅ、ご、ごめんなひゃ……」

 司郎の言葉に、びくびくっと体が反応してしまう。
 彼の顔も赤く染まり、息も上がっている。情欲の滲む双眸に見つめられ、もう自分の欲望を抑えられなくなった。

「好き、葛城さん、好きです、大好き」
「俺も、好きだ」

 またキスされる。ひなは自分から口を開き、ねだるように舌を差し出した。ひなが望んだ通りに吸われ、甘噛みされ、舐め回される。
 気持ちよくて、でもそれだけじゃ物足りなくなる。もどかしくて、無意識に体を擦り付けた。
 縋るように司郎の腕に触れる。彼の肌は熱くて、こんなちんちくりんな自分に欲情してくれているのかと思うと嬉しかった。
 
「ん、はあっ、葛城さ……っ」
「ひな……」
「んあぁっ……」

 名前を呼ばれるだけで、感じてしまう。くずおれそうになったひなの体を、司郎が抱き上げた。
 そのまま寝室に運ばれ、ベッドに下ろされた。
 司郎の匂いが一層濃くなった。官能を刺激され、クラクラする。
 体の疼きが治まらない。早く触れてほしくて、媚びるように司郎を見上げた。

「葛城さん……好き……」
「ん……」

 角度を変えながら、何度もキスを繰り返す。
 口づけたまま制服のボタンを外され、前をはだけられた。
 どうしよう。貧相な体を見られてしまう。ささやかすぎる胸の膨らみを見たら、ガッカリさせてしまうのではないか。
 不安が過るが、それは一瞬のことだった。早く触れてほしくて、それだけで頭がいっぱいになる。
 ブラジャーがたくし上げられ、小さな胸が露になる。羞恥は感じても、発情した体を満たしてほしいという欲の方が強く、ひなは隠さずに自分の体を曝け出した。
 司郎の視線を感じることで更に体は火照り、熱が上がっていく。
 大きな両の掌が、乳房全体を包み込んだ。すっぽりと収まった胸を、優しく揉まれる。

「痛くないか?」
「は、ぃ……気持ちいい……あっ」

 尖った乳首が掌に擦れ、痺れるような快感に甘い声が上がる。もっと強い刺激がほしくて、背を反らせて自分から擦り付けてしまう。

「ここ、弄ってほしいのか?」
「ひゃうッ」

 乳首を指先で引っ掻かれ、ビクッと体が跳ねた。

「あんっ、あ、そこ、きもち、んやぁっ」

 ひなの反応を楽しむように、司郎の指先がそこを弄ぶ。
 ぷっくりと膨らんだ乳首を、指だけでなく唇や舌を使って散々に嬲られた。
 胸から離れた司郎の手が、下半身へと伸ばされる。
 ひなの体がびくりと跳ねた。スカートの中は今やすごい状態になっている。一度も触れられぬままに、既に何度も達してしまっていた。塞き止めることのできない蜜が溢れつづけ、粗相をしたかのように太股までぐっしょりと濡れそぼっている。
 止める間もなくスカートが脱がされ、愛液にまみれた下肢が露になる。無意味とわかっていても、司郎の視線から隠すように太股を擦り合わせた。くちゅりと恥ずかしい水音が耳に届く。
 軽蔑されてしまうかもしれないという恐怖が、理性を呼び戻した。

