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第6話 裏庭の見えない花
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きずな小学校の七ふしぎ——その五。
裏庭には見えない花が咲いている。
裏庭の七ふしぎを調べるために、お昼休みに玲央くんと柚月ちゃんと一緒に裏庭に来た。
「見えないのに、どうして花が咲いてるってわかるんだろう?」
「ここには花の香りがするって書いているわ」
柚月ちゃんが、昔の学校新聞の切り抜きを見せてくれた。
『花の香りはするのに、どこを探しても花はなかった』
そう書いてある。
「どんな花の香りなんだろう?」
風がふいてきて、甘い香りがあたしの鼻をくすぐった。花屋さんの前を通ったときみたいな香り。
「あ、花の匂い?」
あたしは、立ち止まって周りを見渡してみる。
「本当だ、花の匂いだよね?」
玲央くんも柚月ちゃんも、花の匂いを気がついて、一緒にを探す。
「ないわね……花なんて」
柚月ちゃんが言う通り、花らしきものは、見渡してもどこにもない。
花壇らしきものはあるけれど、そこには土だけで、なにも植わってない。あとはアスファルトと砂利があるだけで、草もほとんど生えてないんだよね。
それなのに、また風に乗ってふわりと甘い香りが漂ってきた。
「これが七ふしぎの一つ……『見えない花』ってやつか」
玲央くんが小さくつぶやく。
「新聞の続きには『朝日が登る直前、大切な人と一緒なら見ることができるらしい』って書いてるわ」
柚月ちゃんが、新聞の続きを読んでくれた。
「じゃ、明日の朝に見にこよう!」
相変わらず玲央くんは思い立ったら即行動だ。
「夜が明ける前に?」
「そうそう、日の出って何時くらいかな?」
玲央くんの質問に、柚月ちゃんがスマホで日の出時間を調べてくれる。
「明日の日の出は……五時〇五分だから、四時四十五分くらいに集まれば良いんじゃない?」
柚月ちゃん、はじめは七ふしぎ探偵団の活動は渋々って感じだったけど、今はそんな様子はなくなってる。
ということで、明日の早朝に裏庭の見えない花を確かめるために集まることになった。
❊❊❊❊❊
翌朝、夜が明ける前にあたしたちは校門で待ち合わせた。
「おはよう……」
「ん~、おはよう……」
「おはよう。二人とも眠たそうね」
いつもと変わらない柚月ちゃん。
眠たそうに目をシパシパさせてる玲央くん。
あたしも、少し眠たかった。
実は、あんまり眠れなかったんだ。
この七ふしぎは『大切な人と一緒なら』見えるって言ってたのが気になって眠れなかったの。
あたしは転校してきたばっかりだし、二人にとって『大切な人』って言えるのかなって。あたしがいることで見えなかったらどうしようって思っちゃう。
今も不安に思ってる。
裏庭に向かう足が重く感じちゃう。
でもそんな不安をよそに、あたしたちは裏庭に着いた。
「あるかしら?」
「今までの七ふしぎもあったし、あるよ!」
「う、うん……」
三人で裏庭をキョロキョロと見渡す。
そのとき。
裏庭の奥、草むらの影で、小さな光が揺れた。
「あっ……!」
三人同時に声をあげる。
そこには、淡い光をまとった白い花が、一輪だけひっそりと咲いていた。
「見えた……」
涙で白い花がにじんでみえる。
「この花って、『大切な人と一緒なら見える』って噂だったよね……良かった。一緒に見れて。見えなかったらって、ずっと不安で……」
「何言ってんだよ」
玲央くんが照れくさそうに笑いかけてくれた。
「もう友だちじゃん、俺たち」
「そうよ」
柚月ちゃんもまっすぐにうなずいてくれる。
淡く光る白い花は、朝日とともにほろほろ、甘い香りだけを裏庭に残して消えた。
