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34.やりなおし 後 ※
しおりを挟む「オリヴィア、痛くはない?」
「んっ、へいき」
初めて貫かれたときも、ハンフリーは気遣ってくれた。瞳の色が濃くても、優しいのは変わらない。
ハンフリーがゆっくりと、律動を始める。溜息のような長く吐く息も聞こえ、好きなように動いていいのにと思うものの、言葉にすることは叶わない。彼から与えられる快感が、怖いくらいに大きすぎる。
(ほんとに、おかしくなりそう……、見ないで、ほしい)
「あっ、あっ……」
「オリヴィア、隠さないで。全部見せて、聞かせて」
これが、本来得られる快感なのだろう。ハンフリーにどんな姿を晒しているのかと想像すると、恥ずかしくてたまらない。顔を隠したいのに、ハンフリーの大きな手がオリヴィアの両手の自由を奪い、シーツに縫い留めてしまう。
「あ、あんっ、やあっ」
「どうして? 急に嫌になった? こんなに感じて可愛いのに」
言葉で伝えたくても、ずちゅっと続く律動は止まらない。息を吸うために開けた口も、唇で塞がれる。
オリヴィアにできることは何もない。相手はハンフリーで、ぼやけた視界に映る瞳には、優しさが浮かんでいる。
「ああっ、んやっ」
「オリヴィア、本気で嫌? 感じすぎておかしくなるのが怖いなら、僕が全部受け止めてあげるよ」
目尻から流れた涙も、ハンフリーに舐め取られる。目が合って、抽送が止まったのは一瞬だった。
(すごく、深い蒼……、きれい)
「もっと、気持ちよくなって」
「んあああっ!」
「うん、いい声」
いつの間にかハンフリーの手はオリヴィアの腰を掴んでいて、快感が何度もオリヴィアを貫いていく。縋るように、オリヴィアが膝でハンフリーの脇腹を撫で手を伸ばすと、ぎゅっと引き寄せてくれる。
オリヴィアが達しても、ハンフリーは律動を止めない。最奥が、抉られ続ける。
「あ、ああ、今だめ、だめっ!」
「いってるの、分かってるからね」
「あっ、ああっ!」
「いいね、乱れてるのも可愛い。好きだよ、オリヴィア」
「ん、すきっ、すきいっ!」
「っ……」
ハンフリーの動きが、止まった。腰は密着したままで、互いに息は荒い。
「オリヴィア、不意はよくないよ……」
「うん……?」
「もう一回、付き合って。いや、ごめん、一回じゃ済まないかも」
ハンフリーが剛直を抜くと、生暖かいものがどろっと流れる感覚がある。瞳を確認したくても、キスが降ってくる間は目を閉じてしまう。
「オリヴィア、後ろを向いて。お尻を上げて……、うん、そう、いい眺めだ」
「んっ」
抵抗する間もなく、マットレスに手をついていた。顔を見られなくて済む代わりに、オリヴィアもハンフリーの顔を見ることはできなくなった。
きっと、頭を上げてはいられない。臀部を撫でられ背中に舌が這うだけで、身体が震えてしまう。
割れ目に、再び硬くなった剛直が擦られ、溜息とともに蜜壷へと入ってくる。
「はあ……、入ったよ。体勢、辛くない?」
「んっ」
始めはゆっくりと、だんだんと強さが増す。向かい合っていたときと刺激される場所が変わって、どんどん感覚がおかしくなって深みに嵌まる。
オリヴィアにできることは、枕に額を押し付け握りしめ、ハンフリーから与えられる快感に身を任せるだけだ。
「オリヴィア…」
「あっ、ああ……、んっ、ああっ」
「またいっちゃう? いいよ、何度でも」
「あっ、ああっ!」
「オリヴィアが気持ちいい証拠だからね。感じてくれるの、嬉しい」
「あっ、んんっ……」
律動は緩いものに変わったが、ハンフリーの上半身が背中に密着し、腹部に回された手が胸の膨らみを揉んでくる。当然、その先にある頂きも、摘まれる。
「んあ、あっ」
「気持ちいい? オリヴィア」
「ん、きもちい……」
「うん」
すっと、背中からハンフリーが離れた。剛直は抜かれておらず、手が腰に添えられ、強い律動が始まった。
◇
獣のように突かれたあと、一度ベッドの縁に座るように言われ、従った。起き上がれないと思ったが、ハンフリーがオリヴィアを後ろから抱え、背もたれになってくれた。グラスに入った水を手渡され、素直に口をつける。
「身体は、どう? 熱が出そうな感じは?」
「今のところは……」
不安そうに尋ねられて、ぱっと繕う言葉が先に出てしまった。身体は確かに重く、声も枯れかかっているから、ハンフリーには伝わっているだろう。