「す、すみません……っ」
「なに謝ってんだ?」

 不思議そうに問われ、ひなは真っ赤になる。

「わ、私、いっぱい感じちゃって……も、もう、こんなに濡れて……さっきからずっと、溢れて、止まらな……っ」

 ひく、と喉を震わせながらひなは自分のはしたなさを謝った。
 眦に浮かぶ涙を、司郎が優しく吸い取る。

「さっきは自分からパンツ見せてきたくせに」
「ああああああれはもう、忘れてくださいいぃぃ!!」

 羞恥に身悶えるひなに、司郎は喉の奥で笑う。馬鹿にするような嘲笑ではなく、愛おしげな笑みを浮かべて。

「あれを忘れるのは難しいな」
「うううぅぅ」
「いいだろ、別に。俺はああいうお前が、可愛いって思ってるんだから」
「!!」

 好きな人に可愛いと言われ、ひなは素直に喜んでしまう。
 司郎の手がぬるぬるの内腿を撫で、下着の上から秘所をまさぐった。

「あぁんっ」
「そうやって感じまくってるお前が可愛いと思うし、見てるだけで、俺もすげー興奮する」
「っ……〰️〰️!!」

 欲望に濡れる双眸に見つめられ、ひなは声も上げずにまたイってしまう。
 司郎の腕を強く掴み、しがみつく。

「か、かつらぎさぁん……私、また、いっちゃ……」
「何回でもイっていいし、好きなだけ感じてろ」

 ショーツを脱がされ、司郎の手がそこに直接触れた。べっとりと濡れた秘唇を指が辿る。
 蜜を纏った指に陰核を撫でられ、走り抜けた快感にひなはあられもなく身をくねらせた。卑猥な音を立てながら、執拗にそこを弄り回される。ひなは涙を流して何度も絶頂を迎えた。
 やがて指は膣孔に向かい、ゆっくりと中に沈められた。抵抗もなく、寧ろ迎え入れるように彼の指にしゃぶりつく。
 具合を確かめるように指が動き、徐々に本数を増やしながら慎重に膣内を解していった。時間をかけて開かれたそこはすっかり蕩け、物足りないとばかりに指に絡みつく。
 気持ちいいのに、満たされない。絶えず快楽の波に飲まれながらも、疼きが治まらない。
 切なくて、ひなは助けを求めて司郎に縋った。

「葛城さ……もう、指、やです……お願い、もっと奥にほしいです……」
「……痛かったり、嫌だと思ったら言えよ」

 司郎の言葉にこくこくと頷く。
 正直、どれだけ痛くても入れてほしかった。このもどかしさがつづく方がずっと辛い。
 指が引き抜かれ、代わりに熱を持った肉塊が宛がわれる。視線を向けると、彼の張り詰めた陰茎が目に入った。
 今まで想像すらしたことはなかったが、はじめて目にするそれは、赤黒く血管が浮き上がりグロテスクな見た目だった。
 それなのにひなは怯えることもなく、早くその肉棒を受け入れたくて堪らない気持ちになった。
 もし他の誰かだったならば嫌悪しか感じなかっただろうが、相手は司郎だ。心も体も、彼を求めていた。
 気が急いて、腰が動いてしまう。自分から入れようとするひなに、司郎が意地悪く唇を歪めた。

「んとに、エロいなお前」
「ごめ、なひゃ……」
「それでいいって、言ってんだろ……っ」
「ひうッ」

 ずるっと先端が埋め込まれた。思った以上の質量に、ひなは目を見開いてそれを受け入れる。
 熱くて固くて太くて大きいそれは、体がずっと求めていたものだった。膣襞が、きゅうきゅうと陰茎に絡みつく。
 司郎が息を詰めた。

「っ……は、締めすぎ、だ……」
「あ、は……ん……ごめん、なさ……」

 力を抜こうと、乱れた呼吸を整える。我慢のきかない体をどうにか落ち着かせ、慎重に挿入される陰茎を飲み込んでいく。
 貫かれる痛みは確かに感じたが、それが妨げになることはなかった。その痛みこそ、彼を受け入れているのだというなによりの証拠でもあるから。痛みさえ、体は悦んで享受した。
 やがて司郎の動きが止まる。

「大丈夫か?」
「はい……」

 司郎の手が、ひなの額に浮かぶ汗を拭ってくれる。その彼の顔にも、汗が滲んでいた。ひなは手を伸ばし、同じように彼の額に触れた。
 司郎が優しく微笑む。蕩けるような笑顔に、胸が締め付けられた。

「好きです、葛城さん……」
「ああ、俺も、好きだ……」

 ゆっくりと律動がはじまる。濡れた音を響かせながら、陰茎が膣壁を擦り上げる。
 じわじわと痛みよりも快感が強くなり、愛液を滴らせた蜜壺はいやらしく彼の欲望を貪った。
 司郎は眉を寄せ、荒い息を吐く。瞳は獰猛な獣のようで、けれどその表情はとても扇情的だ。
 彼の纏う色気にあてられて、ひなはぞくぞくっと震えた。
 自分の体で彼が興奮してくれているということが、堪らなく嬉しい。
 咥え込んだ肉棒を、悦びのままに強く締め付ける。

