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第5話 放送室の声
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きずな小学校の七不思議——その四。
放課後、使われていない放送室から声が放送される。
けれど、その時間、放送設備には電源が入っていないという——。
「なんか……また“声系”だな」
玲央くんが、図書室のコピー資料をのぞきこんで言った。
「でもこれは記録が多いわ。三年連続で、“放送室から変な音がした”って日誌がある」
柚月ちゃんが、紙を指でトントンとたたく。
「しかも、ぜんぶ六月十三日。時間は、午後五時十三分」
あたしたちは顔を見合わせる。
「……明日、六月十三日だよね」
背中がゾクリとした。
やっぱり、七ふしぎに導かれてるみたい。
❊❊❊❊❊
翌日。
放課後の校舎。時計は、午後五時〇〇分を指していた。
下校時間は過ぎてるから、先生に見つからないように、コソコソとあたしたちは周りを見渡しながら、今は使われていない放送室に向かった。
放送室は、三階の一番奥。
カギがかかっていて、入られないようになってるはずなのに、施錠が外れていた。まるで「来ていいよ」と言われているみたいだった。
「ドア、開いてる……」
中は、古びたスピーカー、マイク、カセットデッキ。机の上には誰かが書いたメモ用紙が散らばっている。
「これ……最近の字じゃないよ。紙も黄ばんでる」
メモにはこう書かれていた。
『どこにいるの? こたえて』
『声を聞かせて』
誰が書いたんだろう?
あたしたちみたいに、七ふしぎを探して放送室に来た子たちかな?
そして、時計の針が、午後五時十三分を指したときだった。
——ジリ……ジリジリ……
突然、マイクのスピーカーから音が鳴り始めた。
もちろん電源は、入っていない。
機械のランプもついていない。
なのに、
『………きこえる……?……』
かすれた、けれど確かに子どもの声。
男の子のようにも、女の子のようにも聞こえた。
『……がんばって……』
小さな声だけど、なにかを願うような悲しそうな声だった。
「あ……あれ、何かしら」
柚月さんが、何かに気がついたみたいに指差す。
機材と機材の間に何か挟まってる。
「何だろ? よいっしょっと」
玲央くんが隙間に腕を突っ込んで、挟まってる何かを取り出した。
それは小さなノートだった。
【六月十三日 ◯◯ちゃんが転校して行っちゃった。頑張ってって言ってあげたかったのに言えなかった。ごめんね】
ところどころ読めないところもあって、名前はなんて書いてるのか分からなかったけど、これを書いた子は、転校していった子に伝えたかったことがあったんだってことはわかった。
もしかしたら、この七ふしぎの声は、その子の後悔が声になって残ってるのかな?
玲央くんがマイクに近づき、小さく答えた。
「ちゃんと聞こえてる……きっと届いてるよ」
その瞬間、マイクのスピーカーがまた、ジリ…ジリリと小さく音を立てた。
そして、
『そうだと、いいな』
さっきと同じ声。
だけど、さっきより少しやわらかく優しい声だった。
スピーカーの音が消えて、空気がふっと軽くなった。
三人同時に「はぁ~~っ」ってため息をついた。
「この七ふしぎの子は優しい子だったんだね」
「そうね。私、すこし涙がでちゃったわ」
柚月ちゃんの目元は少し赤くなってた。
転校生のあたしには、すごく身近に感じた。
もし、前の学校の子がこんな風にあたしのことを考えてくれていたらって思ったら、心の中がポカポカした気持ちになった。
あたしも、この学校で頑張ろう。って。
放課後、使われていない放送室から声が放送される。
けれど、その時間、放送設備には電源が入っていないという——。
「なんか……また“声系”だな」
玲央くんが、図書室のコピー資料をのぞきこんで言った。
「でもこれは記録が多いわ。三年連続で、“放送室から変な音がした”って日誌がある」
柚月ちゃんが、紙を指でトントンとたたく。
「しかも、ぜんぶ六月十三日。時間は、午後五時十三分」
あたしたちは顔を見合わせる。
「……明日、六月十三日だよね」
背中がゾクリとした。
やっぱり、七ふしぎに導かれてるみたい。
❊❊❊❊❊
翌日。
放課後の校舎。時計は、午後五時〇〇分を指していた。
下校時間は過ぎてるから、先生に見つからないように、コソコソとあたしたちは周りを見渡しながら、今は使われていない放送室に向かった。
放送室は、三階の一番奥。
カギがかかっていて、入られないようになってるはずなのに、施錠が外れていた。まるで「来ていいよ」と言われているみたいだった。
「ドア、開いてる……」
中は、古びたスピーカー、マイク、カセットデッキ。机の上には誰かが書いたメモ用紙が散らばっている。
「これ……最近の字じゃないよ。紙も黄ばんでる」
メモにはこう書かれていた。
『どこにいるの? こたえて』
『声を聞かせて』
誰が書いたんだろう?
あたしたちみたいに、七ふしぎを探して放送室に来た子たちかな?
そして、時計の針が、午後五時十三分を指したときだった。
——ジリ……ジリジリ……
突然、マイクのスピーカーから音が鳴り始めた。
もちろん電源は、入っていない。
機械のランプもついていない。
なのに、
『………きこえる……?……』
かすれた、けれど確かに子どもの声。
男の子のようにも、女の子のようにも聞こえた。
『……がんばって……』
小さな声だけど、なにかを願うような悲しそうな声だった。
「あ……あれ、何かしら」
柚月さんが、何かに気がついたみたいに指差す。
機材と機材の間に何か挟まってる。
「何だろ? よいっしょっと」
玲央くんが隙間に腕を突っ込んで、挟まってる何かを取り出した。
それは小さなノートだった。
【六月十三日 ◯◯ちゃんが転校して行っちゃった。頑張ってって言ってあげたかったのに言えなかった。ごめんね】
ところどころ読めないところもあって、名前はなんて書いてるのか分からなかったけど、これを書いた子は、転校していった子に伝えたかったことがあったんだってことはわかった。
もしかしたら、この七ふしぎの声は、その子の後悔が声になって残ってるのかな?
玲央くんがマイクに近づき、小さく答えた。
「ちゃんと聞こえてる……きっと届いてるよ」
その瞬間、マイクのスピーカーがまた、ジリ…ジリリと小さく音を立てた。
そして、
『そうだと、いいな』
さっきと同じ声。
だけど、さっきより少しやわらかく優しい声だった。
スピーカーの音が消えて、空気がふっと軽くなった。
三人同時に「はぁ~~っ」ってため息をついた。
「この七ふしぎの子は優しい子だったんだね」
「そうね。私、すこし涙がでちゃったわ」
柚月ちゃんの目元は少し赤くなってた。
転校生のあたしには、すごく身近に感じた。
もし、前の学校の子がこんな風にあたしのことを考えてくれていたらって思ったら、心の中がポカポカした気持ちになった。
あたしも、この学校で頑張ろう。って。
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