「それならいいけど……、あれだけしておいてって感じだけど」
「いえ」
オリヴィアに渡されたものとは別のグラスから、水を一気に飲んだハンフリーが、グラスをサイドテーブルへ戻すために離れた。オリヴィアは倒れることもなく、バランスを保ったままその姿を眺めた。
「……ハンフリー様」
「うん?」
タオルを巻いて隠されてはいるものの、オリヴィアの隣に座ったハンフリーの下半身は、不自然に布を押し上げていて、まだ大きさを保っているようだ。
見上げた瞳の色は、薄かった。当然、その目線を追って、オリヴィアが何を確認したのか気付いているだろう。
「はあ……、していいなら、まだしたい。でも休憩もしないと。これでも、オリヴィアを大事にしたいのは変わらないんだ」
「ありがとうございます、ハンフリー様」
「それ、取れる?」
「『それ』、とは?」
「敬称」
後頭部に回ったハンフリーの手に抵抗する気など、一切起きない。流れのままに、唇を奪われる。
「……オリヴィア」
「ハンフリー」
「っ……」
「あっ」
また、口を塞がれた。一瞬見えた瞳が、蒼く光った。淡かったものが、濃くなった。
「……思ったより、揺らされるな」
「ひゃっ」
ハンフリーの低い声が耳に届いたと思えば、その腕が臀部に回り、オリヴィアはベッドの縁に座った彼の膝の上にいた。彼がタオルを横にずらすと、隠されていた剛直が現れる。
「オリヴィア、足を開いて」
言われた通りにすると、ちょうど先端が当たり、導かれるように蜜壷の中へ入ってくる。
「ん、あっ……」
「奥、気をつけて。今までより深く入ると思うから。手は僕の首に回していて」
「え、あっ、ああっ」
腰を反り始めたオリヴィアを、ハンフリーがしっかりと支えてくれる。オリヴィアが快感に堪えられるわけもなく、ぺたんと腰を落としてしまう。
「あああっ!」
「っ、オリヴィア……」
「あ、はあっ、んんっ」
オリヴィアにできるのは、目の前のハンフリーに抱きつくことだけだった。彼の腕は背中に回り、抱き締め返してくれる。ただ入っているだけで動かれてはいないのに、身体の震えが止まらない。
「……オリヴィア、平気?」
「ん、んんっ」
首元を舐められ、何回か吸われた。背中に回されていた腕から力が抜け、肌をそっとなぞられる。それだけでも、大きく身体を反ってハンフリーに胸を押し付けてしまう。
「おっと」
その勢いのまま、ハンフリーが後ろに倒れる。オリヴィアとともにマットレスに沈み込んだ彼は、柔らかく微笑んでいた。
「オリヴィア、身体を起こせる?」
ハンフリーの鍛えられた硬い上半身に手をつきながら、ゆっくりと起き上がった。彼の剛直が、蜜壷の中で少し大きくなった気さえする。
「うん、いい眺め。揺れてみて」
「揺れる……?」
「こう、前後に」
腰に触れられたその大きな手が、オリヴィアの上半身に力を掛けてくる。その動きに合わせるように動くと、声が漏れる。
「あっ、ああっ……」
「擦れて気持ちいいだろう?」
蕾がハンフリーの肌に擦れて、びりびりと快感が走る。剛直の先端が、最奥に当たり続けているのも気持ちいい。動いているのはオリヴィアで、嫌なら止められるのに、動き続けてしまう。
「くっ……、上も一緒にするの、好きなんだね。中がすごく締まる」
「んあっ」
腰にあったはずのハンフリーの手が、いつの間にか上がってきて、突起を軽く捻ってくる。
「いいよ、いってごらん」
「あ、あっ」
「ちょっと足りない?」
「んああっ、あっ、だめ……っ!」
ハンフリーが下から突き上げてくる。最奥に響く衝撃に、身体を反ってしまう。
「倒れておいで、オリヴィア。ぎゅってしててあげる」
素直に従ってハンフリーに抱きつくと、その手は臀部へと回り、逃げられないように押さえつけられ、ぐちゅっと音を鳴らす律動はさらに激しくなった。
「ああっ、ん、んっ、ああっ」
「オリヴィア……」
「んあああっ!」
掠れた声で呼ばれたと思えば首筋を舐められ、不意の刺激で達してしまった。オリヴィアが余韻に浸っている間、ハンフリーは抱き締めたままでいてくれるが、腰はゆるゆると動いている。
「オリヴィア」
耳元にちゅっとキスを落とされれば、それだけでも全身が震える。
「すごく締まってるよ、気持ちいい」
答えようと口を開くと、塞がれる。見えた瞳は一段と色濃く、ハンフリーの感情を零していた。
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