「は、……すげ、いい……っ」
「あっ、うれひ……んあぁ、わ、私も、気持ちいいっ……ふあ、あんっ」

 たくさん奥を突かれ、その刺激に意識が飛びそうになる。気持ちよくて、嬉しくて、頭がぐちゃぐちゃで、幸せだった。嬌声の合間に「好き」と何度も口にして、その度に顔中にキスを落とされた。
 どんどん動きが速くなって、それでもただただ気持ちよくて、膣内が悦ぶように蠕動する。
 司郎の腕がひなを強く抱き締める。呻き声と同時に、お腹の奥に熱いものが注がれた。
 求めていた熱に満たされ、司郎にしがみつきながらひなも快楽に体を震わせた。
 互いの息遣いだけが室内に聞こえていた。
 やがて司郎が僅に体を離し、ひなの顔を覗き込む。

「大丈夫か?」
「……はい……」
 
 息を整えながら頷く。
 労るように、司郎の手がひなの頭を撫でた。その手が兎耳に触れ、耳がピクピクっと反応する。
 司郎の視線が兎耳に注がれる。じっと見つめ、それからおもむろに兎耳を撫でた。

「ひぁっ」

 突然の刺激に思わず悲鳴が上がる。同時に、まだ埋め込まれたままの陰茎を締め付けてしまった。
 司郎は一瞬息を詰めたが、兎耳から手を離さない。そのまま全体を撫で上げる。くにくにと優しく揉まれ、内側を指先でなぞられ、ひなは甘い声を漏らしながら悶えた。

「あぁんっ、だめ、だめです、あっ、弄っちゃ、やぁっ」
「気持ちいいのか?」
「いいっ……ひんっ、舐めちゃや、だめ、ふあぁっ」

 指だけでなく舌でも悪戯され、ひなは陶酔した表情でよがった。
 白い兎耳の毛がしっとりと濡れるまで舐めしゃぶられる。その頃にはすっかり力を取り戻し勃起した男根が、蜜の溢れる肉孔を圧迫していた。
 再び動き出した司郎を拒むことはなく、ひなは繰り返される悦楽にひたすら溺れるだけだった。





 それから、シャワーを借りてさっぱりしたひなは、部屋の隅で正座しながら出されたお茶を飲んでいた。
 彼女の頭にはまだ兎耳が生えたままだ。司郎の部屋で彼が視界に入る場所にいるこの状況では、兎耳が引っ込むことはない。家に帰って気持ちが落ち着けばその内引っ込むだろう。
 司郎は部屋の中央に座っているが、ひなが隅にいるのは距離を置かなければ際限なく求めてしまうからだ。
 人心地がつき、ひなは司郎に声をかける。

「あの、葛城さん」
「ん?」
「あああの、その、つまり……」
「なんだ?」
「わわわ私達、きょ、今日から、ここ恋人同士になったということでよろしいのでしょうか……?」
「嫌なのか?」
「そんなわけないです!!」
「じゃあ、そうなるだろ」

 どうしてそんなことを確認してくるんだ、という顔で司郎がひなを見る。
 ひなはもじもじと司郎を見返した。

「あああのですね、明日から、葛城さんにお弁当を作ってもいいですか……?」
「ああ」

 あっさりと司郎は頷いた。
 ひなは身を乗り出す。

「ほんとですか!? 毎日毎日手作り弁当なんて重くないですか!? 迷惑じゃありませんか!?」
「なんでそんな心配してんだ。普通、彼女の手作り弁当って嬉しいもんだろ」
「そそそそうですか……?」
「俺も嬉しい」
「!!」

 笑顔ではっきりと「嬉しい」と言われ、ひなは飛び上がりそうなほど歓喜する。
 口に出さずともその表情からひなの喜びが伝わり、つられるように司郎は笑みを深めた。
 これからも彼の傍にいられるのだと思うと、ひなは幸せな気持ちで満たされた。
 


 
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