あたしの不安も二人の言葉に包まれて、白い花のように消えていった。
裏庭には見えない花が咲いている。
裏庭の七ふしぎを調べるために、お昼休みに玲央くんと柚月ちゃんと一緒に裏庭に来た。
「見えないのに、どうして花が咲いてるってわかるんだろう?」
「ここには花の香りがするって書いているわ」
柚月ちゃんが、昔の学校新聞の切り抜きを見せてくれた。
『花の香りはするのに、どこを探しても花はなかった』
そう書いてある。
「どんな花の香りなんだろう?」
風がふいてきて、甘い香りがあたしの鼻をくすぐった。花屋さんの前を通ったときみたいな香り。
「あ、花の匂い?」
あたしは、立ち止まって周りを見渡してみる。
「本当だ、花の匂いだよね?」
玲央くんも柚月ちゃんも、花の匂いを気がついて、一緒にを探す。
「ないわね……花なんて」
柚月ちゃんが言う通り、花らしきものは、見渡してもどこにもない。
花壇らしきものはあるけれど、そこには土だけで、なにも植わってない。あとはアスファルトと砂利があるだけで、草もほとんど生えてないんだよね。
それなのに、また風に乗ってふわりと甘い香りが漂ってきた。
「これが七ふしぎの一つ……『見えない花』ってやつか」
玲央くんが小さくつぶやく。
「新聞の続きには『朝日が登る直前、大切な人と一緒なら見ることができるらしい』って書いてるわ」
柚月ちゃんが、新聞の続きを読んでくれた。
「じゃ、明日の朝に見にこよう!」
相変わらず玲央くんは思い立ったら即行動だ。
「夜が明ける前に?」
「そうそう、日の出って何時くらいかな?」
玲央くんの質問に、柚月ちゃんがスマホで日の出時間を調べてくれる。
「明日の日の出は……五時〇五分だから、四時四十五分くらいに集まれば良いんじゃない?」
柚月ちゃん、はじめは七ふしぎ探偵団の活動は渋々って感じだったけど、今はそんな様子はなくなってる。
ということで、明日の早朝に裏庭の見えない花を確かめるために集まることになった。
❊❊❊❊❊
翌朝、夜が明ける前にあたしたちは校門で待ち合わせた。
「おはよう……」
「ん~、おはよう……」
「おはよう。二人とも眠たそうね」
いつもと変わらない柚月ちゃん。
眠たそうに目をシパシパさせてる玲央くん。
あたしも、少し眠たかった。
実は、あんまり眠れなかったんだ。
この七ふしぎは『大切な人と一緒なら』見えるって言ってたのが気になって眠れなかったの。
あたしは転校してきたばっかりだし、二人にとって『大切な人』って言えるのかなって。あたしがいることで見えなかったらどうしようって思っちゃう。
今も不安に思ってる。
裏庭に向かう足が重く感じちゃう。
でもそんな不安をよそに、あたしたちは裏庭に着いた。
「あるかしら?」
「今までの七ふしぎもあったし、あるよ!」
「う、うん……」
三人で裏庭をキョロキョロと見渡す。
そのとき。
裏庭の奥、草むらの影で、小さな光が揺れた。
「あっ……!」
三人同時に声をあげる。
そこには、淡い光をまとった白い花が、一輪だけひっそりと咲いていた。
「見えた……」
涙で白い花がにじんでみえる。
「この花って、『大切な人と一緒なら見える』って噂だったよね……良かった。一緒に見れて。見えなかったらって、ずっと不安で……」
「何言ってんだよ」
玲央くんが照れくさそうに笑いかけてくれた。
「もう友だちじゃん、俺たち」
「そうよ」
柚月ちゃんもまっすぐにうなずいてくれる。
淡く光る白い花は、朝日とともにほろほろ、甘い香りだけを裏庭に残して消えた。
あたしの不安も二人の言葉に包まれて、白い花のように消えていった。
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